女性として生まれ男性になった歩夢さん(31)と、男性として生まれて女性になった未悠さん(28)。2人は2020年に結婚し、現在は「性別逆転夫婦」としてSNSや講演などで活動している。
【画像】「性別逆転夫婦」2人の結婚式の様子
物心ついた時から自分の性別に違和感があったという2人だが、どんな幼少期を過ごし、どのように性別適合手術を決断したのか。そして両親へのカミングアウトで迎えた修羅場、意外な恋愛事情も……。
▼▼▼
――おふたりの出会いはどういう形だったんですか?
歩夢 2017年に大阪で開かれた「誰でも結婚式を挙げられるようにしよう」みたいなイベントでした。ヒアリングのためにマイノリティ当事者が10人ちょっと集まっていて、そこに2人とも参加していたのが出会いでした。
「性別逆転夫婦」として活動する未悠さん(左)と歩夢さん(右)
――互いの第一印象は?
歩夢 男性から性転換したMtF(Male to Female)の方ってはるな愛さんとかテレビでは見たことがあったけど、実はそれまで会ったことがなくて、どんな人がおるんやろと思って会場へ行ったら未悠がいました。それで「こんな綺麗な人がいるんだ」と驚いたのが第一印象ですね。
未悠 私も緊張してて、周りの人と「はじめまして、どんなお仕事してるんですか」とか話してたんですよ。そうしたら歩夢にいきなり「綺麗ですね」って言われて、びっくりしたのが第一印象(笑)。当時の歩夢はヒゲがボーボーで、私はヒゲが生えてる人が好きなので「いいじゃん」みたいな感じだったと思います。
『「やっぱり子供が作れない人とは将来を考えられない」って』――そこからすぐに仲良く?歩夢 当時は住んでた場所がどちらも兵庫で近かったので一緒に遊ぶようになって、付き合い始めたのも結構すぐでしたね。――お互いにMtF、FtMの方と付き合うのは初めてでしたか?未悠 それはどっちも初めてでしたね。私は20歳で手術を受けてから何人か男性の方とお付き合いはしてたんですけど、ちょっと精神的にキツくなってきてたんですよね。私のことを女性だと思って好きになってくれて付き合うことになっても、どこかで以前は男性だったことをカミングアウトする必要があるじゃないですか。そうすると、みんな本当に同じ反応をするんですよ。「やっぱり子供が作れない人とは将来を考えられない」って。――それは苦しいですね……。未悠 最初はやっぱり傷つきました。「もっと女らしくならなきゃ」と自分を責めた時期もあるんですけど、あまりにもみんな同じことを言うので段々男性のことが信じられなくなってきて、「この人もどうせ同じことを言うのかな」って思うようになりかけてたんですよね。なんなら途中からは「おめでとうございます、あなたは私にそれを言った何人目です!」みたいな気持ちにもなって。歩夢 トランスの人にとって、「子供が産めない」って言われるのは本当にあるあるなんですよ。僕も言われたことがあります。かと思うと、男の子を育てているシングルマザーの女性に「男の子の気持ちは本当の男の人にしかわからない」と言われたこともありますし、そこのハードルは本当に感じてました。未悠 本当は体質的に子供を産むのが難しい女性もいるし、後から病気がわかることだってあるはずなのに私だけそんなふうに言われるのかとも思うんですけど、やっぱり言われ続けていると「私が悪いのかな」「もっと料理とか家事とかできないとダメなのかな」っていう気持ちになってくるんですよね。歩夢 僕も、必要以上に「もっと男らしく、女の人を守れるようにならないと」って思っていた時期ありますね。それは病院の先生にも注意されました。でも常に「元から男性の人と比べられたくない」っていう恐怖はありましたね。いくらホルモン注射を打ったと言っても、筋肉とかでは敵わへんと思ってしまうし。――おふたりが交際するようになって、それまでと感覚は違いましたか?歩夢 全然違いましたね。それが未悠個人の性格のおかげなのか、性転換した同士だからなのかは正直わからないんですけど、僕にとっては思ってることをそのまま話せる初めての相手でした。どう?未悠 私もそうでしたね。当時は男性に対してちょっと諦めかけてたから、こんな楽に話せる人がいるのかって。