茨城県日立市役所前広場で開かれていたイベント会場に車が突っ込み、男女4人が重軽傷を負った事件で、茨城県警は28日、車を運転していた益子泰(ゆたか)容疑者(53)(日立市久慈町)を殺人未遂容疑で再逮捕した。
市役所前広場と東海村役場に相次いで突っ込んだ事件の発生から3週間余り。事件と直接結びつく明確な動機はわかっていないが、日立市の事件直前に同乗の母親と口論になっていたといい、県警が動機との関連を慎重に捜査している。
発表によると、益子容疑者は6日午後1時頃、市役所前広場に車で侵入し、イベントに参加していた20~40歳代の男女4人をはねるなどして殺害しようとした疑い。4人はそれぞれ全治約2週間~6か月のけがで、44歳女性は左足骨折などの重傷を負った。
益子容疑者は容疑を否認しているが、捜査関係者によると、「むしゃくしゃしてやった」という趣旨の供述をしており、突入行為については認めているという。
また、益子容疑者は70歳代の母親や親族と生活状況などを巡って長年トラブルになっていた。以前から口論になると「人が集まる公共施設に突っ込む」などと口にしていたといい、事件当日も福島県内へ出かけた帰りに母親と車中で口論になり、直後にイベント会場や村役場へ突っ込んだとみられる。
事件の数日前、益子容疑者は知人からイベントの開催を知らされていた。ただ、参加者とのトラブルなどは確認されておらず、県警は突発的にイベント会場へ侵入し、計画的ではなかったとみている。
県警は、益子容疑者が周囲への不満を一方的に募らせて事件を起こした可能性を念頭に、事実の裏付けや動機の解明を慎重に進める方針だ。
一方、重傷を負った女性の親族の男性によると、事件から20日余りが経過したが、女性の回復にはなお時間がかかり、1月も入院生活を余儀なくされるという。男性は「容疑者と面識はなく、ただ憤りしかない。日立市には安全対策をしっかりとってもらいたい」と語った。