コロナ禍で火がついたと言われている“キャンプブーム”。日本オートキャンプ協会の発表によると、昨年のキャンパーの傾向は、1位が「ソロキャンパーが増えた」(58.1%)、2位が「女性のソロキャンパーが増えた」(38.2%)なのだという。一方で、ひとりでキャンプに来ている女性を狙った悪質なナンパも少なくない。そこで今回は、女性キャンパーたちに、過去に遭遇したナンパ被害の体験を語ってもらった。
【画像】焚き火を楽しんでいたところに…女性キャンパーが実際に遭遇した3つのトラブル※写真はイメージです AFLO◆ ◆ ◆見知らぬ男性2人組に突然声をかけられる 3年前から趣味でキャンプを始めた豊川美南さん(仮名・30歳)。ソロキャンプで遭遇したナンパ被害について話してくれた。「冬にひとりで行ったキャンプでの出来事です。その日は、前日に雪が降っていて、私のキャンプサイトにも雪が積もっていました。すると、男性の管理人さんが『ソロキャンプは大変だから』と言って、サイト内の雪を避けてくれたり、電気毛布を貸してくれたりと、とても親切にしてくれたんです」 管理人は、一通り作業を手伝うと「じゃあ楽しんで」と言って去っていった。その言葉通り、豊川さんは食事やお酒を飲みながらソロキャンプを満喫していたが……。「突然、見知らぬ男性2人組に『こんにちは』と声をかけられました。聞けば『女子のソロキャンパーがいると管理人さんに教えてもらったので、あいさつに来た』とのことで、なぜか握手を求められたんです。私と一緒にお酒を飲みたそうな雰囲気を醸し出していましたが、苦笑いで対応していると、そそくさと帰っていきました」「女性の意見を聞きたい」と頼まれ、LINEを交換すると… その後は何事もなかったが、自分の居場所を勝手に伝えた管理人に対してモヤモヤした気持ちを抱えたまま眠りに就いたという。「とはいえ親切にしてもらったので、翌朝、管理人さんにお礼を伝えてチェックアウトしました。すると、『管理人として、もっと女性の意見を聞きたいのでLINEのIDを教えてほしい』と頼まれたんです」 豊川さんは一瞬動揺したものの、男性が真剣な様子だったこともあり「キャンパーのためになるならば」とLINEを交換。帰宅後、キャンプ場に改善してほしい点を箇条書きにして送ったという。突然ナンパモードに切り替わった「一通り自分の伝えたい内容を送ったので、やりとりを終了しようとしたところ、なんの脈絡もなく『年明けに初詣に行きませんか?』というメッセージが送られてきたんです。突然ナンパモードに切り替わったので、かなり困惑しました……。お断りをしてLINEもブロックしましたが、正直『こんな人が管理人を務めているなんて』と、がっかりしましたね」 それ以来、豊川さんは管理人との交流は必要最低限にとどめよう、と心に決めているそうだ。初心者向けのキャンプサイトには注意が必要 キャンプ歴8年の園田真琴さん(仮名・32歳)は「初心者向けのキャンプサイトは、女性キャンパーがナンパや迷惑行為の被害に遭いやすい」と話す。「初心者向けのキャンプサイトには、気軽に声を掛けてくるパリピ系の若者や、 羽目を外してしまう人が多い気がします。そういうサイトに女性だけのグループや、女性ひとりでテントを設営すると、被害に遭いやすいと思います」 そんな彼女も、キャンプ初心者の頃に男性から絡まれた過去がある。「私は焚き火の練習をするために、都内にあるキャンプ場をデイキャンプで利用していました。そのキャンプ場は都心からそれほど離れておらず、電車とバスで気軽に行ける地域にありますし、焚き火やテント設営の練習もしやすい。まさに初心者向けのキャンプ場ですね」「一緒に飲もう」と何度も誘われ、しかたなく飲むことに 無事に設営を終え、焚き火タイムを楽しんでいた園田さんに、40代前後の男性3人組がしつこく声をかけてきたという。「初めは適当にいなしていたのですが『お酒があるから一緒に飲もう』と、何度も何度も誘ってくるので、しかたなく一緒に飲むことに。