金欠なのか。日本国際博覧会協会(万博協会)が、2025年大阪・関西万博に向け、りそな銀行から最大360億円を借り入れることが1日判明。6日に開催する臨時理事会で議論し、今月末をメドにりそな銀と契約を結ぶ見通しだ。
大阪万博の延期・中止に現実味…政権浮揚へ起死回生のウルトラC、前売り販売不振も渡りに船
万博の運営費は会場管理の人件費や警備費、広告宣伝費などを含め1160億円。万博協会はその8割を入場料収入で賄う方針だが、実際に入金されるまでには時間がかかる上、これから本格化する資金需要に対応するため、融資を受ける必要があると判断したという。
懸念されるのは、国民負担が新たに生じる恐れがあることだ。
建築資材や人件費の高騰で会場建設費は当初計画の約2倍の2350億円に膨張。さらに、政府の「万博予算執行監視委員会」が先月25日に開いた初会合では、委員から「今回の大阪万博で建設される建物は一つ一つが特殊な仕様」「現下の市場を念頭に置いた際に、これで足りるのかという印象がある」と指摘されている。
チケットの売り上げも深刻だ。足元の販売ペースは週5万枚。運営費の8割にあたる969億円をチケット収入で賄うとなると、全チケットを1日券料金(大人7500円)で売ったとしても、1292万枚もさばかなければならない。現状の販売ペースで推移した場合、完売までかかる期間は4年7カ月。バカ売れしない限り、とてもじゃないが運営費を賄えない。赤字は税金で穴埋めなんてことになりはしないか。
万博会場の建設に関わる当事者からも準備に不安の声が噴出している。建築エコノミストの森山高至氏がこう言う。
「万博パビリオンの設置に関わる知り合いは、『建設業者の人手が足りず、このまま25年4月の開催にこだわり続ければ、主催者側に新たな費用負担が生じる可能性がある』と言います。そもそも建設業界は人手不足が深刻で、時間外労働の上限規制から除外するかどうかが議論されるほど。会場建設に携わる当事者が困っているのに、主催者側に懸念が共有されている雰囲気がない。『無理なスケジュール』『現場の声が届かない』などの問題は、トヨタグループの不正続出と根っこは一緒。万博準備でも日本の悪しき部分がアリアリです」
岸田首相は1日の衆院代表質問で「万博の成功を目指し、来年4月からの開催に向けてオールジャパンで着実に準備を進めていく」と強調していた。「増税メガネ」改め、「無責任メガネ」である。