個人情報の漏洩問題は日々さまざまな場面で起こっている。誰もが知っている企業からでさえ、個人の情報は漏れてしまっている。各企業はセキュリティの厳格化に取り組んでいるが、どれだけ対応しても完全に防ぎきるのは難しい。
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それは、個人情報を扱う社員が悪用することもあるからだ。「自分の身は自分で守る」べく、SNSなどで個人情報を漏らさないようにすることはできるが、それにも限界がある。
なぜならば、ふだんの生活において個人情報を提供しなければいけない場面は意外と多いから。とりわけ新生活を始めるにあたって必要な賃貸住宅探しの際には、どうしても個人情報を提供する必要がある。
氏名や生年月日、連絡先はもちろんのこと、勤務先や収入など、かなりの情報提供が求められる。それに加え、物件を購入するもしくは賃貸住宅を借りた場合、新居の住所ばかりではなく、間取りの詳細まで知られているのだから、かなりの情報が知られることになる。
このような情報を扱う不動産業者は、当然のごとくその取り扱いに留意している。だが、営業マンの中には個人情報を軽く考え、悪用しようと考える人も存在するのだ。
不動産業者の大半は水曜日やその前後を定休日としていることが多く、土・日・祝日は物件の内見立会など営業を行う。したがって学生時代の友人などと休日も合わず、疎遠になることが多い。これは男女の出会いにおいても同様だ。
大型連休なども出勤になることが多いのだから、休みを利用しての旅行計画もたてにくい。詳しく統計がとられている訳ではないが、少なくとも筆者の知る限り、不動産業者の離婚率は高い。
だからといって容認される訳でもないが、賃貸営業の場合、独身女性が相談に訪れることも多く、一方的に顧客を恋愛対象とするケースがある。
お互いが惹かれあいカップルになるのは“余計なお世話”だろうが、一方的な思い込みによる付きまといはストーカー行為になる。しかも、連絡先や住所、室内の間取りまで知られているのだから、被害者に安心できる要素はない。
ここで実例を紹介しておこう。
きっかけは一本の電話である。連絡してきた瀬戸さん(仮名)は、就職のため故郷から都心に越してきたOLさんだ。筆者が直接担当をした訳ではないが、契約の時に名刺を渡して挨拶したことがあり、それを見て名指しで連絡してきたのだ。
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相談内容は、瀬戸さんを担当した営業マン、坂下(仮名)によるストーカー行為に関するクレームであり、「そのような行為をやめさせて欲しい」との要求だ。坂下は筆者の部下であり、実際にそのような行為が行われていたなら大問題である。そこで、どのような言動が行われていたのかを、まずは瀬戸さんに聞いた。
それによると、瀬戸さんは優柔不断なせいでなかなか部屋を決められず、けっこうな件数を内見したという。その過程で好きなアーティストが一緒であることがわかって話がはずみ、内見の途中で昼どきになると一緒にランチを食べることもあった。その際の支払いは営業マン(坂下)である。
時間はかかったが気に入った部屋も見つかり、引っ越しも無事終了。頼んだ訳でもないが、引っ越しの際には件の営業マンが手伝いにきたようだ。ここまでの話なら、単なる親切な営業マンと顧客の関係なのだが、問題はそれ以降である。
連絡もなしに突然、営業マンが部屋に訪れるようになったのだ。入居した部屋はマンションで、エントランスドアは暗号式であるが、その番号は営業マンに知られている。つまり部屋先までは、まるで入居者のように自由に出入りできるのだ。
そして玄関脇のチャイムをならし、カメラモニター越しに「顔が見たくなって……」と言われたそうだ。独り暮らしなので部屋に上げることはなかったが、世話にはなったのでモニター越しも失礼かと思い、玄関先で対応した。
営業マンの坂下が瀬戸さんの家に来るのはこの日だけでなかった。そしてストーカー行為はさらに加速していく…。一連の行為の証拠を集め、坂下に問いただすと、呆れるほど驚きの答えが返ってきた。
その詳細とストーカー行為の被害に遭ったときの防止策は、『毎日新居を訪れ…「担当した女性」に《ストーカーした》賃貸営業マンの「衝撃的な言い訳」』で紹介する。