最近、ペットボトルのふたがうまく開けられない…そんな症状がでたら要注意「フレイル」の可能性があります。
「フレイル」とは、健康と要介護の中間の状態で、身体や認知機能の低下がみられる段階のこと。
通常は加齢によって陥ることが多いですが、各地で災害級の猛暑が続くこの夏、“暑さ”によって外出の機会が減ることで、若者でも「フレイル」になるリスクが高まるといいます。
足と歩行のクリニック リジェ 六本木院 戸原遼 院長:身体機能的に運動量が減ってしまうことで、脆弱性(フレイル)に陥ってしまうというリスクは、高いのではないかと思います。
戸原院長によると、暑さで家に引きこもることで活動量が減少、活動量が減少すると食欲が低下、さらに暑さでも食欲が減退します。食欲が低下すると、痩せて筋力量も落ち、筋力量がないとさらに外に出なくなるという悪循環を生むのです。
「フレイル」で通院する患者たちも、暑さによる運動不足に悩んでいました。
フレイルで通院している女性(87):(暑いと)運動する機会がない。(歩く機会が)減っていますので、筋肉がどんどん落ちていきますね。
フレイルで通院している男性(70代):外に立っていられないですよ…暑くて。それでやっぱり運動しなくなっている。どんどん悪循環ですよね
――最近は若い世代にも「フレイル」が増えているのですか?戸原遼 院長:そうです、実は若い方も筋力が落ちている方が多くて、今、コロナの影響で運動する機会がなくなってしまって、さらに今年はすごく暑いですよね?それでますます外に出る機会がなくなってしまって、若い世代の、筋力が非常に落ちている患者さんが多いです。
――10代、20代にも起こりえる?はい、お子さんとかでも筋力が落ちてすごく疲れやすかったりとか、歩きたがらないような小さなお子さんもいます。
自分が「フレイル」なのか否か、判断するには「歩き方」を見るのが大切だといいます。
・体の左右のふらつきが大きい・歩行速度が遅い・手の振りが少ない・足が上がらずすり足・歩幅が狭い
このような歩き方をしている場合、注意が必要です。
また、歩き方は自分で判断するのは難しいという場合は、以下のチェック項目に○が3個以上あると「フレイル」、1個以上でもフレイル予備軍(プレフレイル)となります。
・疲労感:わけもなく疲れる、体がだるい・筋力低下:ペットボトルのフタが開けられない・体重の減少:6カ月で2kg以上の減少・歩行速度低下:信号が青の間に横断歩道を渡れない・運動習慣の減少:週1回程度の運動を行っていない
「フレイル」を放置すると、とっさに動くことができなくなり、つまずき・転倒した際に手で支えられず、下肢の骨折をするリスクが上がるといわれています。さらに放置を続けて、次の段階である“要介護”状態まで行ってしまうと、健康な状態に戻ることは難しいです。
しかし、「フレイル」の段階で早期に自覚・発見し、適切な対策をとれば健康な状態に戻ることができるといいます。
「フレイル」の予防・改善に最も重要なのは「運動」です。戸原院長が推奨する、自宅で簡単にできるトレーニングを2つご紹介します。
▼「膝伸ばし運動」膝を90度に曲げイスに座る。片足ずつ真っすぐ伸ばし、15秒程度維持。これを、1日1回、左右1回ずつ3セット行う。
▼「足踏み運動」イスに浅く座り、肘を90度に曲げる。大きく腕を振りながら足踏み。これを1日2回、1分間、2セット行う。
――運動以外に対策方法はありますか?戸原遼 院長:ひとつは食生活、バランスの良い食事、特にタンパク質、野菜をとっていただくということですね。あとは、人との関わりをしっかり持っていただく。家の中で引きこもってしまうと、運動する意欲がなくなってしまいますので、お友達やご家族としっかり連絡を取ってもらって、外出する機会を維持していただくのが重要だと思います。(めざまし8 7月25日放送)