日本仲人協会の内部アンケートによると、代理婚活における成婚率は相談所によって開きが大きく、1割以下というところが目立つ一方で、5割超というところも珍しくない結果です。結婚相談所の平均的な成婚率は2~3割程度とされていますから、上手く転べば代理婚活は大いに有効な手段と言えるかもしれません。
代理婚活の結果の良し悪しは、やはり「本人次第」といえると思います。相応の若さやスペックがあるのに腰が引けているだけならプラス効果な反面、若さやスペックがないうえにやる気や異性経験なども乏しいなら、かえって子どもを苦しめるだけで結果に繋がらない様子です。
そもそも、モテにくい人にとって婚活とは、かなりの苦行になります。また誰もが結婚して当然だった親世代の頃とは違い、今は結婚しない選択もあり、それだけ結婚しにくい時代です。
成功する可能性が見えない努力を続ける苦しみ、想像できるでしょうか。時に代理婚活とは、子どもにその苦しみを味わわせることになる点を理解しなければなりません。
今回紹介するのは、奈良県内の中小企業に勤める年収500万円の41歳男性・松田義雄さんからの相談です。
モテない人生を送ってきた彼は、過去の恋愛で大きなダメージを負っており、いつしか結婚など考えられなくなっていました。そんな彼に対して、同居中の母が突然、結婚相談所に申し込んだと言ってきました。結婚願望がないわけではないものの、さすがにいきなりそういった婚活は無理だと、彼は断ったのですが、すでに母親は暴走気味になっていました。
母親の件の後、義雄さんは婚活パーティに行く頻度を増やしたそうです。結婚への考えはあまり変わっていないものの、これで少しは母親も満足するだろうと考えてのことでした。
しかし、すでに母親の暴走は止まらず、義雄さんが結婚することを前提に、結婚相手となる女性の条件や孫の希望を伝えられます。そして、挙句の果てには、結婚後自分と住み続けることを強いてきました。
母親は出産を考えて35歳以下の女性を望んだそうですが、今どき親との同居などまず断られると思った義雄さん。ただでさえモテない自分には非現実的すぎると感じたといいます。
しかしどんなに説明しても、母親は「国立を出たお前ならできる」「結婚してもらう女性は幸せものだ」と、聞く耳を持ちませんでした。
母親の狂気的なまでに息子を持ち上げる様に、義雄さんは恐怖を覚えるようになりました。
「仮に自分が相応の女性と結婚できて同居したとしたら、明らかにこの母親から守る必要が出てくる、でもいつか守り切れず、高い確率で離婚になるだろうな…」
そのような可能性を考えるほどに、彼の結婚願望はどんどん冷めていったとのことでした。
彼の思いとは裏腹に、母親の“代理婚活”熱はどんどん加速していき、いつしか聞かされていないお見合いを設定されることまで出てきてしまいました。
そして最終的に、彼は完全に結婚を断念しました。母親の暴走に嫌気がさした彼は、そのように考え、母親にそれを伝えたといいます。
当然、母親は当初、今まで通り素直に聞き入れなかったそうです。しかし今までとは違い、堅く未婚を決意したうえで、何度も何度も現代と自分の考えを伝え続けた結果、最終的には母親も結婚を諦めてくれたといいます。
今では、行きたくなかった婚活パーティーに参加する必要はなくなり、充実した毎日を送っているそうです。
「母の一件は本当にキツかったのですが、あれがきっかけで結婚を完全に断念でき、今の生活が手に入りました。そういう意味では、母に感謝もしています。きっと母も寂しかったのでしょうし、今後は一層、母の相手をして親孝行したいと思います」
代理婚活自体は、決して悪いことではありません。冒頭でもお伝えしましたが、十分なスペックはあるのに積極的に動けない子どもには、大きな助けになります。
仮に十分なスペックがなくても、結婚したい気持ちが本物なら、代理によって婚活を始められるのであれば効果的です。
しかし、最近では積極的に結婚したくない方もいますし、結婚はしたいが婚活はイヤだという方も珍しくないのが現代の結婚観の特徴です。
本編でもそうでしたが、そういう方に強引に婚活をさせると、かえって未婚の意思を固めてしまうこともあります。
また最近では、親や家族を見て結婚に否定的になった方も珍しくありません。
たとえ、虐待や夫婦仲が悪くなくても、幸せそうに見えない親や結婚生活を見て育てば、結婚に対してネガティブになっても不思議はないかと思います。
また、今回紹介した事例の母親が息子に言った「同居したい」という希望も、結婚を妨げる要因の一つです。
親が同居を諦めた途端に、結婚できた方もいるほどです。親の介入は、必ずしもプラスにならない点に注意が必要と言えます。
今回の母親も、悪気はなく、息子にとって“良いことをした”と思っていました。
これは実によく聞く話です。
自分が親の場合は、代理婚活や子どもの婚活の手助けをするとき、独りよがりにならないよう、事前に子どもとの十分な話し合いを心がけ、子どもの意思や考えを尊重したうえで実行しましょう。
今や本当に、結婚するもしないも自由な時代になりました。
前編『41歳男性が親に“代理婚活”されて「絶望の日々」が始まる…暴走していく70歳母親の「衝撃行動」の数々』でもお伝えした通り、今後ますます独身者が増え、周りにも未婚の仲間が増えるでしょう。世の中も、独身者を対象にしたサービスも増えてきましたから、ぜひ未婚を望むなら、そのまま人生を謳歌しましょう。
ただし、周囲には注意が必要です。未婚が受け入れられる世の中になってきたとは言え、一方でまだまだ未婚者を下に見る、不幸だと決めつける方も珍しくありません。
周囲が結婚することで、それまでの付き合い方が変化して、独身者が孤立することもしばしば起きるでしょう。
そういう未来があることも頭に入れたうえで、未婚・独身を選んでください。
41歳男性が親に“代理婚活”されて「絶望の日々」が始まる…暴走していく70歳母親の「衝撃行動」の数々