ここに一枚の集合写真がある。雪国で撮影されたと思われる写真の中で、家族は仲睦まじく身を寄せ合い、幸せそうな笑みを浮かべている。しかし、その中の宝島龍太郎さん(55)と妻の幸子さん(56)は、今年4月に殺害され、すでにこの世にはいない。さらに、その殺害に関与したとして夫婦の長女・真奈美容疑者(31)が6月27日に殺人容疑で逮捕された。
「事件は今年4月、栃木県の那須塩原で宝島さん夫妻の焼けた遺体が発見されたことで発覚しました。その後、警視庁は殺人の実行役とみられる元子役の若山耀人容疑者(きらと・20)や指示役の佐々木光容疑者(28)らを次々と逮捕。最終的に主犯格とされる真奈美容疑者の内縁の夫であった関根誠端容疑者(32)を含め、6人が逮捕されました。
主犯格の関根容疑者と内縁関係で被害者の娘ということで、当初から真奈美容疑者は捜査線上に浮上していました。しかし殺人への関与を証明する決定的な証拠が見つからなかった。今回、警察は時間をかけてスマホなどに残された膨大な履歴を解析した結果、関根容疑者が真奈美容疑者に対して、『あいつら(宝島さん夫妻)消してやる』などのメッセージを送っていたことが発覚。容疑が固まったとして逮捕に踏み切りました」(捜査関係者)
夫妻の殺害現場近くの防犯カメラの映像などから、真奈美容疑者は現場には立ち会っていなかったと見られている。だが、内縁の夫である関根容疑者から事前に殺害の計画などについて相談を受けていた可能性があると見られている。
果たして、真奈美容疑者は本当に両親を手にかけたのか。捜査の中で明らかになったのは、特殊な家族関係だ。
「そもそも、真奈美容疑者は龍太郎さんの実の子ではありません。幸子さんは再婚であり、真奈美容疑者はその連れ子になります。しかし、だからといって家族仲が特段悪い……ということはなかったようです。真奈美容疑者も、自身のSNSにたびたび家族写真をアップしていた。さらに、宝島さん夫妻の経営していた居酒屋の店員たちも、そういった印象はなかったと話しています」(全国紙社会部記者)
主犯格と目されている関根容疑者と宝島さん夫妻は、かねてより経営する飲食店の営業方針のすれ違いがあったと報じられてきた。そんななか、家族仲も大きな問題がなかった真奈美容疑者が、犯行計画を知った段階で警察に相談しなかった理由は一体なんなのか。
「関根容疑者から真奈美容疑者へ『あいつら消してやる』『ここで歩けなくさせてやる』などのメッセージが送られていたのは事実です。しかし、警察としてはあくまでも計画を主導したのは関根容疑者であると見ているようです。実際に関根容疑者は他の指示役とのやりとりや、犯行の代金として1500万円以上を払ったこともわかっています。真奈美容疑者は夫の暴走を止められなかっただけなのか、それとも積極的に関与したのかは、現在も取り調べが続いています」(前出・社会部記者)
警視庁は真奈美容疑者の認否を明らかにしていない。また一部では関根容疑者との内縁関係はすでに破綻していたとも報じられており、真奈美容疑者が事件に深く関与していたのかは不明だ。
今回の事件は、やはり経営方針を巡るなかで、関根容疑者が主導して行ったものなのか。一方で、前出の捜査関係者は「真奈美容疑者が金に目が眩んだ可能性も否定できない」と明かす。
「もともと真奈美容疑者は、宝島さんが経営する会社の役員でした。ですが、会社の登記によると今年1月に役員から外れています。それが両親の死後、再び会社の役員に戻っていた。警察としては役員を外されたことが、犯行の動機の一つになったのではないかと考えています。幇助(ほうじょ)犯や教唆犯ではなく『共謀共同正犯』として、殺人計画などに関与していたことを立証するために捜査が進められています」
今回における逮捕者は、ついに7人となった。真奈美容疑者の逮捕により、「異例の殺人事件」の全容解明は進むのだろうか。