所有者から預かった高級腕時計をレンタルし、その収益の一部を所有者に支払う、高級時計シェアサービス「トケマッチ」を運営する合同会社ネオリバースが、1月31日に突如解散。
利用者が預けていた時計について、トケマッチ側は「6カ月を目安に返却、もしくは賠償金を支払う」としていますが、利用者らによるといまだに運営側からの連絡はなく、未返却の時計は少なくとも727本、市場価格で総額約16億5000万円に上るといいます。
時計を預けた時計バイヤー:私の場合は17本返ってきたんですけど、貸し出したうちの安価なものを中心で、1000万円分が返って来て、約6000万円ぐらいが返って来ていない状態ですね。
めざまし8の取材にそう話すのは、これまで45本の高級時計を預けたという男性。預けていた時計の一部は帰ってきたものの、今も28本・総額6000万円相当の時計が返却されていません。
男性が時計を預け始めたのは、約2年前。新しいサービスに意義を感じ、預けることを決めたといいます。
時計を預けた時計バイヤー:私自身が時計に携わる仕事をしていましたし、高級腕時計も複数本所有していましたので、それがお客様に触れるのは意義あることかなと。あとはシェアリングエコノミーですね。やっぱりサービス自体が怪しいと最初は思っていましたので、徐々に増やして行った形なんですけど、最終的には45本預けた形です。
実際に、預け始めると、最初は、月に5万円~6万円。最終的には、100万円の収益があったと言います。
しかし、解散宣告のあった1月31日に振り込みを確認したところ、本来100万円ほど支払われる予定が、入っていたのはわずか6万円。さらに、その日の午後、運営会社から突然預けていた時計の内、17本が返却されました。異変に気づいた男性が運営会社のホームページを見ると、そこには解散の知らせが書かれていました。
時計を預けた時計バイヤー:私の場合は取引先になりますので、代表の電話番号も知っておりましたので、電話をしましたが、つながらなかったです。
今も音信不通だというトケマッチの代表。男性が今、最も懸念しているのが、返却されていない時計の“行方”です。男性が見せてくれたのは、業者間で取り扱う時計の売買サイト。
時計を預けた時計バイヤー:ありましたね。こちらです。ロレックスの時計なんですけど、例えばこのシリアル(番号)このように表示されていまして、2024年2月6日に売買がされているんです。
時計業者が利用する売買サイトで、トケマッチに貸し出したものと同じシリアルナンバーの時計が売りに出されている可能性があるというのです。
125万円で購入したロレックスを、トケマッチに預けていたという男性。預けた理由は「サービスの良さ」だったといいます。
約125万円のロレックスを預けていた男性:機械式時計なので使わないとどんどん劣化していくんですよね。預けて副収入になるし、返す時はメンテナンスをした上で、返しますよっていうことで。とりあえず預けてみるかと思って、お試しでやってたんです。
約1年半、レンタル料の振り込みが滞ることもなく、何の疑いもなかったと言います。
別の男性は、66万円で購入したロレックスを半年前に預けました。決め手となったのはシェアリングサービスの業界団体にも加盟していた点です。
約66万円のロレックスを預けていた男性:雑誌などで紹介されていて、サービスを知りました。協会とかにも加盟していたので、信用してしまったというのが実情ですね。返却されることを、もう、ただ一心に望むだけです。
昨年末に100万円で買ったロレックスを貸し出したばかりだという男性は、当初トケマッチの高すぎる利回りに疑う気持ちがあったと話します。始めたきっかけは、去年12月、トケマッチが行ったキャンペーン。貸し出しを決めるとギフトカードがプレゼントされるというものでした。
約100万円のロレックスを預けていた男性:一種の投資かなって思って、年間40万ぐらいもらえるなら、いい収入になるかなっていうところはあった。(去年12月に)ちょっとキャンペーンもあって、始めるタイミングは、今がいいだろうっていうところで、1万4000円くらいもらえた感じですね。貸し出しちゃった自分も悪いかなっていうところはあるんですけど、換金化しやすい価値が出やすいものっていうのは、さばくのも簡単ですし、それこそすぐ売れちゃうっていうのもあるんでもう格好の餌になったかなと。みんなの時計が一本でも多く戻ってくるってところを、祈るしかないのかなって。
このまま時計が戻ってこなかった場合、法的措置をとることは可能なのか。ある利用者は「弁護士や警察に相談しても、現時点では事件化は難しいといわれてしまう」と話します。
その理由は、少額でも月々の預託料が支払われており「詐欺」だと認定しづらいこと、さらに、時計を転売しているのが、トマチケット側だと立証することが現時点では難しいことなどがあげられます。
トケマッチが加入していたシェアリングエコノミー協会は、トケマッチに対して法人会員からの退会処分と認定マーク付与の取消を行い、サービス利用者に対して警察への相談時に利用できる資料を作成するとしています。(めざまし8 2月13日放送)