ダイエットや筋力アップなどを目的にトレーナーから個別指導を受ける「パーソナルトレーニング」について、昨年までの6年間で骨折などの事故が209件発生し、うち約3割で1か月以上の治療が必要なケースだったことが、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)のまとめでわかった。
消費者事故調は実態調査を続けており、今後具体的な事故防止策を打ち出す方針だ。
パーソナルトレーニングを巡る事故が重なったことを受け、事故調は2023年5月から実態調査を開始。18~23年に報告されたスポーツジムなどに絡む事故は505件で、このうち209件が1対1で指導を行うパーソナルトレーニング中の事故だった。事故調がジムなどでの事故件数を公表したのは初めて。
近年の筋トレブームやコロナ禍で定着した「密」を避ける生活スタイルの影響で、パーソナルトレーニングの利用者は年々増えているとみられる。それに伴い、18年に14件だった事故件数も19、20年はいずれも20件台となり、21年は30件を突破。その後も22年に58件、23年に50件と増加傾向だ。
年代別では40歳代が最多の51件で、50歳代の41件、30歳代の37件、20歳代の33件と続いた。60歳代以上も35件に上る。女性が全事故の9割超を占めた。
209件のうち、治療期間は1か月以上が61件と全体の29%を占め、1週間未満が44件、3週間~1か月が23件、1~2週間が21件。トレーナーに指示された動作をしたら腰椎を圧迫骨折したり、膝の靱帯(じんたい)を損傷したりした事例もあった。
パーソナルトレーニングには現在、法的な定義や法制度がなく、専門知識を学んでいないトレーナーが自己流で指導することもあるとみられる。事故調は「トレーナーとしての教育を受けず、マニュアルもないまま指導すれば、利用者の事故を防ぐことは困難だ」と指摘する。