人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクターをデザインした交通安全のための「黄色いワッペン」が、インターネット上のフリーマーケットサイトに出品され、売買されていることがわかった。
ワッペンを無償で配布しているみずほフィナンシャルグループ(FG)など4社は無断販売や転売を禁じており、9日までにサイト事業者に違反として報告した。
黄色いワッペンは、交通安全のために小学校の新1年生につけてもらうもので、今年は1965年の事業開始から60回目になることを記念し、ポケモンの人気キャラクター「ピカチュウ」がデザインされた。
3月頃から新1年生約104万人に配られ、配布時にワッペンを入れていた袋には「本品の無断販売及び転売については固くお断りいたします」と記載されていた。
しかし、読売新聞が複数のフリマサイトを確認したところ、全国の多くの小学校で入学式が行われた今月8日以降、少なくとも7件のワッペンがフリマサイトに出品されていた。商品紹介のページには、「交通安全ワッペン」「ピカチュウのイラスト入り」「未使用品」などと記載され、355~3900円でいずれも売買が成立していた。
みずほFGによると、昨年以降、ワッペンをフリマサイトに出品するケースが散見されたことから、今年の配布分から、無断販売や転売を禁じる文言を追加したという。みずほFGは、サイト事業者に対し、違反品として申請。「関係各社と連携のうえ、しかるべき対応を検討している」としている。
無断売買が確認されたサイト事業者は取材に対し「本件に限らず、禁止されている出品物に関してはガイドラインに沿って対応しており、違反を確認した場合は適切に対応する」と答えた。
黄色いワッペンの事業は、年間1万人以上が交通事故で亡くなる「交通戦争」の時代に、「子供を守るために目立つものを」と、みずほFGの前身である旧富士銀行の元取締役が考案した。当初は腕章だったが、74年からワッペンに替わり、これまでに計約7186万枚が配布されている。
みずほFGは「黄色いワッペンは、子どもたちが交通事故に遭わずに、毎日安全に通学してほしいとの願いを込めて贈呈している。転売は禁止しており、誠に遺憾」とコメントした。