インターネットでのトラブルを防ぐため、千葉県が2023年度の「ネットパトロール」で県内の中高生らを対象にネット上の書き込みを調査したところ、学校名に加えて氏名か本人とわかる顔画像もネット上に投稿していた生徒が1021人に上った。
県は個人情報の公開などを「問題のある書き込み」と位置付けており、件数ベースでは約9割がインスタグラムで見つかった。(森礼加)
県の県民生活課によると、ネットパトロールは県内の中学、高校、特別支援学校など全632校の生徒らを対象とし、インスタグラムやX(旧ツイッター)といったSNSなどを調べた。問題のある書き込みは、自分の個人情報の公開を「レベル1」、詳細な個人情報の公開や飲酒などの問題行動を「レベル2」、刑事事件や自殺につながるなど緊急性の高いものを「レベル3」と分類した。
レベル1はこれまで、学校名と氏名、顔画像の全てを投稿した人数をカウントしていた。細かく情報を集めて生徒指導に役立てるため、今年度からは学校名に加えて、個人名か顔画像のいずれかが投稿された時点で計上している。この結果、問題投稿を発見された人数は、前年度から約4倍の1021人に増えた。
レベル2の書き込みは89人、レベル3は3人だった。レベル1~3の合計は1113人だった。

件数でみると、レベル2は116件。他人の情報を公開する投稿が最も多く、前年度から倍増の46件だった。レベル3は3件。ベンチで枯れ葉などが燃えている動画や、自殺を示唆する書き込み、援助交際を募集する投稿などがあった。
レベルを問わず問題のある書き込みの発見が最も多かった媒体は、インスタグラムだった。件数は1066件で、全体の約90%を占める。
学年別で書き込みが多かったのは、高校2年の193人だった。高校3年は91人にとどまった。県は、受験や進路決定の時期と重なり、SNSに触れる時間が少なくなるためだとみている。

ネットパトロールで問題のある投稿が発見された場合、調査を委託されている事業者から県民生活課に連絡が入る。レベル1は月ごとの報告だが、レベル2と3の書き込みは即時に報告される。
県民生活課は県や市町村の教育委員会などを通して学校に連絡し、各校が生徒や保護者を指導する。緊急性や事件性が高い事案については県警、虐待が疑われる場合は県児童家庭課とも情報を共有する。
県民生活課はまた、学校に職員を派遣。授業形式で保護者や教員、生徒にトラブル防止の啓発を続けている。担当者は「悩みを抱えているときは、身近な大人や相談機関に相談するなど周囲に助けを求めてほしい」と話している。