でも、その判断は間違っていた、とすぐに後悔しました。じつは、3人のうち1人の酒グセが異常に悪かったんです」酔った男性が大声で叫びながら鍋やキャンプ道具を投げ始めた 酒に酔った男性は、突然奇声をあげたり、悪態をついたりとやりたい放題。彼の奇行はさらにエスカレートし、ろれつの回らない口調で何かを大声で叫びながら鍋やキャンプ道具を手あたりしだいに投げ始めた。「驚いた私は、他の2人に『あの人大丈夫ですか? 止めたほうがいいのでは?』と、やんわりとクレームを入れたんです。それでも『気にしなくていいよ。いつものことだから』と、まるで意に介さない。私は内心『いやいや、あなたたちが気にしなくてもこっちは大迷惑なんだよ!』と怒り心頭でしたが、男性たちとは体格差もありますし、刺激してこちらに攻撃されても怖い。初対面ですし、何も言えませんでした」 ほとんどのキャンプ道具を投げ飛ばした男性は、しまいには上半身裸になって暴れ出したという。あまりに異様な光景だった、と園田さんは振り返る。「私は身の危険を感じて、キャンプ道具を片付けて帰り支度をはじめました。それでも先方は、私の気持ちを察することなく『まだ終電まで時間があるから、もう少し飲もうよ』と、かなりしつこかったですね。最後は彼らを振り切って、逃げるようにその場を離れるしかなかったです」 園田さんは「女性キャンパーは、初心者向けだからといって安心せず、治安の悪いキャンプサイトには行かないでほしい」と、アドバイスを送った。テントの設営を強引に手伝われる 房総エリアにあるキャンプ場で「ソロキャンプ中につきまとわれた経験がある」と話すのは、宮川菜々子さん(仮名・34歳)だ。「私がテントの設営に手こずっているときに『なにか困ってないですかー?』と話しかけられたのがはじまりでした。声の主は40代くらいの男性。当時私は、キャンプを始めたばかりだったので『自分で設営の練習をしたいので』と、丁重にお断りしたのですが、強引に手伝いはじめたんです。親切心でやってくれているのかなと思い強く言えず、結局、その人はテントを張り終えるまで私のサイトにいましたね」 その後、日が暮れて焚き火を見ながらまったりしていた宮川さん。そんな彼女のもとに、今度は「これよかったらどうぞ」と言いながら、同じ男性がお酒を持って現れたという。「一緒にお酒を飲みたいという下心が透けて見えたので、キッパリ断りました。すると、突然不機嫌になり『キャンプは人と人が助け合って~』などと私に説教をし始めて雰囲気は台無し。男性から怒られている間、『平日も職場のおじさんたちの顔色を窺っていて疲れてるのに、なぜ森の中でも絡まれなければならないのか……』なんてことを考えていましたね」キャンプ場でひとりの人を見かけても、交流は極力避けるのが得策 男性は、宮川さんにひとしきり怒りをぶつけると、自分のキャンプサイトに帰っていった。「キャンプ中に『手伝ってあげる』というのは一見、親切な行動ですし、本当に困っているときはありがたいのかもしれません。ですが、『何か見返りを求められているのではないか』と思って不信感を抱いてしまうこともあります。こちらがお断りした際に、プライドを傷つけられた、と怒り出すのは、あまりに理不尽ではないでしょうか」 ソロキャンパーの多くが“ひとりの時間”を楽しみに来ているはず、と宮川さんは語る。ひとりでキャンプに来ている人を見つけても、無理な交流は控えるのが得策だ。 峯田可奈子さん(仮名・28歳)は、ナンパされた経験はないものの、周囲からの被害報告を聞いてから「自己防衛を徹底するようになった」と話す。「女性だけでキャンプに行くときや、ひとりのときはテントの設営場所に気を使います。設営場所は、見通しがよく、家族連れや女性がいて、受付が近いエリアにテントを張るようにしています。