障害がある子どもが通う放課後等デイサービス施設で運営会社の代表らが安全管理を怠り、昨年12月に中学生を川で死亡させたとして逮捕された事件で、2018年にもこの中学生が送迎時に行方不明になり、水路に入り込む事故があったことが大阪府警への取材でわかった。
送迎時に職員2人が付き添う取り決めを守っておらず、府警は、ずさんな安全管理が常態化していたとみて調べる。
死亡したのは、大阪府吹田市の施設「アルプスの森」に16年から通っていた同府立支援学校中学部1年の清水悠生(はるき)君(当時13歳、大阪府豊中市)。重度の知的障害や自閉症などと診断され、急に走り出す特性や水への強いこだわりがあり、送迎車を降りた後、施設まで職員2人が付き添うことを両親と取り決めていた。
府警によると、清水君は18年3月、施設で降車後、突然走り出し、近くの水路に入り込んだ。けがはなかった。当時対応した職員は1人だけで、他の通所者のために車のドアは開けたままだったという。府警が施設から押収した事故報告書には、改善策として「必ず複数の人員で送迎車の乗り込みを行う」「ドアの開閉に気を配る」と記されていた。
府警は施設から「ヒヤリハットメモ」と題したメモも押収。メモによると、清水君は19年12月、車が施設駐車場に到着後、走り出そうとしたが、その場で取り押さえられた。この際も対応したのは職員1人だったとみられる。昨年6月には、支援学校の校外学習中に職員が目を離した隙に駆け出し、約50メートル離れた人工池に飛び込んだという。
府警は、送迎時の安全管理を怠り、昨年12月に清水君を近くの川で溺死させたとして、運営会社代表の男(60)、支援計画担当だった兄(65)(暴行罪などで起訴)を業務上過失致死容疑で再逮捕した。