女性は精神的なつながり重視、男性は外見や夜の行為の比重が高い?――SNSなどで活動されていると他のトランスの方と知り合う機会も多いと思うのですが、近いことで悩んでいる人はやっぱり多いんでしょうか。歩夢 これは経験則というかほとんど偏見なんですけど、僕のようなFtMと女性のカップルだと、結婚してる人たちも結構多いんですよ。でもMtFと男性のカップルは本当に少ない。未悠 男性の方が、相手に求める要素として外見とか子供とか夜の行為がどうかという部分の比重が高いんだと思いますね。女性は精神的なつながりを重視して、性格的に合う相手だから結婚しよう、と思う人が多いというか。――男女でそんなに差があるんですね。おふたりはトランス同士の夜の行為についても発信されていてびっくりしました。未悠 性欲あるの? とかめっちゃ聞かれるんですよ。そんな気軽に人の性事情を聞かんでも、とは思いますけど(笑)。でも特に当事者の方だと確かに知りたい人がいるのはわかるので、自分たちの体験とか試行錯誤については話してます。でも意外と普通ですよ、本当に。歩夢 結局そういうことって手探りじゃないですか。お互いに何をしてほしいか、何をしてほしくないか探りながら2人の形を見つけていくしかないというか。そういう意味ではストレートの男女カップルと別に変わらないと思うんですけどね。「優しくしてくれるのは嬉しいけど、放っておいてほしいことも」――たしかにそうですね。他のカップルがどうしているかなんてわかりませんもんね。歩夢 そうなんですよ。なんか特別なことをしてると思われがちなんですけど、全然そんなことないですからね。――かなりいろんなことをぶっちゃけて情報発信をされていると思うんですが、反応の変化のようなものは感じていますか?未悠 私達が小さい頃より全体として良い方向に向かってるとは思います。でもなんというか、ちょっと敏感? になられてるなって感じることはあります。「LGBTQの人はこういう風に扱ってあげないと」「悩んでるんやろ?」みたいな。優しくしてくれるのは嬉しいけど、もうちょっと普通に放っておいてほしいこともありますね。歩夢 たぶん扱い方の正解が欲しいんだと思うんですよね。最近は子供を持つ親の方に相談されることも多くて「うちの男の子が女の子っぽい雰囲気なんですけどどうしたらいいでしょうか」という質問はとてもよく聞かれます。でも1人の人間を完全に理解するなんて無理だし、まして小学生の頃だと自分でも自分のことがよくわかってない場合も多いですよね。――間違えたくないから正解が欲しい、と。そのためなのか、LGBTQのような分類もとても多くなっていますよね。未悠 多すぎて、私たちも全部は把握できていないのが正直なところです(笑)。カテゴリーができることで理解してもらいやすくなるのはそうなんですけど、別にトランスセクシャルっていうことにプライドを持ってるわけでもないですし。歩夢 増えすぎて、僕らですらちょっと面倒くさいと思っちゃうこともあるよな(笑)。――そうなんですね。『「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)』歩夢 あと、僕たちが言うと矛盾して聞こえるかもしれませんけど、手術や性転換の決断は慎重にしてほしいですね。――どういうことでしょう?歩夢 最近はLGBTQっていう言葉もずいぶん広がって、生まれた時と違う性で生きると決めるハードルが下がってますよね。反対しないで最初から応援してくれる親も増えてると思うんです。でも悩んだ時間とか準備が足りないまま手術を受けてしまった結果、苦しくなってしまう人も少なくないんですよ。僕たちも結構悩んで、ちゃんとクリニックで何年もカウンセリングを受けてから手術を決めたので。未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く(「文春オンライン」編集部)
――そこからすぐに仲良く?
歩夢 当時は住んでた場所がどちらも兵庫で近かったので一緒に遊ぶようになって、付き合い始めたのも結構すぐでしたね。
――お互いにMtF、FtMの方と付き合うのは初めてでしたか?