『怖いならソロキャンプに行くな』という意見もあるかもしれませんが、正直、性別によって趣味や行動が制限されるのは納得できません」断ったら何かされるのでは…不安を感じて誘いに応じてしまう女性も 前出の宮川さんも、「同じような体験をした人は多いと思う」と話す。「女性を誘って断られて怒るのは勝手ですが、された側はたまったものではありません。なにかあっても、夜は暗くて場所を移動してテントの張り直しはできないし、入り口にカギをかけても、もしテントを裂かれては逃げ場がない。こうした状況下で、しつこいナンパを断ったら『なにか仕返しをされるのでは……』と、不安を感じて応じてしまう女性もいるかもしれません。 できるだけトラブルが発生しないように、キャンプ場の運営側の対応にも期待したいです。たとえば、キャンプサイト予約時に、女性同士を近くするなどの配慮をしていただけるとうれしいですね」 オートキャンプだけでなく、グランピングやソロキャンプなど楽しみ方が多様化しているキャンプ。誰もが快適に過ごせるよう、そのあり方を再考する必要があるのかもしれない。(清談社)
※写真はイメージです AFLO

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3年前から趣味でキャンプを始めた豊川美南さん(仮名・30歳)。ソロキャンプで遭遇したナンパ被害について話してくれた。
「冬にひとりで行ったキャンプでの出来事です。その日は、前日に雪が降っていて、私のキャンプサイトにも雪が積もっていました。すると、男性の管理人さんが『ソロキャンプは大変だから』と言って、サイト内の雪を避けてくれたり、電気毛布を貸してくれたりと、とても親切にしてくれたんです」
管理人は、一通り作業を手伝うと「じゃあ楽しんで」と言って去っていった。その言葉通り、豊川さんは食事やお酒を飲みながらソロキャンプを満喫していたが……。
「突然、見知らぬ男性2人組に『こんにちは』と声をかけられました。聞けば『女子のソロキャンパーがいると管理人さんに教えてもらったので、あいさつに来た』とのことで、なぜか握手を求められたんです。私と一緒にお酒を飲みたそうな雰囲気を醸し出していましたが、苦笑いで対応していると、そそくさと帰っていきました」
その後は何事もなかったが、自分の居場所を勝手に伝えた管理人に対してモヤモヤした気持ちを抱えたまま眠りに就いたという。
「とはいえ親切にしてもらったので、翌朝、管理人さんにお礼を伝えてチェックアウトしました。すると、『管理人として、もっと女性の意見を聞きたいのでLINEのIDを教えてほしい』と頼まれたんです」
豊川さんは一瞬動揺したものの、男性が真剣な様子だったこともあり「キャンパーのためになるならば」とLINEを交換。帰宅後、キャンプ場に改善してほしい点を箇条書きにして送ったという。
「一通り自分の伝えたい内容を送ったので、やりとりを終了しようとしたところ、なんの脈絡もなく『年明けに初詣に行きませんか?』というメッセージが送られてきたんです。突然ナンパモードに切り替わったので、かなり困惑しました……。お断りをしてLINEもブロックしましたが、正直『こんな人が管理人を務めているなんて』と、がっかりしましたね」
それ以来、豊川さんは管理人との交流は必要最低限にとどめよう、と心に決めているそうだ。
キャンプ歴8年の園田真琴さん(仮名・32歳)は「初心者向けのキャンプサイトは、女性キャンパーがナンパや迷惑行為の被害に遭いやすい」と話す。
「初心者向けのキャンプサイトには、気軽に声を掛けてくるパリピ系の若者や、 羽目を外してしまう人が多い気がします。そういうサイトに女性だけのグループや、女性ひとりでテントを設営すると、被害に遭いやすいと思います」
そんな彼女も、キャンプ初心者の頃に男性から絡まれた過去がある。
「私は焚き火の練習をするために、都内にあるキャンプ場をデイキャンプで利用していました。そのキャンプ場は都心からそれほど離れておらず、電車とバスで気軽に行ける地域にありますし、焚き火やテント設営の練習もしやすい。まさに初心者向けのキャンプ場ですね」
