「私人逮捕系」ユーチューバーがまたも逮捕された。警視庁薬物銃器対策課は11月20日、覚醒剤取締法違反容疑でユーチューバーの今野蓮容疑者(30)らを逮捕した。
【画像】「警視庁のパトカー勝手に乗ってみた」と投稿するコロアキ「今野はユーチューブチャンネル『ガッツch』の中島蓮として知られる人気ユーチューバー。悪さをしている一般人を見つけ出し、『私人逮捕』する企画で注目を集めていました。しかし、その私人逮捕の案件が逆に犯罪に当たるとして、逮捕されてしまいました」(警視庁担当記者)

逮捕は警察官など一部の公務員にしか本来認められておらず、一般人が行えば逮捕・監禁罪に問われる。だが、現行犯や一定の罪より重い場合など限られた条件下では「私人逮捕」として一般人でも身柄を確保することが許されている。逮捕された今野蓮(NHK NEWS WEBより)「ガーシーが莫大な利益を得ていたことが判明し…」 そうした私人逮捕の中継を売りにしたユーチューブ番組が増えた結果、トラブル件数も右肩上がりだ。最近では同じく私人逮捕系ユーチューバー「煉獄コロアキ」こと杉田一明容疑者(40)が当時18歳の女性に「パパ活やってるでしょ」などと声をかける動画を配信したとして名誉毀損容疑で13日に逮捕された。「警視庁は6月、常習的脅迫などの容疑で暴露系ユーチューバー、元参院議員のガーシー(東谷義和)被告(52)を逮捕したが、ガーシー被告が暴露系の動画で莫大な利益を得ていたことが判明し、他のユーチューバーについても積極的な摘発が目立つようになった。今野容疑者についても見るに見かねた、というのが正直なところだろう」(捜査関係者)「今野のやり方が違法であることが発覚し…」 今回逮捕された今野が問われたのは覚醒剤の所持を「教唆」した疑いだ。 前出の記者が解説する。「今野は8月、女性を装ってネットに『一緒に覚醒剤を使いたい』旨を書き込み、それに応じた男性が覚醒剤を持って待ち合わせ場所に現れたところを今野が“私人逮捕”し、110番通報。やってきた警察に所持品検査をさせ、覚醒剤の所持容疑で男性は逮捕された。いわば“おとり捜査”ですが、その後の男性の供述から、今野のやり方が違法であることが発覚し、今回の逮捕につながった」 別の捜査関係者は「今野の中途半端な法律の知識が今回の逮捕に影響した。素人だからしょうがないが、捜査の基本がわかっていない」と断じる。「警察のおとり捜査で許されているのは、売人が覚醒剤の販売をSNSで持ちかけたりしてきた時に買うふりをして捕まえるなど、もともと罪を犯そうとしている人に接触する形だけ。自分から先に覚醒剤を使いたいなどと水を向ければ『犯罪を誘った』として、違法な捜査になる」 まさに生兵法は怪我の基。取り調べに対し、今野は容疑を認めているという。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年12月7日号)
「今野はユーチューブチャンネル『ガッツch』の中島蓮として知られる人気ユーチューバー。悪さをしている一般人を見つけ出し、『私人逮捕』する企画で注目を集めていました。しかし、その私人逮捕の案件が逆に犯罪に当たるとして、逮捕されてしまいました」(警視庁担当記者)
逮捕は警察官など一部の公務員にしか本来認められておらず、一般人が行えば逮捕・監禁罪に問われる。だが、現行犯や一定の罪より重い場合など限られた条件下では「私人逮捕」として一般人でも身柄を確保することが許されている。
逮捕された今野蓮(NHK NEWS WEBより)
そうした私人逮捕の中継を売りにしたユーチューブ番組が増えた結果、トラブル件数も右肩上がりだ。最近では同じく私人逮捕系ユーチューバー「煉獄コロアキ」こと杉田一明容疑者(40)が当時18歳の女性に「パパ活やってるでしょ」などと声をかける動画を配信したとして名誉毀損容疑で13日に逮捕された。
「警視庁は6月、常習的脅迫などの容疑で暴露系ユーチューバー、元参院議員のガーシー(東谷義和)被告(52)を逮捕したが、ガーシー被告が暴露系の動画で莫大な利益を得ていたことが判明し、他のユーチューバーについても積極的な摘発が目立つようになった。今野容疑者についても見るに見かねた、というのが正直なところだろう」(捜査関係者)
今回逮捕された今野が問われたのは覚醒剤の所持を「教唆」した疑いだ。
前出の記者が解説する。
「今野は8月、女性を装ってネットに『一緒に覚醒剤を使いたい』旨を書き込み、それに応じた男性が覚醒剤を持って待ち合わせ場所に現れたところを今野が“私人逮捕”し、110番通報。やってきた警察に所持品検査をさせ、覚醒剤の所持容疑で男性は逮捕された。いわば“おとり捜査”ですが、その後の男性の供述から、今野のやり方が違法であることが発覚し、今回の逮捕につながった」
別の捜査関係者は「今野の中途半端な法律の知識が今回の逮捕に影響した。素人だからしょうがないが、捜査の基本がわかっていない」と断じる。「警察のおとり捜査で許されているのは、売人が覚醒剤の販売をSNSで持ちかけたりしてきた時に買うふりをして捕まえるなど、もともと罪を犯そうとしている人に接触する形だけ。自分から先に覚醒剤を使いたいなどと水を向ければ『犯罪を誘った』として、違法な捜査になる」 まさに生兵法は怪我の基。取り調べに対し、今野は容疑を認めているという。(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年12月7日号)
別の捜査関係者は「今野の中途半端な法律の知識が今回の逮捕に影響した。素人だからしょうがないが、捜査の基本がわかっていない」と断じる。
「警察のおとり捜査で許されているのは、売人が覚醒剤の販売をSNSで持ちかけたりしてきた時に買うふりをして捕まえるなど、もともと罪を犯そうとしている人に接触する形だけ。自分から先に覚醒剤を使いたいなどと水を向ければ『犯罪を誘った』として、違法な捜査になる」
まさに生兵法は怪我の基。取り調べに対し、今野は容疑を認めているという。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年12月7日号)