「家族5人が死んでいます!すすだらけになって」
【写真】たったひとりの生存者となった父親A氏、マッチングサービスに登録した経歴
5月23日午後1時過ぎ、東京都品川区の2階建ての戸建て住宅で、近くに住む親族からそんな110番通報があった。警視庁と東京消防署がすぐさま出動して、出火は1時間ほどで消し止められたのだが……。
警視庁捜査一課は、複数の変死体を同日午後1時29分に発見したと発表。同住宅に住んでいた母親の高波冬美さん(37)、長女で小学校1年生の後藤鈴ちゃん(6)、次女で保育園児の後藤玲ちゃん(3)、長男で同じく保育園児の後藤信ちゃん(2)の4人で、いずれもその場で心肺停止が確認されている。
「4人は1階の寝室で発見されて、4人とも胸や首に複数の切り傷や刺し傷があり、そのかたわらには刃物があった。しかし、4人とも身を守ろうとするときにできる防御創はなかった」(全国紙社会部記者)
4人のそばにもう一人、すすだらけで倒れていたのが、子ども3人の父親A氏だった。のどにやけどを負い、刃物のものと思われる刺し傷もあったものの、搬送された病院では意識があり、命に別条はなかった。
事件が起きる3日前の20日、冬美さんとA氏の離婚が成立していたにも関わらず、A氏はそのまま4人とともに同居を続けていた。
「近隣住民によると、前日22日午後8時半ごろ、ガソリンのにおいのようなものがして、玄関先にA氏がたたずむ姿が目撃されていた。司法解剖の結果、冬美さんと次女の死因は失血死でボヤが起きる前に死亡、長女と長男は急性一酸化炭素中毒で22日夜以降に死亡した可能性が高いようです」(同・社会部記者)
警察はA氏の回復を待って、捜査を続けていく見込みだ。
近所の住民によると、冬美さんとA氏は10年近く前に引っ越してきたという。
「ふたりとも子煩悩で、仲のいい夫婦だった。でも子どもたちとよく一緒にいたのはA氏で、冬美さんとはあまり見かけたことがなかった」
事件現場となった自宅から数百メートル離れたところに、冬美さんの実家があった。
「実家は約50年前、祖母の代から続く食肉卸しの会社。現在は冬美さんの母親が女社長だから、冬美さんはお嬢さんなんです」(近所の別の住民)
実家は資産家であり、冬美さんの一軒家も所有者は冬美さんと祖母だった。
自宅近くの老人ホームで働いていた冬美さん。A氏は美容師専門学校を卒業後、美容師として10年間働くも、転職して介護士に。その勤務先の老人ホームで冬美さんと出会い、結婚して2女1男をもうけた。幸せな暮らしに異変が起きたのは1年ほど前。
「冬美さんが人間関係に悩んで、精神的に不安定になり、職場を休職。家事や子育てもできず、すべてA氏に任せるようになったようです。A 氏は介護士を辞めて、自宅でできる動画編集の仕事を始めたようですが……」(前出・社会部記者)
A氏はオンラインのマッチングサービスに登録し、東京都在住や子ども3人の育児中などというプロフィールとともにYouTube動画の作成などの仕事を募集していた。だが、ほとんど依頼がなかったようで、“専業主夫”状態になっていた。夫婦ともに無職で生活は苦しかったことは想像に難しくない。家族に何が起きたのか。
ふたりの勤務先だった老人ホームに問い合わせるも、
「お応えするわけにはいきませんので」
と取材拒否だった。
たったひとりの生存者であるA氏は一体何を語るのだろうか。捜査の進展が待たれる。