「助けてくださーい」
【写真】アキさん(仮名)が投稿した当時の状況
コンビニエンスストアに行った帰り道、84歳の母親=東京都葛飾区=が突然、ふらついて倒れそうになった。付き添っていた娘のアキさん(仮名)は慌てて、助けを求めた。母親の体を一人では支えきれなかった。駆けつけてくれたのは、道路の向かい側にあるヤマト運輸営業所のドライバーだった。
アキさんは6月27日、暑さが増してくる中で、離れて暮らす母親の食欲が落ちていると知り、心配して会いに行った。持参した豆腐を差し出すと、母親は喜んで完食した。
「見たところ元気そうでした。自分で好きな食べ物を選べたら、もう少し食べられるかもと思い、買い物に出かけることにしました」
少し離れたコンビニまで母親と歩いて行った。だが、店内で母親の具合が悪くなった。帰り道に倒れそうになり、焦って大声で何度も叫んだ。
「助けてくださーい! 助けてくださーい!」
すると、道路の向かい側のヤマト運輸の葛飾柴又営業所から、何かを手にした男性ドライバーら4人が駆け付けてくれた。
すのこに、業務用とみられる梱包(こんぽう)材(エアパッキン)を敷き、手慣れた様子で、簡易ベッドを作り、母親が横になれるようにしてくれた。
昼過ぎで、気温も上がっていた。
傘で「日陰」を作り、営業所にあった保冷剤を使い、熱中症にも気を配ってくれた。
その合間に、自転車で通りかかった男性が119番通報。母親は、救急車で搬送され、病院で処置を受けて、回復した。
アキさんは「母は食事と水分が十分に取れておらず、倒れてしまったようです」と振り返る。
感謝をXに投稿、賛辞の声
日常生活を取り戻し、「世の中捨てたもんじゃない」エピソードを伝えたくなった。
感謝を込めてX(ツイッター)に投稿した。
<ヤマト運輸の方々の本日のお助けがあったおかげで母は無事でした。(倒れて)力の抜けた人を抱えると他に何もできません。ゆっくり寝かせる事も私にはできませんでした。ヤマト運輸様初め配送のお仕事の皆様、暑さや雨の中いつもありがとうございます!>
7月5日時点で700万のインプレッション(表示回数)を記録し、温かなコメントが相次いだ。
<ヤマトの方々の対応が素晴らしくて感動!>
<ヤマト運輸さんの皆さんは表彰されてほしい>
<普段から優しい人たち多いですからね。いい会社。素晴らしすぎる>
想像以上の反響に、アキさんは「正直、びっくりしました」と戸惑いつつも、「ヤマトさんの対応にとても感謝しています」と振り返った。
お中元シーズンで荷物量が増える7月、宅配ドライバーは多忙を極める。アキさんは、今回の投稿をきっかけに、配達員に負荷がかかる「再配達」などの状況が少しでも改善してほしいと願っている。
ヤマト運輸の広報担当者は「当社は、地域に根差した事業を行っており、地域の皆さまの安全や安心を確保することは、重要な責務であると考えております。今後も、地域社会により愛される存在となるために、努めてまいります」とコメントした。【坂根真理】