奈良県で介護職員の女性を殺害し現金3000万円を奪った罪などに問われたカメルーン人の男の裁判員裁判で、奈良地裁は男に無期懲役の判決を言い渡しました。起訴状によりますと、カメルーン国籍のフォルゲ・ムンヤ・フィデル被告(31)は、2021年7月・奈良県大和郡山市の介護職員・笹岡順子さん(当時56)を殺害して現金約3000万円を奪い、遺体を奈良市内の雑木林に遺棄するなどした強盗殺人と死体遺棄の罪に問われています。

▼検察側「被害者の何ら落ち度はない」「高額な現金に目がくらんだ」無期懲役を求刑これまでの裁判で検察側は「同居していた被害者が多額の金銭を手に入れたことを知り奪おうと考えた」、「被害者は被告人の生活の面倒を見るなど何ら落ち度はなかった。高額な現金に目がくらんだ犯行で、くむべき点はない」などとして無期懲役を求刑していました。▼弁護側「母国の母親への恩返しのために来日も生活うまくいかず」情状酌量を求める一方、弁護側はこれまでの裁判の中で「母国の母親に恩返しするため来日したが生活がうまくいかず、事件を起こした」と主張し、情状酌量を求めていました。4日の判決で奈良地裁はフィデル被告に対し「困窮していた経済状況の中で起きた突発的な犯行ではあるが、被告はナイトクラブで遊ぶなどしていて、酌むべき点はない。困窮していた被告を自宅に住まわせるなどした被害者の信頼を裏切っていて厳しい非難が妥当」などとして、検察側の求刑通り無期懲役を言い渡しました。