14日に辞任した鈴木淳司前総務相は15日、記者団に対し、これまで否定していた自民党安倍派のパーティー券収入の還流を、実は受けていたことを明らかにした。収支報告書には記載していなかったため訂正するという。裏金の認識はなかったと説明した。
鈴木氏は「認識の違いだとはいいながらこれまでの会見での私の発言について不正確で誤解を生じている部分があったので深くお詫び申し上げる」と述べた。
大臣を辞任するにあたって事務所で精査したところ、直近5年間で安倍派から総額60万円の還流の事実があったとした。
具体的には2023年はパーティー券販売の割り当て210万円のところ派閥への入金は170万円で差額40万円を補填。
22年の割り当ては110万円で入金もちょうど110万円。
21年の割り当ては110万円、派閥への入金は132万円で差額22万円が還流。
20年の割り当ては110万円で派閥への入金は140万円で差額30万円が還流。
19年の割り当ては210万円で、派閥への入金が146万円だったため差額を補填したが、いったん事務所から補填した上で、余った分8万円が還流されたという。
18年は割り当てが210万円、派閥への入金が118万円で、差額92万円を補填していたという。
18年から22年の5年間の還流分の60万円は秘書が派閥から現金で受け取り、自身に報告した後、事務所で保管していたという。
鈴木氏は、自身が還流分を受け取ったことはなく、裏金ではなく派閥からの活動費として配られたものと理解していたとして「裏金としてのキックバックを受け取っていたとの認識ではなかった。そのためこれまで受け取っていないと答えていた」と説明した。また「活動費としての理解でいたために政治資金収支報告書に記載しなければいけないという発想には至っていなかった」とした上で、収支報告書を速やかに訂正する方針を示した。
記者団から、報告書に記載しなかった理由を改めて問われると、「私の過ちかもしれませんが慣習として派閥から交付される活動費だと思っていたので、改めて収入としなくても使えると思った」と説明した。派閥から自身や秘書に収支報告書に記載しないようにとの指示があったかについては「そういう記憶は本当にありません。事務所も秘書もない」と否定した。
鈴木氏は、総務相在任時にキックバックを否定していたこととの整合性を問われると、「いわゆるキックバックというもの、巨額の裏金を作って還流する事実はないと申し上げた。それとは別に派閥から自動的機械的に超過分が来るものはキックバックという想定がなかった。大きな裏金を作ってもらうのがキックバックで、普通の還流はキックバックとは言わないという認識だった」と説明した。
そして鈴木氏は「このたびは総務大臣を辞任したが、これからは一議員として地元に寄り添いながら、地に足を付け真摯にそして誠実に政治活動を行ってまいります」と述べた。