「SNSに匿名で書き込みがありました。書かれた本人は酷く傷ついています」──山形県酒田市立第一中学校でいじめが発覚していたことがNEWSポストセブンの取材でわかった。2023年11月10日、臨時学年集会に集められた中学3年の全生徒を前に、教職員は冒頭のように語ったという。学校関係者が語る。
【写真】いじめ発覚後に、酒田市立第一中学校の3年生に配布された「学年だより」。他、いじめが原因で自ら命を絶った当時中学1年生の石澤準奈さん「臨時学年集会で、中学3年生の女子生徒のSNSに誹謗中傷する書き込みがあったことが、教職員によって生徒たちに伝えられました。被害生徒のSNSには、『4(死)んだら?』『お前マジ木※(キ)モイね』(※は木の絵文字)『お前のたくさんいると思っている友達の8割はお前のことを嫌っているよ』などの悪質な書き込みがあったそうです」

山形県は昨年度の小、中、高校、特別支援学校で認知されたいじめの件数が1万2393件と、3年連続で全国最多となっている。そんな中で起きてしまった今回のいじめに、ある保護者は2年前の出来事が脳裏をよぎったという。「今回、いじめが起きている中学では、2021年に石澤準奈さん(当時中学1年生)が校舎で自ら命を絶つという痛ましい事件が起きたばかりです。準奈さんも生前、クラスメイトから『死ね』『キモい』などと書かれた手紙を複数回、下駄箱に投函される嫌がらせを受けていました。この事件については、いじめを調査していた第三者委員会によって昨年4月に『いじめがあった』と認定されています」(同前) 準奈さんについては、遺族の意向を受けて現在、いじめと自殺の因果関係について再調査委員会が関係者への聞き取りを行っている。生徒や教職員などへの聞き取りは終了しているが、調査に応じなかった複数人の生徒がいたことを同委員会は明かしていた。そんな中で、再び起きてしまったいじめ事案。今回、SNSへの誹謗中傷は、放置しておけば手遅れとなってしまういじめ事案になりかねないと、前出の関係者が打ち明ける。「学校側は保護者からの相談で今回の事態を把握しました。書き込みの内容は、同中学で行われた合唱祭を匂わせるものでした。被害生徒のSNSを閲覧できるのはそのアカウントを知っている人物のみで、同校の生徒が関与した可能性が高いそうです。教職員は、学年集会の場で『関係のある人物による書き込みで、重大ないじめにあたり、警察案件になる』と、警告したそうです」 学校側は「警察案件」「重大ないじめ事案」という強い言葉こそ用いているが、前出の保護者はその対応に不信感を抱いている。「学校側は書き込みをした生徒をほぼ特定していて、ある程度のことを把握しているようですが、決定的な証拠を掴めていないためか直接的な指導ができていないようです。今後についても、継続的にこうした書き込みが続けば『警察に届け出をする心づもりでいる』という表現に留まり、実際に警察に被害届を出すとは明言していません」 2年前の準奈さんのケースも、学校は下駄箱の手紙の件を被害者●●(被害生徒?加害生徒?)の保護者に伝えず、事件後に『次にまたあったら(被害者●●の保護者に)相談するつもりだった』と弁明していた。「SNSに書き込んだ生徒は複数人いるという話や、反省していないという情報もあります。書き込んだ人物が別の生徒にも同じことを繰り返すのではないかと心配する保護者の声も上がっています。発見した時点でいじめをすぐにやめさせ、加害生徒に適切な指導をしなければ、どんどんエスカレートしてしまいます。学校側は『書いた人に対して、怒りという感情よりも、興醒め、呆れ果てている』と話したようですが、把握しているならできる限り直接指導するべきではないでしょうか」(同前) 今回のいじめ事案について、酒田市立第一中学校に問い合わせると、〈いじめの事実〉〈書き込んだ人物が学校内にいる可能性〉〈関与した人物の指導〉については、「個別のの案件のため、回答は差し控えさせていただきます」と、回答した。 一方、酒田市教育委員会は「今回の事案について、学校から報告は受けています。その上で、今後の指導の方針等についても学校と確認しながら行っております」とコメント。また、誹謗中傷を書き込んだ人物への対応については、「発信者を特定するために保護者の方に対しては、警察のほうに被害届を出すことも可能であるということを学校を通してお伝えしています」とした。 また、準奈さんの事件後に再び起きたいじめについては、「酒田市市内の中学校に通う生徒が命を落としたことについては、大変残念で重い事だと教育委員会でも受け止めております。今は再調査が進められている状況ですので、これ以上ことについては回答を差し控えさせていただきたいと思います 」と話すにとどまった。 今回、NEWSポストセブンは、いじめ発覚後の2023年11月13日付で同校3年生に配布された「学年だより」を入手。そこには、いじめに対しての生徒らの率直な思いが書かれていた。一部抜粋して記載する。《SNS上で自分の名前が明かされないからといって、悪口を書いていいわけない》《ネットで悪口を言うのも、実際に悪口を言うこと、無視することもいじめ。いじめは深く傷つくもの。絶対にやってはいけない》《本当に思うことがあるなら、自分の口で直接言えばいいし、間違いが改善されるような言葉をかけるべきだと思う》“蟻の穴から堤も崩れる”というが、いじめがエスカレートすることなく、解決することを願うばかり。非業の死を遂げた未来ある女の子の教訓が生かされる日は、まだまだ先のようだ。