無事に設営を終え、焚き火タイムを楽しんでいた園田さんに、40代前後の男性3人組がしつこく声をかけてきたという。
「初めは適当にいなしていたのですが『お酒があるから一緒に飲もう』と、何度も何度も誘ってくるので、しかたなく一緒に飲むことに。でも、その判断は間違っていた、とすぐに後悔しました。じつは、3人のうち1人の酒グセが異常に悪かったんです」酔った男性が大声で叫びながら鍋やキャンプ道具を投げ始めた 酒に酔った男性は、突然奇声をあげたり、悪態をついたりとやりたい放題。彼の奇行はさらにエスカレートし、ろれつの回らない口調で何かを大声で叫びながら鍋やキャンプ道具を手あたりしだいに投げ始めた。「驚いた私は、他の2人に『あの人大丈夫ですか? 止めたほうがいいのでは?』と、やんわりとクレームを入れたんです。それでも『気にしなくていいよ。いつものことだから』と、まるで意に介さない。私は内心『いやいや、あなたたちが気にしなくてもこっちは大迷惑なんだよ!』と怒り心頭でしたが、男性たちとは体格差もありますし、刺激してこちらに攻撃されても怖い。初対面ですし、何も言えませんでした」 ほとんどのキャンプ道具を投げ飛ばした男性は、しまいには上半身裸になって暴れ出したという。あまりに異様な光景だった、と園田さんは振り返る。「私は身の危険を感じて、キャンプ道具を片付けて帰り支度をはじめました。それでも先方は、私の気持ちを察することなく『まだ終電まで時間があるから、もう少し飲もうよ』と、かなりしつこかったですね。最後は彼らを振り切って、逃げるようにその場を離れるしかなかったです」 園田さんは「女性キャンパーは、初心者向けだからといって安心せず、治安の悪いキャンプサイトには行かないでほしい」と、アドバイスを送った。テントの設営を強引に手伝われる 房総エリアにあるキャンプ場で「ソロキャンプ中につきまとわれた経験がある」と話すのは、宮川菜々子さん(仮名・34歳)だ。「私がテントの設営に手こずっているときに『なにか困ってないですかー?』と話しかけられたのがはじまりでした。声の主は40代くらいの男性。当時私は、キャンプを始めたばかりだったので『自分で設営の練習をしたいので』と、丁重にお断りしたのですが、強引に手伝いはじめたんです。親切心でやってくれているのかなと思い強く言えず、結局、その人はテントを張り終えるまで私のサイトにいましたね」 その後、日が暮れて焚き火を見ながらまったりしていた宮川さん。そんな彼女のもとに、今度は「これよかったらどうぞ」と言いながら、同じ男性がお酒を持って現れたという。「一緒にお酒を飲みたいという下心が透けて見えたので、キッパリ断りました。すると、突然不機嫌になり『キャンプは人と人が助け合って~』などと私に説教をし始めて雰囲気は台無し。男性から怒られている間、『平日も職場のおじさんたちの顔色を窺っていて疲れてるのに、なぜ森の中でも絡まれなければならないのか……』なんてことを考えていましたね」キャンプ場でひとりの人を見かけても、交流は極力避けるのが得策 男性は、宮川さんにひとしきり怒りをぶつけると、自分のキャンプサイトに帰っていった。「キャンプ中に『手伝ってあげる』というのは一見、親切な行動ですし、本当に困っているときはありがたいのかもしれません。ですが、『何か見返りを求められているのではないか』と思って不信感を抱いてしまうこともあります。こちらがお断りした際に、プライドを傷つけられた、と怒り出すのは、あまりに理不尽ではないでしょうか」 ソロキャンパーの多くが“ひとりの時間”を楽しみに来ているはず、と宮川さんは語る。ひとりでキャンプに来ている人を見つけても、無理な交流は控えるのが得策だ。 峯田可奈子さん(仮名・28歳)は、ナンパされた経験はないものの、周囲からの被害報告を聞いてから「自己防衛を徹底するようになった」と話す。