12月12日は、暦の上で「冬眠のためにクマが穴にこもる日」とされていますが、今年は12月に入ってもクマの出没が相次いでいます。【写真】「天井を破って出てきた」シカ用のワナを破るクマ専門家は、「クマが肉を食べることを覚えたことが関係している」と、警鐘を鳴らしています。■「熊蟄穴」も…相次ぐ出没熱心に草を頬張るクマ。10日、北海道・知床半島に現れました。大声で追い払おうとしても…気にする様子はありません。12月12日は、暦では「熊蟄穴(くまあなにちっす・くまあなにこもる)」などと言われています。クマが厳しい冬を乗り越えるために穴にこもる頃、という意味を持つ日です。
そんな「冬眠の師走」ですが、各地でクマの活動がやむ気配はありません。■シカを襲うクマ続出“緊迫の町”兵庫県の山間いの町、丹波市(たんばし)。住民は、緊迫した日々を送っています。地元猟師「(シカは)ここ(のワナ)に巻き付いて動けなくなって、クマにやられた」シカを捕まえるための、くくり罠。町では罠にかかったシカが、クマに襲われる事態が相次いでいるのです。■“まるで人間”…器用に足を使う姿もシカ用のワナにかかり、必死に出ようとするクマ…足を器用に使う姿は、まるで人間のようです。撮影されたのは、兵庫県丹波市(たんばし)にある住宅の真裏でした。■相次ぐ目撃情報 シカ用のワナを破るクマも…豊かな緑に囲まれた丹波(たんば)では、今年、クマの目撃情報が相次ぎました。7月に撮影されたのは、シカ用のワナを破るクマ…写真を撮影した 大西伸弘さん「うちの裏に竹やぶがあって、(シカやイノシシに)タケノコをよく食べられていたので、そこに(ワナを)設置していたらクマがかかった。おりの天井を破って出てきた」さらに、11月には住宅の裏を、のそのそ歩いていくクマがカメラに映っていました。山を下り、集落に近づく丹波(たんば)のクマ。今回は「特別な対策」が必要になる事態に…■現場近くを再び訪れる“肉食クマ”地元の元猟師・足立善徳さん(83)「シカの脚をつっている」人身被害などの危険性があり、必要と認められた場合のみ設置される、クマ用のワナ。止めなければならないのは、二度にわたり集落に現れた“肉食クマ”です。最初に異変が起きたのは、11月19日。駆除のために仕掛けられたくくり罠にシカがかかったところを、クマが襲ったのです。地元猟師「(シカは)ワナにかかって逃げようとするが、竹に巻き付いたり、そっちのほうにもかかったりして、動けない状態で、クマが見つけて食べたんじゃないかと」これだけでは終わりませんでした。地元猟師「次が24日に(シカの)脚だけで何も姿かたちがなかった」「ここにワナを仕掛けて、この竹に巻き付いて動けなくなって、このあたりに(シカの)脚だけあった」同じ場所でワナにかかったシカを、再び襲ったのです。さらに、市によるとその5日後、現場近くを再び訪れるクマが、カメラに映っていたそうです。■専門家が警鐘“肉食の危険”とは現地で研究を行う専門家は、危機感を示します。兵庫県森林動物研究センター・横山真弓 研究部長「特定の個体が、こういった行動をするようになったのでは、集落環境にとても近いところで捕まったシカがとられてしまった。それが繰り返されているので覚えてしまった」「人がワナをかけて捕まった動物を(クマが)利用できると学習をしてしまうと、非常に危険」さらに、この状況が続けば、冬眠しなくなる可能性もあるというのです。専門家は、こう警戒を強めます。■警戒!肉食で“クマ冬眠せず”酪農学園大学・佐藤喜和教授「クマの冬眠は、エサ不足に対する適応ですから、これから冬になっても、いつでもエサがある状況であれば、クマは冬眠しなくてもいいと学習して、エサを獲得できれば冬眠しない個体も出てくると思う」本来、クマは、山に木の実などのエサがなくなる冬場の空腹を凌ぐために冬眠します。