大自然の中、蛍を観賞できる“ホタルの里”として知られている、三重県大台町。自然に囲まれたのどかな町で、今、 “森林葬”を巡って住民と寺側が対立するという事態が起きています。
「めざまし8」の取材スタッフが山の中で見つけたのは、人の名前が書かれた“木”。
1本だけではなく、複数の木に名前が書かれています。
木の根元には、丸くくりぬかれた“おけ”のようなものがあり、その中には、白い“骨”がむき出しの状態で入れられていました。
入っていたのは、火葬された「人の遺骨」。合わせて12人が、この場所に眠っているといいます。
自然の中に、遺骨がそのまま置かれている“異様な光景”に、地元住民は…。
地元住民:10人に聞いたら10人とも嫌やと思う。要はこの地域を汚しとるような感触。
地元住民:勝手に来て、勝手にやられたと。ちょっとそこらへんで気に入らんっていう人がおると違うかなと。私もそうやけど。
大台町によると、この一帯は墓地としての「許可」や「届け出」は出されておらず、さらに住民からの反対の声が、町長や町議の元に届けられているといいます。ついには、今年6月の大台町議会で取り上げられる事態に…。
税務住民課 大森豊課長:墓地、埋葬等に関する法律、第四条に「埋葬または焼骨の埋蔵は墓地以外の区域で行ってはならない」という規定がございますので、焼骨を埋蔵している事実を関係者に確認した時点から、墓地としての許可を受けていただくための申請書を提出するよう、指導をしております。
遺骨が置かれている山林を所有し、管理している、宗教法人「自然宗佛國寺」の黙雷和尚は、「申請書を提出していない」という町側の主張に対して、その理由をこう話します。
宗教法人「自然宗佛國寺」黙雷和尚:森の墓、命の森は、「自然葬」ですと。うちは“森林葬”と名前つけていたんですけど、「自然葬です」と。だから「申請の必要はありません」と。
和尚によると、約20年前に「山林の樹木に名前を書き、その根元に遺骨を置いて供養したい」と県に申請をしようとしたところ、県の担当者から「“埋葬”ではなく“散骨”に当たるので、墓地としての申請はいらない」との回答があり、墓地申請は行わなかったといいます。
宗教法人「自然宗佛國寺」黙雷和尚:要するに僕は“森林葬”で県に相談をしたんだけど、“自然葬”だからいいと言われたから。それなら、県は間違っていましたと、じゃあなぜ間違ったと、その説明があってしかるべきですよね。
去年の11月に、町から「墓地埋葬法違反」だと指摘されたといいますが、その際も過去の三重県の対応についての説明はありませんでした。
三重県に説明がない理由について確認すると、「10年以上前のことで真偽を確認する資料が残されてない」と回答。また、過去に同様の事例がないため判断が難しく、国に照会するか調整中だといいます。
散骨の定義は、「墓地埋葬法に基づき適法に火葬された後、その焼骨を粉状に砕き陸地や水面に散布等する行為」とされており、散骨業者は「散骨を行うに当たっては、地域住民等に十分に配慮すること」とされています。
自然宗佛國寺が行っている“森林葬”は“散骨”なのかについて、大台町の担当者は、「現場確認すると散骨なのか埋葬なのか判断できず、現在県に確認中」と回答。
また厚労省は、「あくまでも一般論として、遺骨を埋めていなければ、墓地埋葬法の規制は及ばない」との見解を示しています。
今回の問題について、お墓・葬儀コンサルタントの吉川美津子さんは、「法律で散骨に関するものがなく、ガイドラインも強制力がないので、規制という部分では各自治体の条例で定めるしかない」と話しています。
宗教法人「自然宗佛國寺」 黙雷和尚:大台町が正直に議会で言ったことを訂正し、町長が。それから、なぜ「墓地埋葬法違反」だと断定したのか、それが納得いく説明をしてくれたら、僕はそれでいいです。裁判沙汰にするなら、うちは受けて立つと。(めざまし8 7月24日放送)