東京メトロ・副都心線の電車内で、鼻歌らしき男性の声が車内アナウンスに流れたとして、声を録音した動画がXで投稿され、話題を集めている。
乗務員がマイクを切り忘れたのではないかというのが、X上の推測だ。東京メトロの広報部は、取材に対して切り忘れがあったことを認め、眠気を催さないよう運転士個人の判断で歌ったと説明した。そのうえで「お客様に不安感を与える可能性があった」として謝罪した。
「進めファイターズ、勝利の男~…」。スピードを上げて走る電車内に、こんな男性のノリノリの声が響く。
投稿された動画は、乗客の足元を映しており、この乗客がスマホで撮ったらしい。
男性は、さらに歌い続け、「嵐の大地をつっぱしれ~」などとボルテージを上げる。動画は、1分強の長さで終わっていた。始まって10秒後には、歌に調子を合わせるかのように、「チーン」という音も聞こえた。
この動画が、2024年7月2日昼過ぎに、Xで投稿されると、電車内アナウンスで鼻歌が流れていたと大きな話題になった。
こう驚く声が上がるとともに、乗務員が歌っていたとしても理解できるとの意見が多かった。
一方、乗務員が車内に流れたことを知ったときを想像し、「切り忘れたことに気が付いたら 本人真っ青になるんだろうなぁ」などと気遣う声も出ていた。
アナウンスで流れた歌は、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの応援歌「ファイターズ讃歌」だった。乗務員が日ハムのファンに違いないとして、「オールスターファン投票で日ハムの選手大量に選ばれて気分が良かった?」などと推測する向きもあった。
歌が流れたことについて、東京メトロの広報部は4日、J-CASTニュースの取材に事実関係を説明した。
それによると、7月2日の13時40分ごろ、湘南台駅発川越市駅行の列車で、北参道~新宿三丁目駅間で車内マイクのスイッチを切り忘れ、この列車の運転士による鼻歌が、車内マイクを通じてアナウンスされてしまった。
メトロの乗務員は、主に暗い地下空間における作業を担っており、日常的に眠気を催さないよう各個人で意識を保つ対策を講じている。その対策としては、通常より大きな声で指差呼称を実施する、運転姿勢を変化させる、などがあり、今回も、その一環として、運転士個人の判断で行われたという。
ただ、メトロの内規では、乗務中に歌うことを禁止事項として明確に規定していないものの、「本件についてはお客様に不安感を与える可能性があった」と説明した。
この点について、広報部では、「列車の運行には影響がなかったものの、ご利用のお客様にはご心配とご迷惑をおかけいたしました」として、「誠に申し訳ございませんでした」と謝罪した。
そのうえで、「今後、お客様に安全に、安心してご利用いただくことを最優先とし、運転業務従事員として基本動作の徹底と、節度ある行動をとるよう指導いたしました」としている。
なお、アナウンスの途中で「チーン」と鳴った音については、信号が変わるときや制限速度が変化するときに、機械的に運転士に知らせるベル音だという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)