静岡県の浜名湖で、通信制高校に通う中国籍の斉藤宇川(うかわ)さん(17)が遺体となって発見された事件。2月20日、静岡県警は無職の堀内音緒(ねお、21)と、フィリピン国籍で無職の男(18)、ブラジル国籍の1人を含む17歳の少年3人を傷害や監禁の容疑で逮捕した。社会部記者が解説する。
【画像】亡くなった斉藤さん 本人インスタグラムより
「司法解剖の結果、遺体には殴られたような複数の皮下出血があったことなどから、県警は暴行を受けて水死させられたと判断した。遺体発見時はほぼ衣服を身に着けていない状態でした」
逮捕された堀内音緒容疑者(本人のFacebookより)
斉藤さんは4日の午後7時ごろ、家族に「遊びに行く」と伝えて自宅を出た後、浜松市内の知人宅を訪ねていたという。
「5日未明には、斉藤さんは知人宅のアパートで容疑者らを含む複数の友人と過ごしている。その後、停めてあったバイクを倒したことなどからトラブルに発展。容疑者らは斉藤さんを暴行、車に監禁して浜名湖まで運んだとみられる。知人宅は、フィリピンやブラジルをはじめ多国籍の不良少年たちのたまり場として知られていた。捜査本部は、当時集まっていた友人らの関係性や事件への関与の度合を慎重に調べている」(同前)
日本人の父とフィリピン人の母を持つ堀内容疑者。数年前に、浜松市に引っ越してきてからは、大工の見習いなどの作業員として勤務していたが、徐々に交友関係が派手になっていったという。小誌記者が実家を訪ねると、母親が、憔悴しきった表情でこう明かした。
「以前は、友達もいないし恋人もいない、仕事だけ頑張る真面目な子でした。それが2年前くらいから外国人の、主にフィリピン人の友達が増えた。車が好きな子で、元々持っていた車を売りに出して、ローンでレクサスを購入しました。それからは毎日、車で友人と夜遊びするようになった。息子の恋人を通じて、事件当日の話を聞きました。息子は亡くなった方と知り合いでもないし、殺人を犯したとは思えません」
捜査関係者によると、斉藤さんは容疑者5人のうちの一部としか知り合いではなかった。多国籍不良グループとの接点はSNSだったという。斉藤さんの友人の父親が明かす。
「息子は、逮捕されたブラジル国籍の少年と宇川くんの共通の友人でした。宇川くんとは学校は違いましたが、インスタグラムを通じて友達になった。今の若い子たちはそうやってSNS経由で仲間を増やしている。息子から聞いた話では、バイクを倒したことだけではなく、ブラジル人の恋人だったフィリピン人と日本人のハーフ女性を巡るトラブルもあったようです」
混沌とした外国人コミュニティーの中で起きた凄惨な事件。17歳の少年の命が奪われた現実はあまりに重い。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年3月7日号)