「実演販売やってるじゃん」
【画像】地元でビラ配りをする西村康稔氏
日曜日のショッピングモールに響く、関西弁のマシンガントーク。通りかかったカップルの男性がそう呟いた。視線の先に立っていたのは、前明石市長の泉房穂氏(60)だ。
田氏とは『朝まで生テレビ!』でも共演した前明石市長・泉房穂氏
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1月28日、泉氏は東京郊外の南町田グランベリーパークの書店で、新著の出版記念講演会を開催。明石市長時代に子育て支援政策で実績を上げた泉氏の話を聞こうと、会場は子育て世代の女性を中心に、立ち見客も出る盛況ぶりだ。
泉氏は東大卒業後、NHK、テレビ朝日を経て弁護士に転じたのち、衆議院議員(1期)を経て、2011年に明石市長に当選した。
「市長時代には人口増など目に見える実績を上げる一方、職員へのパワハラ発言でいったん辞職。出直し選挙で再選後も暴言癖が仇となり、昨年春に3期12年で市長を退きました」(全国紙記者)
だが、政治家を辞めると評価が一転、その“口の悪さ”がメディアで重宝されるように。
「特に最近は自民党の裏金問題を痛烈に批判し、お茶の間にウケている。なかでも、政権寄りとされる政治評論家の田史郎氏とのバトルは『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)の名物になっていて、温厚な田氏が『ちゃんと聞きなさい』と泉氏をたしなめる場面も」(民放社員)
その影響力は現実政治にも。地元兵庫の三田(さんだ)市長選だけでなく、東京都立川市長選、埼玉県所沢市長選と、昨年の首長選で泉氏が応援した非自民の候補者が続々と当選したのだ。
そんな泉氏を目下、一番恐れているのが、あの“旧安倍派幹部”だという。
「裏金問題で経産相を辞任した西村康稔氏です。彼の選挙区は明石市を中心とする兵庫9区ですが、泉氏が次の選挙に出るという噂がある。地元で圧倒的な人気を誇る泉氏が乗り込んでくれば、西村氏の当選は危うい。最近、地元の駅前で“お詫びのビラ”を配り始めて話題になりましたが、背景には泉氏出馬への焦りがあると囁かれています」(前出・全国紙記者)

講演会を終えた泉氏を直撃した。
――西村氏の対抗馬として兵庫9区から出馬する?
「みんな、いろんなこと言うてるで。『M-1グランプリ』出るんちゃうかとか。田史郎さんと組んで出たらおもしろいんじゃないかと思うけど。12年間、市長を一所懸命やって、今は少しゆっくりというか、テレビ出さしてもらったりして。先のことは完全に未定かな。あとは自分自身が役者でやってしまうと、できることが限られるから。一歩引いた脚本家のほうが向いてる」
――西村氏は慌ててビラ配りを始めたようだが。
「それは知らんわ。本人に聞いてもらわな」
――田さんともコンビのようにテレビに出ている。実際の関係は?
「私は対立してるとは思うてない。田さんのコメントが変わってもらわないと困ると思うてる。田さんが変わらないと日本の政治は変わらない。田さんが不幸なのはまともな政治家を見てこなかったから。選挙屋さんばかり見とるから。私を見てもらったら、金もかけんとマイク1本で(選挙に)通っとるがな。全政党敵やったで。マスコミも敵や。文春なんて1回も味方してくれたことないわ」
そう言うと、傍らにいた女性スタッフに対し「文春が調べてもカネとオンナは出なかったんやで!」と豪語するのだった。そのサービス精神、役者でも政治家でもなくタレント向き?
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月8日号)