京都府宮津市議会は3月定例会最終日の28日、本会議で市立養老小(同市岩ケ鼻)を31日で廃校とする条例改正案を賛成多数で可決した。4月1日から11キロ離れた府中小(同市中野)に統合する。「統合には準備期間が必要で、せめて1年延期してほしい」と保護者たちから出された請願も不採択とした。廃校3日前という異例の決定で、廃校に賛成した議員からも「市教委の対応に問題があった。今後は最低でも1年以上の準備期間を設けてもらいたい」と意見が出た。【塩田敏夫】
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「3日前」異例の決定
討論では、廃校に「反対」の立場の宇都宮綾議員(共産)が統合を進めた市教委の手続きについて「あまりにも乱暴」と指摘。理由を明らかにしないまま養老小校区から府中小への「区域外通学」を認めたこと、保護者が求めた中立的立場の「再編(統合)委員会」を設置しなかったことなどを取り上げ、「地域に大きな分断を生んでしまった」と述べた。
「賛成」の河原末彦議員(新無所属クラブ)は、養老小の児童数が4月に6人となる見込みだったことを指摘し、「人と人とのつながりの中で成長するには一定の人数が必要」との考えを示した。その上で「廃校の意思決定が遅れた。地域が分断され、子どもにいじめが発生しないよう見守りをしてほしい」と求めた。
保護者や地域住民10人が名前を連ね、統合の1年延長を求めた請願については、堀未季議員(蒼風会)が「同じ子育て世代として熟慮を重ねて反対の立場を取った」としたうえで、これまでの市教委の対応について「住民の不信と不安を募らせることになってしまった」と批判。今後は同様の事態が生じないよう丁寧な対応を求めた。
また、おなじく不採択の立場の久保浩議員(新無所属クラブ)は151年の歴史を刻んだ養老小の歩みを振り返り、市教委と保護者と話し合いについて「確認不足」があり、信頼関係が崩れていったのではないかと指摘。「子どもが主人公であり、子どもが被害者にならないようにしてほしい」と訴えた。