ところが、罠にかかったシカの肉が簡単に食べられることを学習すると、このまま冬眠しない恐れがあるというのです。地元猟師「 ここに(ワナを)かけるのをやめた方がいいということで撤退した」ただ、兵庫県ではシカなどが増えすぎて、年間に4万頭を捕獲しなければならない事情も抱えています。いつまでも捕獲をやめるわけにもいきません。酪農学園大学・佐藤喜和教授「シカの数を減らすことは重要な目標だが、それによってクマが誘因されてしまって、結果的に、捕獲従事者や住民が事故の危険にあう」■“新対策” 効果は?住民に被害が及ばないよう、市は新たなクマ対策も行っています。リポーター「住宅のすぐ近くには、クマを捕獲するためのワナが仕掛けられています」中にはエサが仕込まれていて、クマが入ると扉が閉まる仕組みです。ただ、設置から12日が経ちますが捕まっておらず、警戒が続いています。
12月12日は、暦の上で「冬眠のためにクマが穴にこもる日」とされていますが、今年は12月に入ってもクマの出没が相次いでいます。
専門家は、「クマが肉を食べることを覚えたことが関係している」と、警鐘を鳴らしています。
熱心に草を頬張るクマ。10日、北海道・知床半島に現れました。
大声で追い払おうとしても…気にする様子はありません。
12月12日は、暦では「熊蟄穴(くまあなにちっす・くまあなにこもる)」などと言われています。クマが厳しい冬を乗り越えるために穴にこもる頃、という意味を持つ日です。
そんな「冬眠の師走」ですが、各地でクマの活動がやむ気配はありません。
兵庫県の山間いの町、丹波市(たんばし)。住民は、緊迫した日々を送っています。
シカを捕まえるための、くくり罠。
町では罠にかかったシカが、クマに襲われる事態が相次いでいるのです。
シカ用のワナにかかり、必死に出ようとするクマ…足を器用に使う姿は、まるで人間のようです。
撮影されたのは、兵庫県丹波市(たんばし)にある住宅の真裏でした。
豊かな緑に囲まれた丹波(たんば)では、今年、クマの目撃情報が相次ぎました。
7月に撮影されたのは、シカ用のワナを破るクマ…
さらに、11月には住宅の裏を、のそのそ歩いていくクマがカメラに映っていました。
山を下り、集落に近づく丹波(たんば)のクマ。
今回は「特別な対策」が必要になる事態に…
人身被害などの危険性があり、必要と認められた場合のみ設置される、クマ用のワナ。
止めなければならないのは、二度にわたり集落に現れた“肉食クマ”です。
最初に異変が起きたのは、11月19日。駆除のために仕掛けられたくくり罠にシカがかかったところを、クマが襲ったのです。
これだけでは終わりませんでした。
同じ場所でワナにかかったシカを、再び襲ったのです。
さらに、市によるとその5日後、現場近くを再び訪れるクマが、カメラに映っていたそうです。
現地で研究を行う専門家は、危機感を示します。
さらに、この状況が続けば、冬眠しなくなる可能性もあるというのです。
専門家は、こう警戒を強めます。
本来、クマは、山に木の実などのエサがなくなる冬場の空腹を凌ぐために冬眠します。ところが、罠にかかったシカの肉が簡単に食べられることを学習すると、このまま冬眠しない恐れがあるというのです。
ただ、兵庫県ではシカなどが増えすぎて、年間に4万頭を捕獲しなければならない事情も抱えています。いつまでも捕獲をやめるわけにもいきません。
住民に被害が及ばないよう、市は新たなクマ対策も行っています。
中にはエサが仕込まれていて、クマが入ると扉が閉まる仕組みです。
ただ、設置から12日が経ちますが捕まっておらず、警戒が続いています。