2023年3月、東京・台東区の自宅マンションで4歳の次女に車の不凍液に使われる、人体に有害な物質「エチレングリコール」などを摂取させ、中毒死させたとして両親が警視庁に逮捕されました。
【写真を見る】4歳次女を中毒死させた疑いで両親を逮捕 遺体から「2つの成分検出」で考えられる可能性は【Nスタ解説】
井上貴博キャスター:今回の事件は現場となったのが自宅です。密室なので客観的な証拠の積み上げに時間がかかったのではないかと言われています。

逮捕容疑の“殺人”は、“明確な殺意を裏付ける証拠があった”ということなので、その部分は重要なポイントかもしれません。
逮捕されたのは細谷健一容疑者(43)と妻・志保容疑者(37)の2人です。2018年4月ごろマンションで不審死が確認されているのが、健一容疑者の姉です。そして、この容疑者夫婦には3人の子どもがいることが発表されています。
次女の美輝ちゃん(4)が2023年3月に中毒死していました。中毒死させた疑いです。つまり明確に殺意があったということを重く見るべきニュースかもしれません。
容疑者の2人は浅草でホテルを経営し、マンションを所有していました。そして、外国車に乗っている姿が目撃されていました。容疑者が経営するホテルでは「資金繰りに困っていた」という従業員の話もありました。
今わかっていることです。2023年3月13日、健一容疑者が通報。救急隊が駆けつけたとき、次女・美輝ちゃんの意識は既にありませんでした。運ばれた先の病院で死亡が確認されています。
司法解剖を行った結果、美輝ちゃんの遺体から致死量である「エチレングリコール」と「オランザピン」の2つの成分が検出されました。2023年8月29日、細谷容疑者宅を警視庁が捜索しました。任意聴取で容疑を否認していました。客観的証拠の裏付けに時間がかかったこと、美輝ちゃんが誤ってこれらの成分を口にした可能性が低いことなどから14日、殺人の疑いで逮捕となりました。
まず、検出された「オランザピン」について法科学研究センターの雨宮正欣所長に伺うと、統合失調症などの治療に使われる向精神薬の1つだということです。幻覚・妄想などの症状、強い不安感やイライラを改善して気分を安定させるものです。処方箋が必要で、大量に服用すると死亡することもあります。子どもに対して処方することは全く考えられていない薬です。
もう1つが「エチレングリコール」。これは車の不凍液などに入っている成分で、体内に入ると毒性の強い物質に変わり、腎臓、特に肝臓などに悪影響を及ぼします。特別な資格なくインターネットなどでも購入できます。無色透明で甘いので、薄めるなどすると子どもは口にしても気づきづらい側面があるそうです。
この2つの成分が検出されたことで考えられる可能性について、エチレングリコールは腎臓などの機能が低下していきます。そうすると、不必要な物質の排出機能が低下します。排出できないところにオランザピンの成分が入ってくると体内に蓄積します。
一方、オランザピンは吐くことを抑える作用はあるので、エチレングリコールを大量に摂取できてしまします。
雨宮所長「長期間、体に毒がある状態が続く。体の機能が低下し、死亡することもある」
ホラン千秋キャスター:こういった2つの成分のものがどのようにして家庭に持ち込まれた可能性があるのか、そして美輝ちゃんが摂取させられた可能性があるのか、わからない点はたくさんあります。
井上貴博キャスター:6年前の健一容疑者のお姉さまが不審死を遂げている。今回の件がなかったら不審死で片付けられていたのかもしれないということも含め、捜査が進んでいくようです。