風間茉凪(まな)さん(31歳)は、母親からの虐待が原因で全盲となった、いわゆる虐待サバイバーだ。児童相談所の一時保護所などを経て、現在は企業で健康管理を行うヘルスキーパーとして働いている彼女は、今年10月1日からvoice marcheの認定上級カウンセラーとして同じく虐待をされている子どもたちに向き合う。
風間さんの苛烈な半生については、彼女が著したKindle書籍『私は、母親の虐待で全盲になりました』に詳細を譲るが、本記事においては、虐待サバイバーたちが“保護のその後”もなお闘い続けなければならないものの正体に迫る。

「虐待を受けている子どもたちにとって、学校という逃げ場がない長期休暇はこれ以上ない苦痛です。高2から高3にかけての春休み、母からの虐待が日増しにエスカレートするなかで、私は担任に電話を助けを求めました。彼の手引によって、数日内に児童相談所経由で警察がきて、私は一時保護をされることになりました」

「どこかでずっと、自分が生きていること、虐待のトラウマを引きずり続けている自分のことが許せなかったのですが、自分を許してあげていいんだと思えたのが、元夫との結婚でした。彼とは現在も関係が良好で、私は今でも彼の苗字を名乗っています。また、下の名前は、昨年12月に家庭裁判所で変更する手続きを取りました。やはり昔の名前を聞くと身体が硬直し、恐怖が押し寄せてくるんです。特に母親から呼ばれていた昔の名前にはもう、戻りたいと思えません」