未悠 それはどっちも初めてでしたね。私は20歳で手術を受けてから何人か男性の方とお付き合いはしてたんですけど、ちょっと精神的にキツくなってきてたんですよね。私のことを女性だと思って好きになってくれて付き合うことになっても、どこかで以前は男性だったことをカミングアウトする必要があるじゃないですか。そうすると、みんな本当に同じ反応をするんですよ。「やっぱり子供が作れない人とは将来を考えられない」って。
――それは苦しいですね……。
未悠 最初はやっぱり傷つきました。「もっと女らしくならなきゃ」と自分を責めた時期もあるんですけど、あまりにもみんな同じことを言うので段々男性のことが信じられなくなってきて、「この人もどうせ同じことを言うのかな」って思うようになりかけてたんですよね。なんなら途中からは「おめでとうございます、あなたは私にそれを言った何人目です!」みたいな気持ちにもなって。
歩夢 トランスの人にとって、「子供が産めない」って言われるのは本当にあるあるなんですよ。僕も言われたことがあります。かと思うと、男の子を育てているシングルマザーの女性に「男の子の気持ちは本当の男の人にしかわからない」と言われたこともありますし、そこのハードルは本当に感じてました。
未悠 本当は体質的に子供を産むのが難しい女性もいるし、後から病気がわかることだってあるはずなのに私だけそんなふうに言われるのかとも思うんですけど、やっぱり言われ続けていると「私が悪いのかな」「もっと料理とか家事とかできないとダメなのかな」っていう気持ちになってくるんですよね。歩夢 僕も、必要以上に「もっと男らしく、女の人を守れるようにならないと」って思っていた時期ありますね。それは病院の先生にも注意されました。でも常に「元から男性の人と比べられたくない」っていう恐怖はありましたね。いくらホルモン注射を打ったと言っても、筋肉とかでは敵わへんと思ってしまうし。――おふたりが交際するようになって、それまでと感覚は違いましたか?歩夢 全然違いましたね。それが未悠個人の性格のおかげなのか、性転換した同士だからなのかは正直わからないんですけど、僕にとっては思ってることをそのまま話せる初めての相手でした。どう?未悠 私もそうでしたね。当時は男性に対してちょっと諦めかけてたから、こんな楽に話せる人がいるのかって。女性は精神的なつながり重視、男性は外見や夜の行為の比重が高い?――SNSなどで活動されていると他のトランスの方と知り合う機会も多いと思うのですが、近いことで悩んでいる人はやっぱり多いんでしょうか。歩夢 これは経験則というかほとんど偏見なんですけど、僕のようなFtMと女性のカップルだと、結婚してる人たちも結構多いんですよ。でもMtFと男性のカップルは本当に少ない。未悠 男性の方が、相手に求める要素として外見とか子供とか夜の行為がどうかという部分の比重が高いんだと思いますね。女性は精神的なつながりを重視して、性格的に合う相手だから結婚しよう、と思う人が多いというか。――男女でそんなに差があるんですね。おふたりはトランス同士の夜の行為についても発信されていてびっくりしました。未悠 性欲あるの? とかめっちゃ聞かれるんですよ。そんな気軽に人の性事情を聞かんでも、とは思いますけど(笑)。でも特に当事者の方だと確かに知りたい人がいるのはわかるので、自分たちの体験とか試行錯誤については話してます。でも意外と普通ですよ、本当に。歩夢 結局そういうことって手探りじゃないですか。お互いに何をしてほしいか、何をしてほしくないか探りながら2人の形を見つけていくしかないというか。そういう意味ではストレートの男女カップルと別に変わらないと思うんですけどね。「優しくしてくれるのは嬉しいけど、放っておいてほしいことも」――たしかにそうですね。他のカップルがどうしているかなんてわかりませんもんね。歩夢 そうなんですよ。なんか特別なことをしてると思われがちなんですけど、全然そんなことないですからね。――かなりいろんなことをぶっちゃけて情報発信をされていると思うんですが、反応の変化のようなものは感じていますか?未悠 私達が小さい頃より全体として良い方向に向かってるとは思います。