築き上げてきた人間関係を突然断ち、SNSアカウントの削除や、転職を繰り返し、人との関係をたびたび“リセット”してしまう、「人間関係リセット症候群」。
「めざまし8」が取材した、デザイン会社を経営する30代の女性は、今までに何度もリセットを繰り返してきたと話します。
デザイン会社経営 小黒さん(30代):中学校から卒業する時とか、高校卒業する時に、連絡先を交換しいてたスマートフォンとかを1回解約してしまって、新たに契約をして、番号とか全部変えちゃうみたいな。中学校から高校に上がる時とかも、ちょっと遠くの高校を選んでみたりとか。今までの自分を知っている人がいないところを選びがちだった。
プライベートの時間にボランティアを頼まれることなどを苦に感じ、すべてのお願いを断るために、県外に転職したことも。
女性のような「人間関係リセット症候群」について、専門家はこれからの時期に増える可能性があると指摘します。
早稲田メンタルクリニック 益田裕介院長:年末年始は、クリスマスだったり、家族の集まりとかがあって、SNS上が華やかになるんですよね。そういう時に、そのキラキラを見て落ち込んじゃって、人間関係をリセットしたくなっちゃう人たちが多くなるんです。
これから増える可能性があるという、「人間関係リセット症候群」。その原因は?そして、どのような状況になってしまうのでしょうか?
「人間関係リセット症候群」に詳しい早稲田メンタルクリニックの益田裕介院長によると、この症状は性別や年齢関係なく、誰にでも起こり得るといいます。“症候群”とありますが、病気ではなく、心理状態を表した言葉です。
――人間関係をリセットしたいというのは、SNSの普及とともに増えている?益田裕介院長:はい。やはり、SNSを通してキラキラしたものを見過ぎてしまって、わっとなって衝動的にやってしまう人が結構いますね。ストレスだと。
過去にこのような症状に見舞われたことがあるという人に、当時の様子を詳しく聞きました。
会社員の20代女性は、学生の時はクラス替えのある年度ごと、社会人になるタイミングや人事異動の時など、10回以上人間関係をリセットしました。
女性は、その理由を「人間関係で疲れた時に“やり直したい”、“整理したい”という気持ちだった。きっかけはなくゲーム感覚だった」と話します。
リセットする際は、LINEやSNSのアカウントを削除、普段の生活で会っても気がつかないふりをしたり。女性によると、リセット後は「仲の良かった友達ですら、他人のように感じた」といいます。
益田裕介院長:この女性は、人との関わりを避けているようで、今後も注意が必要です。
「人間関係リセット症候群」になる原因としては、「人付き合いが面倒」、「気を使うことに疲れる」「嫌われていると感じる」などがあります。人との関係を継続したり、評価が気になったことでストレスになり、リセットしたいと感じるようになるのです。
陥りやすい人の特徴としては、「完璧主義」、「相談できる人がいない」「ネガティブ思考」「単独行動が好き」などが挙げられます。
実際に、どれほどの人が人間関係をリセットしたいと思ったことがあるのか?
2023年1月に全国の20~69歳の男女1000人を対象に「人間関係をリセットしたいか?」とアンケートを行ったところ、「リセットした」「したい人がいる」と答えた人が、全体で38%、約4割に及びました。年代別に見ても、この割合にそこまで差はありません。
――人間関係をリセットしたい人が増えていることについて、どう感じますか?古市憲寿氏:いいんじゃないですか?現代人の特権というか、昔は村とかで暮らしていた人たちって、地縁、血縁から離れられなくて、苦しんだという人が多いと思うんですが、今はブロックとかで済んじゃうから。いい時代だなと思うんですけど、ただ中高年の方の場合、自分でリセットしようと思ったわけではなくて、ITリテラシーが足りなくてLINEとかを交換できなくて、はからずもリセットされてしまう人も多い気がするんですけど。
岩田明子氏:あたしじゃん…。
古市憲寿氏:いやいや(笑)、だから結果的にリセットという場合もあるんだなと。
小室瑛莉子アナウンサー:私はすごく共感できますね、リセットは実際したことはないんですけど、学生の時、クラス替えの時や年度初めで勝手に頑張りすぎてしまう自分がいて、断ると言うことがなかなかできないというときに、いっぱいいっぱいになってしまって、しばらくSNSを返さなかったりという期間を作っている時期は実際にありました。SNSなどの輪から外れるのが怖いという気持ちはあるんですけど、ただ心がもたないという時もあったりしました。
MC谷原章介:やはり、現実世界のコミュニケーションということと、SNS上のコミュニケーションをちょっと切り分けて考えることも大事かなと。
「人間関係をリセットしたい」そんな衝動に駆られた際に、抑えるにはどうしたらよいのでしょうか?
益田裕介院長によると、リセットしたい衝動に駆られたときは、一晩寝てから考えたり、ゲームなどに没頭してみるなど、時間を少し置いてみることをしてみることが大切だといいます。それでも、人とつながっていることに疲れるようなら、他人とつながるツールと距離を置く。一時的にSNSを非表示にしたり、思い切ってスマートフォンを触らないということも大事です。
――うまい付き合い方が見つかると良いですね。益田裕介院長:そうですね、みなさんもあるように、あるあるなんですよ、リセット。なので、リセットした数年後でも、もう1回連絡してみると結構喜ばれるので、してみてください。(めざまし8 12月7日放送)