今年も忘年会・新年会のシーズンが迫ってきた。5月に新型コロナウイルス感染症の5類移行後初の年末年始を迎えるが、コロナ禍前の風物詩は廃れつつある。
さまざまな業界で人手不足なのは誰のせい? 都合の悪いときに人を切り捨てた企業の「自業自得」 東京商工リサーチの「忘・新年会に関するアンケート調査」(1日公表)によると、今シーズンに忘年会もしくは新年会を「実施する」企業は54.4%。「実施しない」は45.5%だった。 昨年の調査では「実施しない」が6割超だったから、前向きな企業がコロナ禍より増えているのは確か。一方で、「実施しない」と回答した企業のうち「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」が21.8%に上る。忘・新年会離れは着実に進んでいる。

■インバウンド需要も限られた店のみ 気になるのは、飲食業界への影響だ。コロナ禍で減った客足が書き入れ時も戻らないとなると、苦境を強いられるに違いない。外食ジャーナリストの中村芳平氏がこう言う。「世の中は“コロナ明け”の雰囲気ですが、居酒屋への客足はコロナ禍前ほどには戻っていないようです。自粛期間が長く続いたことで、飲み会のスタイルも変化してしまった。例えば午後5時に1次会を始めて、食べ飲み放題2時間でお開きになる。遅くまで飲む習慣の人が減り、2次会や3次会に流れづらくなったといいます。大手チェーンは食べ飲み放題の需要がありますが、2次会や3次会頼みの個人経営の店は相変わらず苦しい。忘・新年会に前向きな企業がコロナ禍に比べて増えているとはいえ、勢いに欠けます。今後の忘・新年会の客足を占う意味で、今年は試金石となるでしょう」 インバウンド需要が期待されているが、恩恵は限定的だという。「はやりは1000円あれば酔えるような『せんべろ』系の業態ですが、これは主に国内需要向け。一方、インバウンドは口コミを通じて『ココに行きたい』『コレが食べたい』との目的をハッキリさせており、付け焼き刃の集客方法は通用しません。ただ、銀座にある客単価3000~4000円の居酒屋が、値段設定をインバウンド向けに6500円にしたら、外国人の客足が伸びたという話があります。場所柄、多くの観光客が訪れるし、値段設定を上げても円安だから問題ない。あくまでも特殊な事例です」(中村芳平氏) 年末年始のあのにぎわいが戻ってくるには、まだまだ時間がかかりそうだ。
東京商工リサーチの「忘・新年会に関するアンケート調査」(1日公表)によると、今シーズンに忘年会もしくは新年会を「実施する」企業は54.4%。「実施しない」は45.5%だった。
昨年の調査では「実施しない」が6割超だったから、前向きな企業がコロナ禍より増えているのは確か。一方で、「実施しない」と回答した企業のうち「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」が21.8%に上る。忘・新年会離れは着実に進んでいる。
■インバウンド需要も限られた店のみ
気になるのは、飲食業界への影響だ。コロナ禍で減った客足が書き入れ時も戻らないとなると、苦境を強いられるに違いない。外食ジャーナリストの中村芳平氏がこう言う。
「世の中は“コロナ明け”の雰囲気ですが、居酒屋への客足はコロナ禍前ほどには戻っていないようです。自粛期間が長く続いたことで、飲み会のスタイルも変化してしまった。例えば午後5時に1次会を始めて、食べ飲み放題2時間でお開きになる。遅くまで飲む習慣の人が減り、2次会や3次会に流れづらくなったといいます。大手チェーンは食べ飲み放題の需要がありますが、2次会や3次会頼みの個人経営の店は相変わらず苦しい。忘・新年会に前向きな企業がコロナ禍に比べて増えているとはいえ、勢いに欠けます。今後の忘・新年会の客足を占う意味で、今年は試金石となるでしょう」
インバウンド需要が期待されているが、恩恵は限定的だという。
「はやりは1000円あれば酔えるような『せんべろ』系の業態ですが、これは主に国内需要向け。一方、インバウンドは口コミを通じて『ココに行きたい』『コレが食べたい』との目的をハッキリさせており、付け焼き刃の集客方法は通用しません。ただ、銀座にある客単価3000~4000円の居酒屋が、値段設定をインバウンド向けに6500円にしたら、外国人の客足が伸びたという話があります。場所柄、多くの観光客が訪れるし、値段設定を上げても円安だから問題ない。あくまでも特殊な事例です」(中村芳平氏)
年末年始のあのにぎわいが戻ってくるには、まだまだ時間がかかりそうだ。