セクハラ問題で岐阜県岐南町の小島英雄町長(74)が辞職届を提出した。小島町長は女性の頭などを触っていたとされているが、セクハラ行為に対する世間の目は厳しくなっている(報告書はこちら)。
2月7日に放送されたTBS系のテレビ番組「世界くらべてみたら」でも、女優の上白石萌音さん(26)がいわゆる「頭ポンポン」について「私も嫌です」「すごく見下されている感じ」などと話した。
X上にも「同性同士でも馬鹿にされている感じがした」「嬉しいのは好意のある男性にされた時だけ」といった意見が飛び交っている。
職場や飲み会の席などで女性に「頭ポンポン」をすると、セクハラになるのか。森田梨沙弁護士に聞いた。
ーー職場でのセクハラとはどのような行為を指すのでしょうか?
「『セクハラ』という言葉は普段耳にすることも多いですが、その概念は多義的で、刑事罰が科されるような違法性の強いものから、モラル違反としてのセクハラまで様々です。
職場でのセクハラについては、男女雇用機会均等法11条に定めがありますが、条文は分かりにくいのでかみ砕いて言うと、「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること、を言います。
ーーどういった行為が、職場環境を害する行為にあたるのでしょうか。
「一般的には、意に反する身体的接触によって、労働者が強い精神的苦痛を被るような悪質性の高い態様の場合には、身体接触が1回だけであっても、就業環境が害されていると判断される可能性があります。
他方、身体接触がそこまで強度ではない場合は、行為の継続性または繰り返しが判断の要件となりますが、『明確に抗議しているにもかかわらず放置されている』または『心身に重大な影響を受けていることが明らか』といった場合には、就業環境が害されていると判断されるでしょう。
なお、性的な言動や行為に対してどう感じるかは男女間で差異があるため、被害を受けた労働者が女性である場合には『平均的な女性労働者の感じ方』を基準とすることが適切だと考えられています」
ーー女性への「頭ポンポン」は、就業環境を害する行為と言えるのでしょうか。
「女性の頭をポンポンしたことについて、『平均的な女性労働者の感じ方』を基準に判断した場合、1回で強い精神的苦痛を被るほどの身体的接触であるとまでは言い難いと思われます。
ただ、女性から明確に抗議されたにもかかわらず繰り返したような場合には、就業環境を害する行為と判断される可能性が出てくると言えるでしょう。
上司が部下の肩をたたく行為についても判断基準は同様です。
いずれにしろ、職場における不必要な身体への接触はトラブルの元です。セクハラは男女の認識の違いにより発生している面もあることを十分理解した上で、気を付けて対応する必要があります」
【取材協力弁護士】森田 梨沙(もりた・りさ)弁護士中小企業法務、労働案件、一般民事(交通事故、不動産、離婚事件他)など幅広く手掛ける。事案の早期解決及び予防法務の観点から、依頼者と密なコミュニケーションをとることを常に心がけている。趣味はキックボクシング。事務所名:共進総合法律事務所事務所URL:https://escudo-law.com/