昨今、子どもの放課後の過ごし方に変化が現れたという。厚生労働省は2019年小学校三年生を対象に「放課後に過ごす場所」の調査に乗り出し、約2万4000人から回答を得た。結果は「放課後に友達の家に行く」は2001年度に生まれた子は50・6%だったのに対して、2010年度に生まれた子では29・1%と減少に転じたのである。
親の目が行き届かないなか子どもが友達の家で遊ぶことで、思いもよらないトラブルを起こし、親同士が揉めるケースも少なくない。小学校二年生の息子(真吾さん・仮名・8歳)がいる主婦の栞さん(仮名・35歳)。子どもが家に友達を連れてやって来た時は、その母親に自宅で遊ぶ許可をもらったり、働くママには事後報告をしたり連絡を怠らない。それは以前、息子の友達の賢くん(仮名・8歳)にどうしてもとせがまれてショートケーキを食べさせたところ、卵アレルギーを起こしてしまいママの沙絵さん(仮名・37歳)に怒鳴られた経験があるからだ。
ある日、息子が賢くんの新築の家に誘われ、楽し気に出かけたものの泣きながら帰宅。そんな我が子を見た栞さんは、胸騒ぎが収まらなかった。
記事前編は「遊びに来た『息子の友達』がおやつをしつこく要求する…『あげなければ良かった』と35歳主婦が後悔する『納得の理由』」から。
「その日のうちに、賢くんのママの沙絵さんから電話がありました。出るなり『お宅の子が新築の家の壁紙に傷をつけた』と怒鳴り散らされて……。
その原因は息子が部屋の中でボールを壁打ちしていたからだと言われたのです。こちらが『申し訳ありませんでした、弁償させてください』と話すも、あっさり彼女に断られることに。
最後に『乱暴な真吾くんとはもともと遊ばせたくなかった』と沙絵さんは捨て台詞を吐くと一方的に電話を切ってしまいました」
その後、リーダー格の賢くんに真吾くんは仲間外れにされてしまった。母親の沙絵さんに「もう一緒に遊んじゃダメ」とでも言われたのだろう。真吾くんは学校にいる時だけでなく、放課後も一人で過ごすようになった。
数日後、小学校でサッカー大会が行われた。
「そこには我が子の勇姿を見るために多くのママが集まっていました。驚いたことに沙絵さんが『ちょっと聞いてよ』『うちの新しい家の壁紙を真吾くんが傷つけたのよ』とみんなに触れ回っていたのです。
彼女の発言に怒りを感じつつも『先日は息子がご迷惑おかけしました』と私はその場で謝罪して。すかさず『本当は子ども同士がけんかになって、賢くんがうちの子に向かってテレビのリモコンを投げつけたそうじゃないですか! 』『それが原因でお宅の壁紙に傷がついたんですよ』と反撃しました」
沙絵さんに「真吾くんが部屋でボールを壁打ちして家の壁紙に傷がついた」と電話で聞かされたものの、友達数人で家にいたにもかかわらず、なぜ息子が一人遊びをしたのかと疑問に感じた栞さん。
あの日、泣きながら帰宅した息子によくよく話を聞くと「賢くんとけんかになって、テレビのリモコンを投げつけられた」「それで壁紙が傷ついたのに、相手は全部僕のせいにしたんだ」と真実を語ったという。
一方的に罪を擦りつけられた息子があまりにもかわいそうで、沙絵さんの身勝手な振る舞いに我慢ならなかったのだ。
「周りのママ達は衝撃の事実に度肝を抜かれたようでした。彼女は我が子を疑いもせず、何の罪もないうちの息子の悪口を言いふらしていたわけですから」
その後、子ども達も自分の都合で誰かを仲間外れにする賢くんのわがままさについていけなくなった。彼の傍若無人さにみんなが反発し始めて、その結果真吾くんと遊ぶ子がグッと増えたという。
栞さんは悩んだ末に今回のことを学校の先生に報告したという。すると、これを機に何人かの保護者からも要望があり「親同士が連絡を取っていない限り、お友達の家では遊ばない」と小学校でルール化された。
子どもが友達の家で遊ぶこと自体は問題ではないが、万が一トラブルが起きるとママ友関係に亀裂が生じてしまうことも少なくない。そのため、問題なくコミュニケーションが取れるママ友の家にのみ遊びに行かせるのが得策だと言える。今回の栞さんのケースのように、自ら揉め事を収められるとは限らないからだ。子ども同士も良好な関係が築けるよう、放課後の過ごし方について学校が取り決めを行ったことは大きな一歩となるだろう。
遊びに来た「息子の友達」がおやつをしつこく要求する…「あげなければ良かった」と35歳主婦が後悔する「納得の理由」