「臨時学年集会で、中学3年生の女子生徒のSNSに誹謗中傷する書き込みがあったことが、教職員によって生徒たちに伝えられました。被害生徒のSNSには、『4(死)んだら?』『お前マジ木※(キ)モイね』(※は木の絵文字)『お前のたくさんいると思っている友達の8割はお前のことを嫌っているよ』などの悪質な書き込みがあったそうです」
山形県は昨年度の小、中、高校、特別支援学校で認知されたいじめの件数が1万2393件と、3年連続で全国最多となっている。そんな中で起きてしまった今回のいじめに、ある保護者は2年前の出来事が脳裏をよぎったという。
「今回、いじめが起きている中学では、2021年に石澤準奈さん(当時中学1年生)が校舎で自ら命を絶つという痛ましい事件が起きたばかりです。準奈さんも生前、クラスメイトから『死ね』『キモい』などと書かれた手紙を複数回、下駄箱に投函される嫌がらせを受けていました。この事件については、いじめを調査していた第三者委員会によって昨年4月に『いじめがあった』と認定されています」(同前)
準奈さんについては、遺族の意向を受けて現在、いじめと自殺の因果関係について再調査委員会が関係者への聞き取りを行っている。生徒や教職員などへの聞き取りは終了しているが、調査に応じなかった複数人の生徒がいたことを同委員会は明かしていた。そんな中で、再び起きてしまったいじめ事案。今回、SNSへの誹謗中傷は、放置しておけば手遅れとなってしまういじめ事案になりかねないと、前出の関係者が打ち明ける。
「学校側は保護者からの相談で今回の事態を把握しました。書き込みの内容は、同中学で行われた合唱祭を匂わせるものでした。被害生徒のSNSを閲覧できるのはそのアカウントを知っている人物のみで、同校の生徒が関与した可能性が高いそうです。教職員は、学年集会の場で『関係のある人物による書き込みで、重大ないじめにあたり、警察案件になる』と、警告したそうです」
学校側は「警察案件」「重大ないじめ事案」という強い言葉こそ用いているが、前出の保護者はその対応に不信感を抱いている。
「学校側は書き込みをした生徒をほぼ特定していて、ある程度のことを把握しているようですが、決定的な証拠を掴めていないためか直接的な指導ができていないようです。今後についても、継続的にこうした書き込みが続けば『警察に届け出をする心づもりでいる』という表現に留まり、実際に警察に被害届を出すとは明言していません」
2年前の準奈さんのケースも、学校は下駄箱の手紙の件を被害者●●(被害生徒?加害生徒?)の保護者に伝えず、事件後に『次にまたあったら(被害者●●の保護者に)相談するつもりだった』と弁明していた。
「SNSに書き込んだ生徒は複数人いるという話や、反省していないという情報もあります。書き込んだ人物が別の生徒にも同じことを繰り返すのではないかと心配する保護者の声も上がっています。発見した時点でいじめをすぐにやめさせ、加害生徒に適切な指導をしなければ、どんどんエスカレートしてしまいます。学校側は『書いた人に対して、怒りという感情よりも、興醒め、呆れ果てている』と話したようですが、把握しているならできる限り直接指導するべきではないでしょうか」(同前)
今回のいじめ事案について、酒田市立第一中学校に問い合わせると、〈いじめの事実〉〈書き込んだ人物が学校内にいる可能性〉〈関与した人物の指導〉については、「個別のの案件のため、回答は差し控えさせていただきます」と、回答した。
一方、酒田市教育委員会は「今回の事案について、学校から報告は受けています。その上で、今後の指導の方針等についても学校と確認しながら行っております」とコメント。また、誹謗中傷を書き込んだ人物への対応については、「発信者を特定するために保護者の方に対しては、警察のほうに被害届を出すことも可能であるということを学校を通してお伝えしています」とした。
また、準奈さんの事件後に再び起きたいじめについては、「酒田市市内の中学校に通う生徒が命を落としたことについては、大変残念で重い事だと教育委員会でも受け止めております。今は再調査が進められている状況ですので、これ以上ことについては回答を差し控えさせていただきたいと思います 」と話すにとどまった。
今回、NEWSポストセブンは、いじめ発覚後の2023年11月13日付で同校3年生に配布された「学年だより」を入手。そこには、いじめに対しての生徒らの率直な思いが書かれていた。一部抜粋して記載する。
《SNS上で自分の名前が明かされないからといって、悪口を書いていいわけない》
《ネットで悪口を言うのも、実際に悪口を言うこと、無視することもいじめ。いじめは深く傷つくもの。絶対にやってはいけない》
《本当に思うことがあるなら、自分の口で直接言えばいいし、間違いが改善されるような言葉をかけるべきだと思う》
“蟻の穴から堤も崩れる”というが、いじめがエスカレートすることなく、解決することを願うばかり。非業の死を遂げた未来ある女の子の教訓が生かされる日は、まだまだ先のようだ。