独身者が恋人を探す手段は今やマッチングアプリが主流である。しかし、男性の場合一部のイケメン以外は会ってすらもらえない弱肉強食の世界だ。またドタキャンや写真詐欺も多く、良い人に出会うのは難しい。30代半ばともなるとそもそもマッチングすらしない。
一方リアルな出会いといえば、街コン・お見合いパーティなどが挙げられる。近年賑わっているのは相席屋だろう。
相席屋と聞くと若い男女が複数で騒ぐシーンを想像する方も多いだろう。通常の相席屋は基本的に2名以上でないと入店できない。また、飲み・食べ放題のシステムになっているため、それを目的としたいわゆる「メシモク女子」で溢れており、男性が話しかけてもそっけない態度をとられたり会話もままならないケースも多い。それゆえ真剣に出会いを探している人にとっては利用しづらい。
今回潜入した爐ひとり様相席屋瓩噺討个譴討い詼薪垢蓮■運佑任眛店可能。食事の提供はなく、アルコール含むドリンクは飲み放題という形式を取っておりメシモク女子対策も万全だ。
この店は’19年に開業し現在では東京5店舗・神奈川・大阪1店舗ずつの計7店舗で展開されている。コロナで集団での飲食が敬遠される中1:1の形式がウケて着々と利用者を伸ばしていった模様。週末には満席になる店舗も多く賑わっている。
入店するには事前に専用のアプリで会員登録を行う必要がある。身分証のアップロードが必須で、年齢を偽ることができない。早速会員登録を済ませ、平日の19時頃池袋の店舗へ潜入した。
女性1名との相席時間・料金は20分あたり2,750円で週末は3,300円と割高になる。相席していない時間は料金が発生せず、ドリンクは飲み放題だ。女性は完全無料である。
受付を済ませると相席ルームに通された。店内は適度に薄暗く落ち着いた雰囲気で小洒落たバーのようである。3、4名座れるくらいの広いソファーとテーブルが置いてあり隣のルームとは壁で仕切られている。双方の声がはっきりとは聞こえない程度の個室だ。
アプリを見るとリアルタイムで入店人数を確認できる。その日はそれなりに来店者がいたようだが、20分くらい待っただろうか、ようやく1人目の女性がやってきた。
ぱっと見ただけで自分より年上なのが分かった。ショートカットでお世辞にも魅力的とは言い難い。相席するとアプリで相手の情報を確認することができる。名前(ニックネーム)や年齢は直接聞くことなくわかる仕組みだ。確認すると41歳だった。20分しかないため早速トークスタートだ。
「今日はお仕事帰りですか?」と聞くと「はい、フリーランスで子供にオンラインで勉強を教える仕事をしていて」と饒舌に話を始めた。「お仕事は何系ですか?」など仕事の話が中心で進んだ。
時間が限られているのでもっとカジュアルな会話を、と思ったのだが、最初ということもあってテンションが上がらず、質問が全く浮かばなかった。彼女は話すのが好きなようで仕事の話を続けていたようだがほとんど頭に入ってこなかった。
残り5分くらいになり(このままでは収穫がなさすぎる)と思い「他の店舗とか行ったことあります?」と半ば強引に話を切り替えた。「新宿にも行ったことがありますけどあっちは若い人が多くて」と言っていた。土地柄20代が多そうである。池袋ならアラフォーでも需要があるということなのだろうか。
そうこうしているうちに20分のトークが終了した。トーク終了後はアプリでお互いを5段階で評価する仕組みだ。特に問題なければ5点をつける模様。ここで1~2点が複数回続くと入店を断られるらしい。つまらなそうな態度を取ったりすると低評価をもらってしまう。できるだけ楽しそうに会話しなければならないのだ。
また相席した相手とはその日から1週間アプリ内でメッセージのやり取りが可能だ。相席中にLINEを聞けなかった場合に便利だ。この女性とやり取りすることはなかったのだが……。
相席する女性は完全ランダムではなく、男性の年齢や女性の希望をある程度考慮した形でスタッフが決めているようだ。自分が30代半ばであるがゆえ、40代女性をセッティングされたのだろう。
せっかくだからもう少し若い女性と話したいと思い、VIPルームシステムを利用することにした。通常料金に1,100円プラスすると利用することができ、相席する女性の年齢を指定することが可能だ。ちょうど空いていたためスタッフに利用を申し出て「女性は35歳までで」とお願いした。
VIPルームに移動すると5分もしないうちに女性がやってきた。相席の優先度も上がるようだ。アプリで年齢を確認すると30歳となっていた。
早速トーク開始、と思いきや自分とかなり距離を取って入口付近に座っている。カバンの持ち手をしっかり握っており、すぐにでも退出したそうな雰囲気だ。これはやりづらい、と思ったものの躊躇している場合ではないので会話を始めた。
「お仕事帰りですか?」と聞くと「いえ、在宅なので家から来ました」という。
「自由度があっていいですね。何系の会社ですか?」と聞くと「外資IT」と目線も合わさず早口で答えてきた。
会話が全般的に盛り上がらず非常に話しづらい。たまに海外出張もあるような大手企業に勤めているようで仕事は「優秀」なのだろう。
1人目の時の反省を生かし「どんな人がタイプとかあります?」など男女の話題を切り出してみた。「私年下としか付き合ったことなくて……」と彼女は言う。自分から遠い位置に座った理由が分かった。私の年齢を見た瞬間にやる気をなくしたようだ。
「恵比寿とか銀座だともう少し年齢層も高めですよ、結構エリート男性も多いし」と他店舗の情報も詳しいようで常連なのだろう。「業界が同じとかそういうのがあれば外出して飲みに行くこともありましたね」と淡々と教えてくれた。要は自分に見合うハイレベルな年下男性なら相手にしてあげますよ、ということなのだろう。
希望する年齢や職種があるのは構わないのだが、露骨な態度を取られると困ってしまう。しかし低評価を付けられたらたまらないので苦痛に耐えながら笑顔で話を聞き続けた。評価はさすがに5点はないと思い4点にした。今思えば2点くらいで良かった気もする。
外資系ITの冷たい態度に精神を削られたがこのままでは帰れない。もう1人相席することにした。現れたのは26歳の優しそうな事務職のOLだ。10歳も年が離れているのでこちらが恐縮したが笑顔で話しかけてきた。
「どちらの出身なんですか?」と聞かれたので「福岡なんですよ」と答えると「そうなんですね、私この前××っていう温泉に一人旅に行ってきたんですよ」と言う。私の地元だったので「え、○○とか行きました?」と地元話で最初から盛り上がった。
その後休みの日は何をしているか、趣味などの話をしていたら20分たってしまった。
彼女は来たばかりだったのでもう少し店舗にいると言っていた。楽しい時間というのはあっという間に過ぎるものである。スタッフから「そろそろご移動を」と言われるギリギリまで彼女は話を続けてくれた。
いや~良い人だったな、と思ったものの話が盛り上がりすぎて連絡先を聞きそびれた。後日アプリ内でメッセージを送ってみたが返事が来ることはなかった……。
店舗に行けば必ず女性と1:1でトークができるという点ではタイパは良い。20代である程度のコミュ力や清潔感があれば良い出会いを得る可能性は十分にありそうだ。だが、私のように30代半ば以降だと、それぐらいの年齢の男性が好きな女性と相席できるのを期待しながら待つ……ことが必要なのかもしれない。

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