福岡市の中学校で、高校の入学願書を学校側が出し忘れ、生徒3人が受験できなかったことがわかりました。
学校側は、2日、保護者会を開きましたが、説明に納得がいかないとの声が相次ぎました。
出し忘れの経緯です。
生徒たちの志望校は2つの市と1つの町が組織する、学校組合が創立した『組合立』の公立高校です。
出願の締め切りは、この組合立高校が2月16日で、県立高校の20日よりも前に設定されていましたが、担当職員が組合立高校の願書締切日を県立高校の締切日と誤って認識していたため、提出が間に合わず、受験できませんでした。
福岡県では、中学校が生徒から願書を預かって高校に出願する仕組みになっています。
中学校が取りまとめをする理由ですが、福岡県の教育委員会によると、願書と評定を一緒に出すので、そもそも生徒だけでは出せないということです。
受験できなかった高校が第一志望だった生徒の保護者に対し、学校側は当初、和解金30万円を持ちかけました。その後、第一志望だったことを考慮して20万円上乗せしました。
さらに、系列の私立高校に進学できるようにすると提案しました。
しかし、保護者は、高校を受験するために3年間塾に通わせた費用や私立に行った場合の公立との学費の差額を支払うよう求めていて、訴訟も検討しています。
学校は、今回どんな責任を問われるのでしょうか。
元大阪地検検事の亀井正貴弁護士に聞きました。「受験する機会を奪った学校側が損害賠償責任を問われる可能性がある。ただ、その場合も、慰謝料の相場は30万円~50万円」だといいます。
また、保護者が求める『塾の費用』については、「損害賠償は不法行為の発生時以降に発生するものが対象で、出し忘れ前に払った塾代は対象外」だといいます。
一方で、『学費の差額』については、「『志望校に確実に入学できた』と立証できれば、3カ月分程度の差額は補償される可能性がある」ということです。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年3月4日放送分より)