米軍が長崎市に原爆を投下して9日で79年となる。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化し、中東情勢も緊迫する中、長崎市の平和公園で開かれる平和祈念式典では、鈴木史朗市長が平和宣言で核兵器使用への危機感を表明する。
1945年の原爆投下 なぜ長崎は米軍に狙われたのか
式典には米英中仏印の核保有国5カ国を含む過去最多の101カ国・地域(8日現在)が参列を予定。一方、長崎市はウクライナに侵攻するロシアと、支援するベラルーシの招待を3年連続で見送った。また、イスラエルについても、パレスチナ自治区ガザ地区の情勢を踏まえ「不測の事態が発生するリスクへの懸念がある」として招待しなかった。
これに対し、米英などは「イスラエルをロシアやベラルーシなどと同列に置くことになる」などとして懸念を示し、駐日大使の参列を見合わせる予定。米国は在福岡米国領事館の首席領事が参列する。鈴木市長は8日、報道陣の取材に「政治的な理由でイスラエルを招待しないのではない」と強調し、「あくまでも平穏で厳粛な雰囲気の下で式典を円滑に実施したいというのが理由だ。その真意が十分に伝わっていない」と語った。イスラエルを招待しないという対応については「変更はない」とした。
式典には岸田文雄首相も参列する予定。終了後、首相が被爆者団体から要望を受ける場には、爆心地から12キロ圏内で原爆に遭いながら被爆者と認められていない「被爆体験者」が初めて出席し、首相に直接救済を訴える。歴代首相が被爆体験者と面会するのは初めてとなる。
8日は長崎市の爆心地公園でドイツやウクライナなどの大使館関係者らが献花した。【尾形有菜、日向米華】