街で賛美歌が流れてくると「もうクリスマスだなぁ」と感じる人が多い一方で、「憂鬱な気分になってしまう」という稀な人も存在する。本田雅一さん(38歳・仮名)は今でも忘れられないクリスマスの苦い思い出があるそうだ。◆クリスマスにみんなで集まることに 「当時、僕は雑誌の編集プロダクションで働いていたんですが、あまりの激務で恋愛する時間もなかったんです。そんな中、たまたま参加できた合コンですごく可愛い子がいて」 彼のハートを射止めたお相手のAさんは、本田さんよりも2歳年下で芸能事務所でマネージャーをしていたという。 「背が小さい本田翼ちゃんみたいな子でした。もうひと目惚れでしたね!」 だが、1対1でデートに誘う勇気もなかったそうだが、そこに一縷の望みが……。 「合コン自体がすごく盛り上がって、みんなで仲良くなって。幹事の1人が“このメンツでクリスマスに集まらない?”と言い出したんです」
◆なんとか徹夜で参加した結果 本田さんは仕事がたまりまくっており、絶対に無理な状況だったというが、このチャンスを逃してはならない!と参加するために努力を尽くした。 「すごい量の仕事を前倒しにして、何日も会社で徹夜しました。なんとかAちゃんと近づきたいという一心でしたね」 なんとか仕事を終わらせてクリスマス当日は昼から居酒屋に集合し、みんなで飲んでいた。そこでAちゃんは「私、クリスチャンなんだけど、あとで教会に行かない?」と提案してきたという。 「もう僕もみんなも酔っ払って『行こう~! 行こう~!』とノリノリ。みんな無宗教だけど、クリスマスに教会に行くってなんかいいなぁ~って」 夕方、Aさんに誘導されて教会に到着。本田さんたちは6人グループだったそうだが、教会にはすでに30人ほどの人がいたという。 「後ろの方にならんで、立ってみんなで賛美歌を歌うんですが、賛美歌って、すごい良いんですよ。優しいハーモニーというか。しかもクリスマスに教会ってシチュエーションも最高で」 本田さんは賛美歌に酔いしれていた。だが、そこから気がついたときには、別の居酒屋にいたという……。
◆気がつくと居酒屋で寝ていて… 「賛美歌はいいなぁ~と思ったまま、目を開けると、居酒屋でAちゃん以外のメンバーが飲んでいるんです。え……? これなに……? どういうこと……? と、かなり混乱しました」
なんと本田さんは、まだみんなが賛美歌を歌っている最中にもかかわらず勝手に着席し、そのまま横になって爆睡したという。そして、それを見つけた教会のスタッフにつまみ出されたそうだ。 「まったく記憶がないんですけど、僕がつまみ出されてAちゃんはブチ切れ。ほかのメンバーも気まずくなったみたいで出てきたというんです。みんなは『あれだけ飲んでて、あんなに神聖な場は完全に場違いだったから、早く出たかった』『ぶっちゃけ助かった』なんていってましたが、僕からしたら、なんてことをしてしまったんだ……と絶望しかない。仕事で徹夜が続いていたので、お酒が入ったことで急に寝てしまったみたいです」 クリスチャンであるAさんからすると、クリスマス礼拝で爆睡する相手など言語道断。その後は一切連絡がつかなくなってしまったんだとか。
◆賛美歌を聞くと悲しい気分になる 「本当に後悔しました。何回も謝罪のLINEをしたし、友人づてに連絡もしましたが、全く返信はありませんでした。どうしても会いたかったから徹夜続きで仕事を頑張ったことも、会えた嬉しさから場を盛り上げようと飲みすぎたことも全て裏目に出てしまいました」 そんなクリスマスの失敗以降、賛美歌を聞くと悲しい気分になるという本田さん。 「いまだに引きずってます(笑)。あそこで僕が爆睡なんてせず、しっかりと賛美歌をうたっていれば、彼女と付き合えたかもしれないのに……って本気で思っています」
<取材・文/吉沢さりぃ>
―[クリスマスの恋愛失敗談]―