もうこの人が記者会見でいくら暴れようと誰も驚かなくなった。東京新聞の望月衣塑子記者である。当てられた途端に早口で質問に被せて演説をぶる彼女の姿は、もはや会見場の風物詩となっている。そんな望月氏に対して、とうとう社内から本人にクレームが入ったという。なぜいまさら…。
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【写真を見る】「東京新聞記者」を名乗りながら、いつも盟友である元朝日記者でYouTubeニュース番組「アークタイムズ」編集長の尾形聡彦氏の隣に座る望月衣塑子記者。この日も2人で「連弾質問」を繰り出した 。ジャニーズ会見、参院法務委員会などの「名場面集」も
5月27日に立憲民主党本部で開かれた蓮舫参院議員の都知事選出馬会見では、記者クラブ記者よりもフリーランス記者が優先してあてられた。
望月氏の盟友として知られる、元朝日新聞記者でYouTubeニュース番組「アークタイムズ」編集長の尾形聡彦氏が3点と言いながら4点も怒涛の質問を被せた後、望月氏にマイクが回ってきた。
「東京新聞の望月です。いくつかお聞きします。まあ、神宮外苑の再開発ですね、昨年亡くなる直前、声が出せない状態で、文化庁長官や小池都知事に坂本龍一さんがもう一度見直してほしいと手紙を送られました。その時に小池さんは記者会見でしたっけね、その場で担当の文科省・文化庁側、もしくは再開発事業者側に…」
“演説”は実に3分を超えた。最初は神妙な面持ちでメモを取っていた蓮舫氏だったが、後半は長すぎる質問に思わず苦笑をこぼしていた。
何度となく同じ光景を目にしてきた他の記者たちは、ただ時がすぎるのをじっと耐えていた。だがこの後、とうとう“身内”から本人にクレームが入ったというのだ。東京新聞記者が打ち明ける。
「政治部が『スタンドプレーはいい加減にしてくれ』と本人に伝えたのです」
この日は“1社1人まで”の縛りがあった。望月氏が東京新聞を代表して先に質問してしまったため、用意していた質問ができなくなったことに政治部は怒ったという。
「実は似たような場面は前にもありました」
と昨年7月の記者会見を振り返るのは、別の東京新聞記者である。木原誠二幹事長代理の妻の元夫が死亡した件の捜査をめぐる騒動で元警視庁刑事が開いた会見だ。
「参加は各社一人という取り決めがあったため、警視庁クラブの記者を出すことになりました。望月さんは『私も出たい』と言ってきたそうですが、警視庁クラブは『これは警視庁の事件だから』と上層部を通して断った」(同)
だが、蓋を開けると望月氏は参加していた。
「東京新聞では参加できないと知った望月さんは、もう一つの肩書きである『アークタイムズのキャスター』として参加したのです。もちろん、いの一番で挙手していましたよ。今回の会見も、本人は政治部や都庁担当がに優先権があることはわかっていたはず。けれど、アークタイムズの肩書きは尾形氏が使ってしまっていたため、東京新聞記者の肩書きを使うしかなかったのでしょう。そこまでして自分が質問したいのかとみんな呆れています」
先の関係者によれば、クレームを受けた望月氏は「どこがいけないんですか」と逆ギレしていたという。
この身内の争いを聞きつけて呆れるのは他社の記者だ。
「東京新聞さんは他所様に迷惑をかけていることについてはどうお考えなのでしょう。アークタイムズだかなんだか知りませんが、彼女が東京新聞のパスを使ってどこの会見場も自由に出入りし、1人で長い時間を使って質問を重ねたり、事実誤認の発言をしたりして、みんなで取材する場を乱してきたことは明らかです。会社が責任を持ってしっかり管理していただきたい」
蓮舫氏の出馬をめぐって望月氏が問題視されているのは、会見場でのふるまいばかりではない。会見後、望月氏はアエラドットのインタビューを受け、明らかに蓮舫氏の肩を持った発言を繰り返した。
〈小池さんは言葉に力がある政治家なので、彼女と対決するには、普段から言葉で戦ってきた蓮舫さんは適任でしょう〉
〈自民党中心の政治をリセットしない限り、都民のための政治を取り戻すことはできないのではないかと感じています〉
〈蓮舫さんは、私の中では『質問力に長けた政治家』という印象です〉
挙句、
「容赦なく切り込んでいくスタイルには、私と少し似ているところも感じますが、蓮舫さんは一つひとつの質問が手短だし、とても頭の切れる方だと思います」
この記事が載ったYahoo!ニュースのコメント欄が〈新聞社にも公共性や公平性が求められていると思うんですけど違うんですかね?〉〈蓮舫さんが適任かまでを高らかに宣伝するのはジャーナリストとしての役割を逸脱している〉などと荒れたことは言うまでもない。
前出の東京新聞記者もこう嘆息する。
「選挙報道で候補者を公平に扱うよう細心の注意を払うのは、新聞記者の鉄則です。こういう一方の肩を持つ発言は、”活動家”と言われても仕方ない」
東京新聞に質問状を送ったが、「特にコメントはありません」(東京新聞編集局)との回答だった。
自由な立場からモノを言えるフリーになれば、誰も文句は言わないのだが…。
デイリー新潮編集部