「女性だけでキャンプに行くときや、ひとりのときはテントの設営場所に気を使います。設営場所は、見通しがよく、家族連れや女性がいて、受付が近いエリアにテントを張るようにしています。『怖いならソロキャンプに行くな』という意見もあるかもしれませんが、正直、性別によって趣味や行動が制限されるのは納得できません」断ったら何かされるのでは…不安を感じて誘いに応じてしまう女性も 前出の宮川さんも、「同じような体験をした人は多いと思う」と話す。「女性を誘って断られて怒るのは勝手ですが、された側はたまったものではありません。なにかあっても、夜は暗くて場所を移動してテントの張り直しはできないし、入り口にカギをかけても、もしテントを裂かれては逃げ場がない。こうした状況下で、しつこいナンパを断ったら『なにか仕返しをされるのでは……』と、不安を感じて応じてしまう女性もいるかもしれません。 できるだけトラブルが発生しないように、キャンプ場の運営側の対応にも期待したいです。たとえば、キャンプサイト予約時に、女性同士を近くするなどの配慮をしていただけるとうれしいですね」 オートキャンプだけでなく、グランピングやソロキャンプなど楽しみ方が多様化しているキャンプ。誰もが快適に過ごせるよう、そのあり方を再考する必要があるのかもしれない。(清談社)
「初めは適当にいなしていたのですが『お酒があるから一緒に飲もう』と、何度も何度も誘ってくるので、しかたなく一緒に飲むことに。でも、その判断は間違っていた、とすぐに後悔しました。じつは、3人のうち1人の酒グセが異常に悪かったんです」
酒に酔った男性は、突然奇声をあげたり、悪態をついたりとやりたい放題。彼の奇行はさらにエスカレートし、ろれつの回らない口調で何かを大声で叫びながら鍋やキャンプ道具を手あたりしだいに投げ始めた。
「驚いた私は、他の2人に『あの人大丈夫ですか? 止めたほうがいいのでは?』と、やんわりとクレームを入れたんです。それでも『気にしなくていいよ。いつものことだから』と、まるで意に介さない。私は内心『いやいや、あなたたちが気にしなくてもこっちは大迷惑なんだよ!』と怒り心頭でしたが、男性たちとは体格差もありますし、刺激してこちらに攻撃されても怖い。初対面ですし、何も言えませんでした」
ほとんどのキャンプ道具を投げ飛ばした男性は、しまいには上半身裸になって暴れ出したという。あまりに異様な光景だった、と園田さんは振り返る。
「私は身の危険を感じて、キャンプ道具を片付けて帰り支度をはじめました。それでも先方は、私の気持ちを察することなく『まだ終電まで時間があるから、もう少し飲もうよ』と、かなりしつこかったですね。最後は彼らを振り切って、逃げるようにその場を離れるしかなかったです」
園田さんは「女性キャンパーは、初心者向けだからといって安心せず、治安の悪いキャンプサイトには行かないでほしい」と、アドバイスを送った。
房総エリアにあるキャンプ場で「ソロキャンプ中につきまとわれた経験がある」と話すのは、宮川菜々子さん(仮名・34歳)だ。
「私がテントの設営に手こずっているときに『なにか困ってないですかー?』と話しかけられたのがはじまりでした。声の主は40代くらいの男性。当時私は、キャンプを始めたばかりだったので『自分で設営の練習をしたいので』と、丁重にお断りしたのですが、強引に手伝いはじめたんです。親切心でやってくれているのかなと思い強く言えず、結局、その人はテントを張り終えるまで私のサイトにいましたね」
その後、日が暮れて焚き火を見ながらまったりしていた宮川さん。そんな彼女のもとに、今度は「これよかったらどうぞ」と言いながら、同じ男性がお酒を持って現れたという。
「一緒にお酒を飲みたいという下心が透けて見えたので、キッパリ断りました。すると、突然不機嫌になり『キャンプは人と人が助け合って~』などと私に説教をし始めて雰囲気は台無し。男性から怒られている間、『平日も職場のおじさんたちの顔色を窺っていて疲れてるのに、なぜ森の中でも絡まれなければならないのか……』なんてことを考えていましたね」
