温泉街の廃虚ホテルに現れたのは、「サル」。この招かれざる客に、住民は困惑している。
取材班が向かったのは、群馬県・みなかみ町。
自然豊かな利根川のほとりには、風情ある多くの温泉旅館が立ち並んでいる。
観光客を出迎える地元駅の目の前にたたずむ廃虚ホテル。
看板の文字はがれ落ち、手すりはさびだらけ、外壁も激しく損傷し、ボロボロになっている。建物は、30年ほど前から手つかずの状態になっているという。
そんな旧温泉宿に入り浸っているのが、“厄介な客”だった。
廃虚となったホテルを、わが物顔で出入りする「サル」。自宅感覚のようにも見え、完全に場所を知り尽くしているような動きだ。
この日は、2匹のサルが無人のホテルを占拠。
激しい鳴き声に気づき、雨の中、様子を見に来る住民もいた。
地元住民「いつも(廃虚の前に)いるので、この間すごかった。30匹ぐらい出ちゃった。ちょっと怖いね。あそこいるもんね」
水上温泉は、戦後の時代から1990年代までは、草津や伊香保と並ぶ北関東屈指の温泉街として栄えた。
しかし、バブルの崩壊を機に客足が遠のき、多くの宿が廃業に追い込まれ、温泉街に建物だけが残された。そこを、サルが格好のすみかとしたという。
ホテルの敷地にある柿の木を目当てに、山から下りてきているというサル。
駅前の飲食店の店主「危ないよ。一見サルはかわいいように見えるかもしれないけど危険だよ」
サルが出没している廃虚については、みなかみ町も課題として認識していて、一部の建物については再活用の取り組みを進めているとしている。