1970年代の連続企業爆破事件を巡り、警視庁公安部が過激派「東アジア反日武装戦線」のメンバー桐島聡容疑者(70)(爆発物取締罰則違反容疑で指名手配)とみている男が、数十年前から「ウチダヒロシ」の偽名を使い、神奈川県の土木工事会社に住み込みで働いていたことが捜査関係者への取材でわかった。
公安部は桐島容疑者が県内で逃亡生活を送っていたとみて、男の身元確認を進めている。
捜査関係者によると、男は今月、同県鎌倉市の病院に入院した際、健康保険証を提示せず「ウチダ」と名乗ったが、25日になって病院関係者に「自分は桐島聡」と明かした。末期の胃がんで、容体は重篤だという。
公安部の任意の事情聴取に対し、男は同県藤沢市の土木工事会社で働いていたと説明。実際に数十年前から住み込みで働いていたことが確認された。職場でも「ウチダ」を名乗り、会社側は桐島容疑者の可能性がある人物とは知らなかった。
公安部は身体的特徴などから、男が桐島容疑者本人の可能性が高いとみている。
桐島容疑者は75年4月、東京都中央区銀座の「韓国産業経済研究所」で手製爆弾を爆発させた疑いで、翌5月、指名手配されている。