でもなんというか、ちょっと敏感? になられてるなって感じることはあります。「LGBTQの人はこういう風に扱ってあげないと」「悩んでるんやろ?」みたいな。優しくしてくれるのは嬉しいけど、もうちょっと普通に放っておいてほしいこともありますね。歩夢 たぶん扱い方の正解が欲しいんだと思うんですよね。最近は子供を持つ親の方に相談されることも多くて「うちの男の子が女の子っぽい雰囲気なんですけどどうしたらいいでしょうか」という質問はとてもよく聞かれます。でも1人の人間を完全に理解するなんて無理だし、まして小学生の頃だと自分でも自分のことがよくわかってない場合も多いですよね。――間違えたくないから正解が欲しい、と。そのためなのか、LGBTQのような分類もとても多くなっていますよね。未悠 多すぎて、私たちも全部は把握できていないのが正直なところです(笑)。カテゴリーができることで理解してもらいやすくなるのはそうなんですけど、別にトランスセクシャルっていうことにプライドを持ってるわけでもないですし。歩夢 増えすぎて、僕らですらちょっと面倒くさいと思っちゃうこともあるよな(笑)。――そうなんですね。『「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)』歩夢 あと、僕たちが言うと矛盾して聞こえるかもしれませんけど、手術や性転換の決断は慎重にしてほしいですね。――どういうことでしょう?歩夢 最近はLGBTQっていう言葉もずいぶん広がって、生まれた時と違う性で生きると決めるハードルが下がってますよね。反対しないで最初から応援してくれる親も増えてると思うんです。でも悩んだ時間とか準備が足りないまま手術を受けてしまった結果、苦しくなってしまう人も少なくないんですよ。僕たちも結構悩んで、ちゃんとクリニックで何年もカウンセリングを受けてから手術を決めたので。未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く(「文春オンライン」編集部)
未悠 本当は体質的に子供を産むのが難しい女性もいるし、後から病気がわかることだってあるはずなのに私だけそんなふうに言われるのかとも思うんですけど、やっぱり言われ続けていると「私が悪いのかな」「もっと料理とか家事とかできないとダメなのかな」っていう気持ちになってくるんですよね。
歩夢 僕も、必要以上に「もっと男らしく、女の人を守れるようにならないと」って思っていた時期ありますね。それは病院の先生にも注意されました。でも常に「元から男性の人と比べられたくない」っていう恐怖はありましたね。いくらホルモン注射を打ったと言っても、筋肉とかでは敵わへんと思ってしまうし。
――おふたりが交際するようになって、それまでと感覚は違いましたか?
歩夢 全然違いましたね。それが未悠個人の性格のおかげなのか、性転換した同士だからなのかは正直わからないんですけど、僕にとっては思ってることをそのまま話せる初めての相手でした。どう?
未悠 私もそうでしたね。当時は男性に対してちょっと諦めかけてたから、こんな楽に話せる人がいるのかって。
――SNSなどで活動されていると他のトランスの方と知り合う機会も多いと思うのですが、近いことで悩んでいる人はやっぱり多いんでしょうか。
歩夢 これは経験則というかほとんど偏見なんですけど、僕のようなFtMと女性のカップルだと、結婚してる人たちも結構多いんですよ。でもMtFと男性のカップルは本当に少ない。未悠 男性の方が、相手に求める要素として外見とか子供とか夜の行為がどうかという部分の比重が高いんだと思いますね。女性は精神的なつながりを重視して、性格的に合う相手だから結婚しよう、と思う人が多いというか。――男女でそんなに差があるんですね。おふたりはトランス同士の夜の行為についても発信されていてびっくりしました。未悠 性欲あるの? とかめっちゃ聞かれるんですよ。そんな気軽に人の性事情を聞かんでも、とは思いますけど(笑)。でも特に当事者の方だと確かに知りたい人がいるのはわかるので、自分たちの体験とか試行錯誤については話してます。でも意外と普通ですよ、本当に。歩夢 結局そういうことって手探りじゃないですか。