救急車内での撮影行為をしないよう呼びかける動画(提供・岡山市消防局)
2024年4月下旬、岡山市消防局が《岡山市消防局からのお願い 救急車は映えスポットではありません》という動画を公式Instagramにアップして、話題になっている。
「『映え』といっても、救急車をバックにして記念撮影をするのではありません。搬送時に救急車内で、患者を撮影するケースが増えているのです。消防局の動画では、救急車内で計器につながれている患者が『すげえ。記念に撮っておこう』と自分自身で、あるいは同乗する付き添いに撮影をお願いする事例が紹介されています。さらには、救急隊員に『お兄さん、映える写真を撮ってよ』とお願いすることもあるそうです」(週刊誌記者)
この動画に、市民からは「こんな人、ほんとにいてるんですか?」といった驚きの声が寄せられているというが、実際に、救急搬送中の様子を撮影した動画や、写真がアップされているSNSアカウントも存在する。なかには「リアル配信」されている投稿もあるという。しかし、こうした行為は、医師や救急隊関係者の間では、数年前から問題視されていた。
産婦人科医の高橋怜奈さんは2019年2月、自身のXに《救急車内で写真を撮るのは避けて下さい。珍しい光景でしょうが車内では沢山の医療者が関わっており必死に対応しています。SNSにアップする事で刺激された人達が、軽症でも写真の為に救急車を呼ぶ事も考えられます。救急車は映えスポットではありません。命の現場です。承認欲求は他で満たして下さい》とポストしている。
「SNSにも《前に話題になったのはこの2019年頃よね(もちろんというか、問題は解決しないままずっと続いている…)》《タクシー代わりに使う人が 問題視されていたけど 次はこれか》など、嘆息する書き込みが目立っています。このような不適切な行為が後を絶たないため、川口市消防局(埼玉県)では、2020年から救急車に『撮影禁止』のステッカーを貼っています」(社会部記者)
岡山市消防局の担当者は、本誌の取材に「救急隊員が患者さんを観察するときに撮影をされると、救護対応に支障が出る可能性もありますから、ぜひともやめていただきたいです」と心からのお願いをした。命の現場で“悪ふざけ”とも取れる行為は、慎みたいものだ。