男性は、宮川さんにひとしきり怒りをぶつけると、自分のキャンプサイトに帰っていった。
「キャンプ中に『手伝ってあげる』というのは一見、親切な行動ですし、本当に困っているときはありがたいのかもしれません。ですが、『何か見返りを求められているのではないか』と思って不信感を抱いてしまうこともあります。こちらがお断りした際に、プライドを傷つけられた、と怒り出すのは、あまりに理不尽ではないでしょうか」
ソロキャンパーの多くが“ひとりの時間”を楽しみに来ているはず、と宮川さんは語る。ひとりでキャンプに来ている人を見つけても、無理な交流は控えるのが得策だ。 峯田可奈子さん(仮名・28歳)は、ナンパされた経験はないものの、周囲からの被害報告を聞いてから「自己防衛を徹底するようになった」と話す。「女性だけでキャンプに行くときや、ひとりのときはテントの設営場所に気を使います。設営場所は、見通しがよく、家族連れや女性がいて、受付が近いエリアにテントを張るようにしています。『怖いならソロキャンプに行くな』という意見もあるかもしれませんが、正直、性別によって趣味や行動が制限されるのは納得できません」断ったら何かされるのでは…不安を感じて誘いに応じてしまう女性も 前出の宮川さんも、「同じような体験をした人は多いと思う」と話す。「女性を誘って断られて怒るのは勝手ですが、された側はたまったものではありません。なにかあっても、夜は暗くて場所を移動してテントの張り直しはできないし、入り口にカギをかけても、もしテントを裂かれては逃げ場がない。こうした状況下で、しつこいナンパを断ったら『なにか仕返しをされるのでは……』と、不安を感じて応じてしまう女性もいるかもしれません。 できるだけトラブルが発生しないように、キャンプ場の運営側の対応にも期待したいです。たとえば、キャンプサイト予約時に、女性同士を近くするなどの配慮をしていただけるとうれしいですね」 オートキャンプだけでなく、グランピングやソロキャンプなど楽しみ方が多様化しているキャンプ。誰もが快適に過ごせるよう、そのあり方を再考する必要があるのかもしれない。(清談社)
ソロキャンパーの多くが“ひとりの時間”を楽しみに来ているはず、と宮川さんは語る。ひとりでキャンプに来ている人を見つけても、無理な交流は控えるのが得策だ。
峯田可奈子さん(仮名・28歳)は、ナンパされた経験はないものの、周囲からの被害報告を聞いてから「自己防衛を徹底するようになった」と話す。
「女性だけでキャンプに行くときや、ひとりのときはテントの設営場所に気を使います。設営場所は、見通しがよく、家族連れや女性がいて、受付が近いエリアにテントを張るようにしています。『怖いならソロキャンプに行くな』という意見もあるかもしれませんが、正直、性別によって趣味や行動が制限されるのは納得できません」
前出の宮川さんも、「同じような体験をした人は多いと思う」と話す。
「女性を誘って断られて怒るのは勝手ですが、された側はたまったものではありません。なにかあっても、夜は暗くて場所を移動してテントの張り直しはできないし、入り口にカギをかけても、もしテントを裂かれては逃げ場がない。こうした状況下で、しつこいナンパを断ったら『なにか仕返しをされるのでは……』と、不安を感じて応じてしまう女性もいるかもしれません。
できるだけトラブルが発生しないように、キャンプ場の運営側の対応にも期待したいです。たとえば、キャンプサイト予約時に、女性同士を近くするなどの配慮をしていただけるとうれしいですね」
オートキャンプだけでなく、グランピングやソロキャンプなど楽しみ方が多様化しているキャンプ。誰もが快適に過ごせるよう、そのあり方を再考する必要があるのかもしれない。
(清談社)