大阪万博の大リングを視察した吉村知事(2023年12月)
「2025年大阪・関西万博」に府内の小中高校生などを学校単位で102万人、無料招待することを表明している大阪府の吉村洋文知事。
しかし、会場である人工島の夢洲からはメタンガスが相次いで噴出、交通アクセスの脆弱性などもあり、「児童たちの安全が担保できない」と参加を躊躇する学校も多いようだ。
24日には、交野市の山本景市長が「市内の小学校9校、中学校4校の13校すべてで、参加したいというのは1校もありませんでした」とし、「学校単位で行かなくてもよい」と表明。府に対しての不満を露わにしている。
「大阪府の教育庁は、対象となるおよそ1900校に参加を問うアンケートを送達しています。吉村知事は5月27日、Xで『現時点で1280校から回答あり、75%に相当する950校もの学校から参加希望がありました。残り25%も未定・検討中です』と誇らしげに途中経過を報告。
しかし、翌日、山本市長はアンケートに疑義を呈しました。自身のXに吉村知事の投稿を引用したうえで、
《意向調整について、回答は「希望する」と「未定・検討中」の二択であり、不参加の選択肢はございません。「未定・検討中」を選択すると「個別事務局よりご連絡いたします。」らしいです。これでは、実質、強制参加です。》
とポストしました。30日の記者会見では『府が実施している各学校への意向調査をやり直すべきだ』とも語っています」(週刊誌記者)
まるで「招待希望校の水増し」を狙ったと取られかねないアンケートだが、これに対して、吉村知事は30日、報道陣にこんな反論をおこなった。
「今回の調査は参加、不参加の結論を求めるものではない。どのぐらいの学校が参加希望なのか、希望の日程がどのぐらい重なりがあるのか(を調査して)円滑に事業をおこなうためのアンケートですから。これをもとに、さまざまな課題のより深堀りの検討を進めていきたい。やり直しをする必要はないと思います」
しかし、大阪万博に対しては、相変わらず次々に問題が指摘されている。
「28日には、アルゼンチンが撤退検討と報じられました。撤退すれば、メキシコ、エストニア、ロシアに続き4カ国めとなります。また、パビリオンエリアでもメタンガスが検出されたことを受け、31日の『赤旗』は《会場のどこでも「爆発の危険性」がある》と指摘しています」(同)
SNSでは、強引に事を進める大阪府への猛批判だけでなく、引率する教員に同情する声も寄せられている。
《教員が引率していくのも大変だと思うんだ。なんとか全員行けるように大人が工夫するのなら、まずガス爆発の件を詳細に報告すべきだし、アクセスや会場の安全確認も事前にあってしかるべきだと思う》
《爆発事故が起きた場合引率者も被害者である子ども達やその家族、親族にも一生消す事のできない深い傷を残す事になるんやけどな》
なかには、栃木県那須町で登山訓練中に雪崩が起き、 高校生ら8人が死亡した事件で、引率教員ら3人に実刑判決が出たことを受け、
《万博へ子供達を連れて行ってガス爆発起きても引率した教師に実刑判決でる可能性》
との指摘も――。
こうした騒動のなか、5月30日、山本市長が、Xで大阪 “府” 立の交野高校の体育祭に来賓として招かれたが、突然、挨拶カットを伝えられたと憤慨の投稿をした。「アンケートに意見したことに対する大阪府の意趣返しか」といぶかしむ声があがったのだが……交野市役所に聞くと「事務上の行き違いでした」と平身低頭。
万博をめぐる混乱は、まだまだ続きそうだ。