お互いに何をしてほしいか、何をしてほしくないか探りながら2人の形を見つけていくしかないというか。そういう意味ではストレートの男女カップルと別に変わらないと思うんですけどね。「優しくしてくれるのは嬉しいけど、放っておいてほしいことも」――たしかにそうですね。他のカップルがどうしているかなんてわかりませんもんね。歩夢 そうなんですよ。なんか特別なことをしてると思われがちなんですけど、全然そんなことないですからね。――かなりいろんなことをぶっちゃけて情報発信をされていると思うんですが、反応の変化のようなものは感じていますか?未悠 私達が小さい頃より全体として良い方向に向かってるとは思います。でもなんというか、ちょっと敏感? になられてるなって感じることはあります。「LGBTQの人はこういう風に扱ってあげないと」「悩んでるんやろ?」みたいな。優しくしてくれるのは嬉しいけど、もうちょっと普通に放っておいてほしいこともありますね。歩夢 たぶん扱い方の正解が欲しいんだと思うんですよね。最近は子供を持つ親の方に相談されることも多くて「うちの男の子が女の子っぽい雰囲気なんですけどどうしたらいいでしょうか」という質問はとてもよく聞かれます。でも1人の人間を完全に理解するなんて無理だし、まして小学生の頃だと自分でも自分のことがよくわかってない場合も多いですよね。――間違えたくないから正解が欲しい、と。そのためなのか、LGBTQのような分類もとても多くなっていますよね。未悠 多すぎて、私たちも全部は把握できていないのが正直なところです(笑)。カテゴリーができることで理解してもらいやすくなるのはそうなんですけど、別にトランスセクシャルっていうことにプライドを持ってるわけでもないですし。歩夢 増えすぎて、僕らですらちょっと面倒くさいと思っちゃうこともあるよな(笑)。――そうなんですね。『「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)』歩夢 あと、僕たちが言うと矛盾して聞こえるかもしれませんけど、手術や性転換の決断は慎重にしてほしいですね。――どういうことでしょう?歩夢 最近はLGBTQっていう言葉もずいぶん広がって、生まれた時と違う性で生きると決めるハードルが下がってますよね。反対しないで最初から応援してくれる親も増えてると思うんです。でも悩んだ時間とか準備が足りないまま手術を受けてしまった結果、苦しくなってしまう人も少なくないんですよ。僕たちも結構悩んで、ちゃんとクリニックで何年もカウンセリングを受けてから手術を決めたので。未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く(「文春オンライン」編集部)
歩夢 これは経験則というかほとんど偏見なんですけど、僕のようなFtMと女性のカップルだと、結婚してる人たちも結構多いんですよ。でもMtFと男性のカップルは本当に少ない。
未悠 男性の方が、相手に求める要素として外見とか子供とか夜の行為がどうかという部分の比重が高いんだと思いますね。女性は精神的なつながりを重視して、性格的に合う相手だから結婚しよう、と思う人が多いというか。
――男女でそんなに差があるんですね。おふたりはトランス同士の夜の行為についても発信されていてびっくりしました。
未悠 性欲あるの? とかめっちゃ聞かれるんですよ。そんな気軽に人の性事情を聞かんでも、とは思いますけど(笑)。でも特に当事者の方だと確かに知りたい人がいるのはわかるので、自分たちの体験とか試行錯誤については話してます。でも意外と普通ですよ、本当に。
歩夢 結局そういうことって手探りじゃないですか。お互いに何をしてほしいか、何をしてほしくないか探りながら2人の形を見つけていくしかないというか。そういう意味ではストレートの男女カップルと別に変わらないと思うんですけどね。
――たしかにそうですね。他のカップルがどうしているかなんてわかりませんもんね。
歩夢 そうなんですよ。なんか特別なことをしてると思われがちなんですけど、全然そんなことないですからね。
――かなりいろんなことをぶっちゃけて情報発信をされていると思うんですが、反応の変化のようなものは感じていますか?
