大学院進学か、海外留学か──国民の関心を集めていた愛子さまの進路は、驚くべきことに「日本赤十字社への就職」だった。勉学に夢中になられていた愛子さまは、なぜ、あえてキャンパス生活を4年で切り上げられたのか。そこには両陛下をお支えしたいという強いお気持ちとともに、日本の皇室の現状を慮られる愛子さまのお心があった。
【写真】純白のジャケットに内側は赤ニット姿の愛子さま。他、ご一家で那須に行かれた姿、トレンチコート姿の雅子さまも
宮内庁は1月22日17時、天皇家の長女・愛子さまの就職が内定したと公表した。愛子さまには、大学院進学、あるいは海外留学という選択肢もあった。
「両陛下の留学のご経験は、国際親善の活動に生かされています。このグローバル化の時代、愛子さまの留学は既定路線だとみられてきました。2022年、初めての歌会始の儀で、愛子さまは高校2年生の夏休みの英国留学の思い出を詠まれていますから、留学へかける思いも少なからずあったはずです」(皇室記者)
しかし愛子さまが選ばれたのは、就職と、皇族としてのご活動の両立だった。2020年3月に成年に際して行われた会見で、愛子さまは両陛下にお伝えになりたい言葉として、「これからも長く一緒に時間を過ごせますように」と述べられた。前出の皇室記者は、「愛子さまには、両陛下をお支えし続けたいという、並々ならぬ思いがあるのだろう」と分析する。
「学問を続ける、留学するという進路もよぎったはずです。しかし、愛子さまはそうした“私”の側面よりも、“公”を優先されたのではないでしょうか。何よりも、愛子さまがそばにいらっしゃることで、病気と向き合われている雅子さまが安心されるでしょう」(前出・皇室記者)
岸田首相が昨年11月、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」を設立し、「皇族数の確保」および「安定的な皇位継承の確保」についての議論に本腰を入れ始めたことも無関係ではあるまい。現在の皇室典範に則れば、女性皇族は婚姻により皇族の身分を離れる。しかし、その前提が揺らいでいるのだ。
「懇談会は皇族数確保の方策として、『女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する』、『旧宮家出身の男系男子を養子縁組で皇族とする』という両案を併記する方向で調整に入ったそうです。
愛子さまと近しい年代の皇族は、佳子さまと悠仁さまお二人しかいません。佳子さまは制度が変わる前にご結婚されないとも限らない。愛子さまが学業を優先されたり、留学に行かれたりと公務を担いづらい状況にあると、今後、悠仁さまおひとりにご負担が集中することになります。だから、留学はされずに日本にとどまるという選択をされたのではないか」(全国紙政治部記者)
また、皇室典範では、「皇位は、皇統に属する男系の男子たる皇族が、これを継承する」と定められている。しかし、皇位継承資格を有しているのは、秋篠宮さま、悠仁さま、常陸宮さまの3人のみで、「安定的」な皇位継承の確保にはほど遠い。
「天皇の血筋を父方から受け継ぐことを『男系』、母方から受け継ぐことを『女系』といいます。愛子さまは『男系』の女性皇族です。天皇家は一貫して男系男子によって継承されてきたとされている。そのため『女系天皇』については根強い反対があるのですが、実は『男系』の『女性天皇』については、近年、風向きが変わってきているのです」(前出・皇室記者)
岸田氏は思い切って派閥解散を表明したものの、いまだに内閣支持率は落ち込んだままだ。岸田氏の自民党総裁の任期満了である今年9月までの衆院解散・総選挙は、依然としてままならない状況だという。
「岸田首相は総裁選で再選を勝ち取るため、昨年から着手してきた『皇室改革』を打ち出してもおかしくない。念頭にあるのは女性天皇容認、つまり『愛子天皇』でしょう。国民の8割が女性天皇に賛成という世論もある。これほど支持率上昇が期待できる政策はありません」(前出・全国紙政治部記者)
もし、「女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する」案だけでなく、「女性天皇」も容認されれば、愛子さまは “生涯皇族”というだけでなく、即位される可能性も出てくることになる。
「愛子さまは天皇家の長女としてのお立場をよく自覚されている方です。政治側がどのような結論に至っても問題が起こらないよう、皇室全体のことをお考えになり、ご自身は進学や留学ではなく、ご公務と仕事を両立させるというご決断をされたのではないでしょうか」(宮内庁関係者)
雅子さまは、外務省を経て皇室に入られ、現在、海外訪問や、海外から招かれた要人との接遇でご活躍されている。そのお姿を間近で見てこられた愛子さまにとって、就職は前向きな選択でもあるかもしれない。
「今後、皇族数の減少は避けられません。年齢を重ねられるにつれて公務の比重が大きくなることは自明です。愛子さまにとって、公務が多忙になる前に、早めに社会人経験を充分に積まれることはむしろプラスとなるのではないでしょうか。
キャリアウーマンから皇太子妃に転じ、皇室に新たな風を吹き込まれた雅子さまのお姿を追いかけ、会社員のような職に就きたいと思われたことは、自然なことでしょう」(前出・宮内庁関係者)
両陛下は、愛子さまの就職内定に際し、次のようなコメントを寄せられた。
「愛子が日本赤十字社の嘱託職員として受け入れていただくことになったことをありがたく思います。この春から日赤の一員として仕事に従事することにより、多くの人のお役に立てるよう努力を続けるとともに、社会人の1人として成長していってくれることを願っています」
愛子さまが日本の皇室の新たな扉を開かれようとしている。
※女性セブン2024年2月8日号