家族の介護などをする子どもたちを指すヤングケアラーについて「かっこいい」としながらも誰かを頼るよう呼びかけた厚生労働省のポスターに対し、職場に貼ってあって不快だったと、X上でその写真が投稿され、議論になっている。
このポスターは3年ほど前の作成だが、ヤングケアラーはなくすべきなのに国が肯定的に表現している、という批判が多い。こうした意見についてどう考えるのかについて、厚労省から業務を引き継いだ、こども家庭庁の担当課に話を聞いた。
そんな言葉がポスターの左上に記され、丘に広がる街並みをバックに、タレントの武井壮さん(50)がこちらを見つめている。ポスターの真ん中には、「子どもが子どもでいられる街に」とのキャッチフレーズが大きく出ていた。
ポスターの下の方には、「『ヤングケアラー』とは、本来大人が担うと想定されているような家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものこと。責任や負担の重さにより、学業や友人関係などに影響が出てしまうことがあります」と説明があり、厚労省のサイトに誘導する仕組みになっている。
このポスターについて、国がやるべき介護を押し付けており、職場に貼ってあって不快だったと、2024年2月25日にX上で投稿があり、大きな話題になった。
投稿に共感する声としては、「ヤングケアラーにさせてごめんなさいだろ」「公助に頼るな自助共助でやれという事ね」「『やりがい搾取』しようとしてる」というポスターへの批判があった。一方で、「子を傷つけないための『かっこいい』では無いのかな?」「誰かに苦境を話すのさえしづらくなるのがよろしく無いってこと」などとポスターに理解を示す向きも見られた。
ポスターについて、こども家庭庁の虐待防止対策課の担当者は28日、J-CASTニュースの取材に対し、厚労省がヤングケアラーを支援していた3年ほど前に作成されたものだと説明した。「ヤングケアラーは、かっこいい」との表現に対する批判については、こう述べた。
なぜヤングケアラーをなくそうと打ち出さないのかについては、こう説明した。
国が介護を担うべきだという意見については、「プロジェクトチームを作り、自治体に補助金を出して、ヤングケアラーを支援しており、この取り組みが公助に当たると考えています」と説明した。
なお、こども家庭庁では現在、別のポスターでヤングケアラーを支援しているとした。
そのポスターを見ると、「友達と遊びたいけど、家のこともやらなきゃ」「別に嫌でやってるわけじゃないし」などと若い女性がこちらを見てつぶやく内容になっている。下の方に、「ヤングケアラーは、一見ふつうのこどもたち。だからこそ、まわりが気づき、声をかけ、手を差し伸べることが大切です」と書かれ、こども家庭庁のサイトに誘導する仕組みになっている。この新しいポスターについては、内容に対する抗議などは特に来ていないという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)