自民党安倍派の政治資金パーティー裏金疑惑を受け、岸田文雄首相は安倍派の閣僚を交代させたが、内閣支持率・政党支持率共に最低を更新している。岸田首相自身、意中の候補から断られたことも踏まえて「想定内」と総括し、一部で流布される辞任説を払拭すべく前向きなのだという。
【写真をみる】「9000万円裏金」を作っていたとして名前が上がっている「安倍派4回生議員」は誰? 収入を過少申告していた各派の長たちも「安倍派の裏金問題に東京地検特捜部が強制捜査を進めていることを受け、岸田首相は安倍派所属の閣僚交代を断行しました。松野博一官房長官を林芳正氏(岸田派)に、西村康稔経産相を齋藤健氏(無派閥)に、鈴木淳司総務相を松本剛明氏(麻生派)に、そして宮下農水相を坂本哲志氏(森山派)にといった陣容です。この後、高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、そして世耕弘成参院幹事長も交代予定で、それで安倍派の一掃がとりあえず落ち着くことになりそうです」
厳しい政権運営を強いられる岸田首相 と、政治部デスク。意中の官房長官候補「政府与党の要職を占めてきた、いわゆる安倍派5人衆が揃っていなくなる異常事態です。ただ、岸田首相は全く投げやりになっておらず、一部で取り沙汰される来年の予算案成立と引き換えにしての首相退任の花道論など、全く眼中にない様子。世論調査でしばらくは悪い数字が続くのは織り込み済みで、年明けから反転攻勢を狙っているようです」(同) もっとも、今回の閣僚交代後の人事については明確に断られた相手もいる。「岸田首相と当選同期で信頼関係があるる浜田靖一元防衛相に官房長官就任を依頼していたのは事実ですが、本人が断ったようです。内閣が倒れそうな中、1つのミスも許さない状況で、よりふさわしい人物がいるはずだという返答をしたようです」(同) 結果的に、林氏にお鉢が回ってきたということになる。「林氏は能力が高く、常に冷静沈着で取り乱すことなく、霞ヶ関の官僚たちの信頼も厚い。世襲でエリート然とした態度が鼻につくとの評もありますが、前任の松野氏を圧倒する調整力を今後見せるはずです」(同)ヤミの金とかそれこそ裏金 ならば最初から林氏を官房長官に就けていれば良かったのではないかと誰しも思うところだが……。「岸田首相はつい先日離脱しましたが、林氏と共に同じ派閥に所属していたということが大きいようです。首相と官房長官は共に自由な判断で内閣官房報償費(機密費)を使えることになっています。これは領収書が要らない支出で、1ヶ月で1億円前後の規模。岸田首相は外れたとはいえこの特権を同じ派閥で独占することで、他派閥から批判の声が上がる可能性もある。機密費はその性質上、ヤミの金とかそれこそ裏金とも言われ、時節柄、不謹慎と言われかねません」(同) 今回も同じ派閥は避けたかったが適任者が他におらず、政権運営の安定感を第一に考えて林氏を起用せざるを得なかったというのが実情のようだ。「今回の代打閣僚人事は悪くなく、それなりに評価されているようです。安倍派はもちろん岸田おろしを進める勢力は存在しないことから、低空飛行を続けた後、どのタイミングで機首を上げることができるか、注目されるところです」(同) もっとも一掃された側の安倍派も年明け以降は黙っていないだろう。政権の体力がいつまでもつのか我慢くらべの日々が続きそうだ。デイリー新潮編集部
「安倍派の裏金問題に東京地検特捜部が強制捜査を進めていることを受け、岸田首相は安倍派所属の閣僚交代を断行しました。松野博一官房長官を林芳正氏(岸田派)に、西村康稔経産相を齋藤健氏(無派閥)に、鈴木淳司総務相を松本剛明氏(麻生派)に、そして宮下農水相を坂本哲志氏(森山派)にといった陣容です。この後、高木毅国対委員長、萩生田光一政調会長、そして世耕弘成参院幹事長も交代予定で、それで安倍派の一掃がとりあえず落ち着くことになりそうです」
と、政治部デスク。
「政府与党の要職を占めてきた、いわゆる安倍派5人衆が揃っていなくなる異常事態です。ただ、岸田首相は全く投げやりになっておらず、一部で取り沙汰される来年の予算案成立と引き換えにしての首相退任の花道論など、全く眼中にない様子。世論調査でしばらくは悪い数字が続くのは織り込み済みで、年明けから反転攻勢を狙っているようです」(同)
もっとも、今回の閣僚交代後の人事については明確に断られた相手もいる。
「岸田首相と当選同期で信頼関係があるる浜田靖一元防衛相に官房長官就任を依頼していたのは事実ですが、本人が断ったようです。内閣が倒れそうな中、1つのミスも許さない状況で、よりふさわしい人物がいるはずだという返答をしたようです」(同)
結果的に、林氏にお鉢が回ってきたということになる。
「林氏は能力が高く、常に冷静沈着で取り乱すことなく、霞ヶ関の官僚たちの信頼も厚い。世襲でエリート然とした態度が鼻につくとの評もありますが、前任の松野氏を圧倒する調整力を今後見せるはずです」(同)
ならば最初から林氏を官房長官に就けていれば良かったのではないかと誰しも思うところだが……。
「岸田首相はつい先日離脱しましたが、林氏と共に同じ派閥に所属していたということが大きいようです。首相と官房長官は共に自由な判断で内閣官房報償費(機密費)を使えることになっています。これは領収書が要らない支出で、1ヶ月で1億円前後の規模。岸田首相は外れたとはいえこの特権を同じ派閥で独占することで、他派閥から批判の声が上がる可能性もある。機密費はその性質上、ヤミの金とかそれこそ裏金とも言われ、時節柄、不謹慎と言われかねません」(同)
今回も同じ派閥は避けたかったが適任者が他におらず、政権運営の安定感を第一に考えて林氏を起用せざるを得なかったというのが実情のようだ。
「今回の代打閣僚人事は悪くなく、それなりに評価されているようです。安倍派はもちろん岸田おろしを進める勢力は存在しないことから、低空飛行を続けた後、どのタイミングで機首を上げることができるか、注目されるところです」(同)
もっとも一掃された側の安倍派も年明け以降は黙っていないだろう。政権の体力がいつまでもつのか我慢くらべの日々が続きそうだ。
デイリー新潮編集部