「カスハラ」=カスタマーハラスメント。お店などの従業員に対する暴言などの迷惑行為を表す言葉ですが、東京都がこの「カスハラ」を防止する条例を制定する方向で検討していると明らかにしました。その実効性は?
【写真を見る】「カネ払ったら客だろ!」従業員に現金投げつけ…「カスハラ」の瞬間映像 どう対策?【news23】
24時間営業、安さとボリュームが自慢の弁当屋。店長を悩ませるのが、客の迷惑行為です。
キッチンDIVE 伊藤慶店主「人として・社会人として外れた行動はしないでほしいですよね。お客様といえど。例えば店員に現金を投げつけてしまったり」
キッチンDIVEで2021年に撮影された動画「(金を投げつけ)呼べよ警察を。カネ払ったら客だろうが!コラッ!」
深夜、乱暴に扱ったお弁当を戻そうとした2人組。断った店員に対しお金を投げつけたといいます。キッチンDIVE 伊藤慶店主「お客様のクレームだったり、カスタマーハラスメントと言われるような対応をされ(店員に)辞められてしまうと本当に困る」
動画で学ぼう「カスタマーハラスメント」の動画「客に向かってなんだその態度は。人を散々待たせておいて。こっちはお客様だぞ!」
カスタマーハラスメントとは客が従業員に対し、理不尽なクレームや暴言を吐くなどの迷惑行為のこと。略してカスハラと呼ばれます。
2023年、クレーム対応を行った経験のある会社員を対象に行われた調査(SPN調べ)では、64.5%が直近1年間でカスハラを受けたと回答。近年、社会問題となっています。東京都の小池知事はカスハラの防止条例を制定する方向で検討していることを明らかにしました。
東京都 小池百合子知事「中身についてはこれから詰めていくことになるかと思う」カスハラの防止を目的とした条例が制定されれば全国で初となります。
街の人にカスハラの経験を聞いてみると…
接客業(20代)「ちょっと迷惑だと思ったのは、ネクタイを直して欲しいって。『女性なんだからネクタイを直すべきでしょ』みたいな感じで言われた」
過去に居酒屋勤務(20代)「手を叩いて呼ぶ、それで来て当たり前みたいな。ぐっとこらえてやってましたけどムカついて無視とかもしていたので、お互い様っちゃお互い様」2023年10月からカスハラ防止対策の検討部会を行ってきた東京都。そこで参考としてあがっていたのが、オーストラリアの取り組みです。
オーストラリアで小売業などの労組が公開した動画客「なんなんだこれは!バカなやつだな!追加のソースとチーズが無いなんて。責任者を呼んでこい!」
店員「ファストフード店の店員だからといって客より“下”ではない」オーストラリアでは過去12か月の間に87%の労働者が客から暴言を受けたことがあると回答。数年前から従業員へ敬意を持って接することを客に求めるキャンペーンを行っていますが、あまり効果は上がっていないそうです。東京で条例が制定されれば、カスハラは防げるのでしょうか。
美容師(60代)「何もないよりはあった方がいいのかな。コンビニでもスーパーでも理不尽なこと言うお客様、見ていてイライラします」
公務員(20代)「条例はあってもいいかな。条例を制定しないといけない状況は悲しい」
接客業(10代)「歓迎するべきことだと思うが、条例の制定自体がパフォーマンスになっちゃいけないと思う」北海道でも制定の動きがあるカスハラ防止条例。実効性のある対策となるのでしょうか。
藤森祥平キャスター:クレーム対応をした経験のある従業員のうち、64.5%がカスタマーハラスメントを1年以内に受けたという調査結果がありました。
加害者は男性が8割、世代で見ると40代~60代が8割を占めているそうです。社会的な地位や経験があって、自分では分別があると自覚している人でも、気に入らない対応を受けてカッとなってしまったり、ストレスのはけ口にしている傾向があるそうです。カスタマーハラスメントを見たり、聞いたりしたことはありますか。
小説家 真山仁氏:昔からお店で怒る人は見たことがありますけど、やはりコロナ以降、みんなストレスが溜まっているようなところがこういうふうになってる。逆にいい歳だから我慢してることが多いので、自分が客になったときに吐き出してるんだとすると、問題ですよね。
藤森キャスター:実際の相談には「土下座を強要された」「2時間にわたる暴言」などがあります。企業のカスタマーハラスメント問題に対応しているSPN執行役員・西尾晋さんは「ストレス・メンタルの不調で従業員が退職してしまったり、人材不足・企業の競争力に直結する問題」だと指摘しています。
小川彩佳キャスター:被害に遭った方たちの取材をした喜入さん、どんな声が聞かれましたか。
喜入キャスター:学生時代のアルバイトでハラスメント被害を受け、それがきっかけで就職活動ではサービス業を選択肢から外したという方もいました。あと、多かったのが、そうした行為を見たことがある。それを見ること自体も不快だという、周りの意見も多かったですね。
藤森キャスター:そんな声が上がっている中で、東京都が今後、条例を作って禁止事項のガイドラインを策定していこうという方針を打ち出しました。
“罰則は設けない”見通しであるということです。なぜ、罰則は設けないのでしょうか?悪質な行為には脅迫罪、侮辱罪、偽計業務妨害などで刑法が適用できるということです。
カスハラに詳しい西尾氏は「『カスハラはダメ』というメッセージ効果は非常に高い。しかし、実効性を考えると罰則が必要」だと言います。
喜入キャスター:取材をしていて感じたのは「カスハラ」という言葉・概念自体がまだまだ浸透していない。「カスハラというのは…」という説明が必要で、カスハラというワードではほぼ、伝わらなかった。
小川キャスター:メッセージという意味では効果があるのかもしれませんが、東京都の対応はどうですか?
小説家 真山氏:具体的に「カスハラ」はどうやって定義するのか。例えば、15分以上抗議されたら「カスハラ」なのか。言われた側が、どれくらい傷ついたのかは図れないですよね。そもそも、罰則の前に認定できるかどうかが問題ですよね。どれだけ具体的にできるかというのがないと、被害者にとっては何の意味もないと。やはり、こういうルールを作る以上「罰則を設けない」というのが、一体、何のためだ?となりますよね。せめて、都に訴えて、都が認定すれば、都がその人に代わって刑事告訴できるみたいなことをしてあげないと、もうこれは申し訳ないですけど、都のパフォーマンスですか?という感じですね。本当に親身になっているのか?ということを考えると、これでは全然減らない。「カスハラ」という言葉は有名になるかもしれませんが、誰も救わないのかって逆に言われないのかなと思いますね。
NEWS DIGアプリでは『カスハラ=カスタマーハラスメント』などについて「みんなの声」を募集しました。Q.「カスハラ」防止条例の制定 どう思う?「賛成」…86.9%「反対」…4.3%「その他・わからない」…8.8%
※2月20日 午後11時16分時点※統計学的手法に基づく世論調査ではありません