未悠 私達が小さい頃より全体として良い方向に向かってるとは思います。でもなんというか、ちょっと敏感? になられてるなって感じることはあります。「LGBTQの人はこういう風に扱ってあげないと」「悩んでるんやろ?」みたいな。優しくしてくれるのは嬉しいけど、もうちょっと普通に放っておいてほしいこともありますね。歩夢 たぶん扱い方の正解が欲しいんだと思うんですよね。最近は子供を持つ親の方に相談されることも多くて「うちの男の子が女の子っぽい雰囲気なんですけどどうしたらいいでしょうか」という質問はとてもよく聞かれます。でも1人の人間を完全に理解するなんて無理だし、まして小学生の頃だと自分でも自分のことがよくわかってない場合も多いですよね。――間違えたくないから正解が欲しい、と。そのためなのか、LGBTQのような分類もとても多くなっていますよね。未悠 多すぎて、私たちも全部は把握できていないのが正直なところです(笑)。カテゴリーができることで理解してもらいやすくなるのはそうなんですけど、別にトランスセクシャルっていうことにプライドを持ってるわけでもないですし。歩夢 増えすぎて、僕らですらちょっと面倒くさいと思っちゃうこともあるよな(笑)。――そうなんですね。『「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)』歩夢 あと、僕たちが言うと矛盾して聞こえるかもしれませんけど、手術や性転換の決断は慎重にしてほしいですね。――どういうことでしょう?歩夢 最近はLGBTQっていう言葉もずいぶん広がって、生まれた時と違う性で生きると決めるハードルが下がってますよね。反対しないで最初から応援してくれる親も増えてると思うんです。でも悩んだ時間とか準備が足りないまま手術を受けてしまった結果、苦しくなってしまう人も少なくないんですよ。僕たちも結構悩んで、ちゃんとクリニックで何年もカウンセリングを受けてから手術を決めたので。未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く(「文春オンライン」編集部)
未悠 私達が小さい頃より全体として良い方向に向かってるとは思います。でもなんというか、ちょっと敏感? になられてるなって感じることはあります。「LGBTQの人はこういう風に扱ってあげないと」「悩んでるんやろ?」みたいな。優しくしてくれるのは嬉しいけど、もうちょっと普通に放っておいてほしいこともありますね。
歩夢 たぶん扱い方の正解が欲しいんだと思うんですよね。最近は子供を持つ親の方に相談されることも多くて「うちの男の子が女の子っぽい雰囲気なんですけどどうしたらいいでしょうか」という質問はとてもよく聞かれます。でも1人の人間を完全に理解するなんて無理だし、まして小学生の頃だと自分でも自分のことがよくわかってない場合も多いですよね。
――間違えたくないから正解が欲しい、と。そのためなのか、LGBTQのような分類もとても多くなっていますよね。
未悠 多すぎて、私たちも全部は把握できていないのが正直なところです(笑)。カテゴリーができることで理解してもらいやすくなるのはそうなんですけど、別にトランスセクシャルっていうことにプライドを持ってるわけでもないですし。
歩夢 増えすぎて、僕らですらちょっと面倒くさいと思っちゃうこともあるよな(笑)。――そうなんですね。『「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)』歩夢 あと、僕たちが言うと矛盾して聞こえるかもしれませんけど、手術や性転換の決断は慎重にしてほしいですね。――どういうことでしょう?歩夢 最近はLGBTQっていう言葉もずいぶん広がって、生まれた時と違う性で生きると決めるハードルが下がってますよね。反対しないで最初から応援してくれる親も増えてると思うんです。でも悩んだ時間とか準備が足りないまま手術を受けてしまった結果、苦しくなってしまう人も少なくないんですよ。僕たちも結構悩んで、ちゃんとクリニックで何年もカウンセリングを受けてから手術を決めたので。未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く(「文春オンライン」編集部)
歩夢 増えすぎて、僕らですらちょっと面倒くさいと思っちゃうこともあるよな(笑)。
――そうなんですね。
歩夢 あと、僕たちが言うと矛盾して聞こえるかもしれませんけど、手術や性転換の決断は慎重にしてほしいですね。
――どういうことでしょう?
歩夢 最近はLGBTQっていう言葉もずいぶん広がって、生まれた時と違う性で生きると決めるハードルが下がってますよね。反対しないで最初から応援してくれる親も増えてると思うんです。でも悩んだ時間とか準備が足りないまま手術を受けてしまった結果、苦しくなってしまう人も少なくないんですよ。僕たちも結構悩んで、ちゃんとクリニックで何年もカウンセリングを受けてから手術を決めたので。
未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く(「文春オンライン」編集部)
未悠 手術はしたものの、「想像と違った」って自殺してしまう人も少なくないのが現状です。だからステップはちゃんと踏んで準備してからの方が絶対いい。私も本格的に女性として生活しはじめるまでわからなかったことがいっぱいあるし、後悔してる人も見てるので。
歩夢 僕も「男性ってこんなに雑に扱われるんや」って最初はびっくりしたもん(笑)。だからカウンセリングはもう手術を受けるためのハードルだと思って、時間をかけてきっちり受けてほしいですね。
〈「こんなに雑な感じで扱われるのか!」女性から男性になった歩夢さん(31)が驚いた、職場での“筋肉チェック”事件〉へ続く
(「文春オンライン」編集部)