産地偽装した疑いがあるうなぎ料理店(写真・共同通信)
12月20日、うなぎの名産地のひとつである愛知県・西尾市にある「炭火職人 うなみ」が、産地偽装の疑いで不正競争防止により店舗と工場の家宅捜索を受けた。
「愛知県で『うなみ』といえば、地元の超有名店。鰻丼は肝吸いがついて1800円(税込)からとお手頃価格ですから、平日でも開店前に行列ができ、順番を紙に書いておかなければ入れないほどの人気店です」(愛知・うなぎ屋関係者)
そんな有名店で起きた産地偽装問題。看板には三河一色産と記載していたのだが、一部で中国産や台湾産を使用していたのだ。取材を受けた店長は、
「2~3年ほど前から、ふるさと納税の返礼品の受注と来店客が増え、三河産は返礼品を優先したため、来店用が三河産でまかないきれなかった」
と、一部中国産の利用を認めている。前出のうなぎ屋関係者はこう語る。
「鹿児島産など、年間を通して仕入れられる産地もありますが、愛知や三重産のうなぎが多く取れるのは6、7、8月です。冬季はほぼ取れないと言っても過言ではありません。
それでも、年間を通じて特定の卸売り業者から東海産のうなぎを購入していれば仕入れは可能なのですが……さすがに、ふるさと納税の返礼品と店用を三河一色産のみでまかなうのは難しいと思います。
実は、今年は11月頃から国産うなぎの味がぐっと落ちてしまい、国産を仕入れる店舗が少なくなりました。それまでは、中国産と日本産で1キロ仕入れるのに1000円ほどの差がありました。現在は国産が1キロ4600円で、中国産は4200円ですから、400円しか差がなくなっています。
味が落ちたとはいえ、国産ブランドは強いですから、大手スーパーなどは、安くなったタイミングで加工場で大量に仕入れます。そうなると、国産にこだわる個人店にまわらなくなり、外国産に頼る形になってしまうのでしょう」
やはり消費者としては国産うなぎを食べたいと思う人も多いだろう。
「季節にもよりますが、冬季は東海産のうなぎと中国産で味に大差はありません。うちではしっかり表記して外国産を使用していますが、国産だと思っているお客さんもいるんじゃないかな(笑)。むしろ中国産のほうが脂が乗って美味しいという業界経営者も多いですから……」
とはいえ、顧客を騙したことは間違いない。同店は、今後、「三河産鰻使用店」と表示した看板を修正する考えだという。