最近では女子会の場所として選ばれたり、単身者が利用したりと、ラブホテルは“カップルが愛し合うだけの場所”ではなくなっています。都市部にはおしゃれな物件も多くなり、一昔前の淫靡で怪しい雰囲気のラブホテルは徐々に姿を消しつつあります。都内で営業職についている高橋翔吾さん(仮名・28歳)は後者のほう、古めかしいラブホテルで変わった体験をしたといいます。高橋さんは彼女と旅をするのが趣味。なるべく安く回りたい場合によくラブホテルを宿泊先に使うそうです。
◆22時を過ぎても宿が見つからず…
「温泉旅館もいいですが料金が高いし、シティホテルは予約しないといけないので旅の幅が狭まってしまう……。自由に旅をして、ご当地の美味しいものを食べるのが好きなので、繁華街で飲み食いして近くにあるラブホに泊まるのが一番楽なんです。アプリや公式サイトを展開しているラブホも多く、空いている部屋などを離れている場所でも確認できるので非常に便利。ラブホは進化しているので、自分たちの旅には欠かせない宿泊先になっています」
ラブホに精通した高橋さんですが、関西方面へ旅行した際に変わった体験をしたそうです。
「USJに行って夜は串揚げ屋さんで食事して、22時くらいからホテルを探したのですが、週末だったこともあっていい感じのラブホはどこも満室で……。やっとの思いで風俗店もちらほらある繁華街の外れで見つけたんです。ビジネスホテルなどもどこも満室だし、他のカップルに取られてしまうと泊まるところが無くなるので、サイトやアプリで評価をしっかり見ないでチェックインしたのですが……」
◆突然鳴った部屋のチャイム。誰?
少し古びた建物だったものの、背に腹は変えられずにその日の宿泊先に選んだ「A」というラブホ。しかし、そこは関西方面ではその筋で知られた、いわくつきの物件だったそうです。
「少し汚いなと思ったんですが、疲れていたし寝るだけだから良いかと彼女も了承して泊まることに。シャワーを交代で浴びて、その日は疲れていたので0時前にはそのまま2人とも寝てしまった。そんな時に、ちょっと外が騒がしかったんですが、眠かったのもあり知らんふりしていたら、部屋のチャイムが突然鳴ったんです。驚いてドアを開けると、外には妙齢の熟女が立っていて……。どうも、派遣されてくるタイプの方が部屋を間違えて我々の部屋に来たんです(笑)。丁重に説明して帰ってもらいました」
◆見知らぬ中年男性が部屋に入ろうと…
なんとも怪しいラブホに泊まってしまった高橋さんですが、その後さらに悲劇に見舞われることになったとか。
「目がさめて、ムラムラしてしまい彼女とそういう雰囲気に。イチャイチャしていると、なんだか嫌な気配がしたんです。玄関付近に人の気配がして、不審に思って見に行くと見知らぬ中年男性が部屋に入ろうとしていた。どうもデリヘル嬢を帰した時に寝ぼけて自分がしっかりと閉めていなかったようで、ドアが少し空いていたんです。酔っ払いかと思って少し影から見ていたのですが、どうも足取りもしっかりしているし雰囲気がおかしい。意を決して、声をかけるとそのおじさんも驚いて、直立不動で固まっていました」
自分が泊まっている部屋に見知らぬ男が入ってきたとなれば、強盗かと思うところだが、どうもその男性は犯罪者というわけではなかったそうです。
「強盗かと思い110番するつもりでいたのですが、このラブホが覗きやそれ以上のことが暗黙の了解でOKなスポットだったようです。ドアが少し空いているのが入室OKのサインで、どうも自分が閉め忘れた時に立て付けが悪くて少しドアが空いていたみたいです。男性も戸惑っていて、しっかり鍵を締めたほうが良いとアドバイスまでしてくれて(笑)。なんだか怖くてその日は彼女とともに眠れず、テレビを見ながら朝を迎えました」
その一件以来、旅をする際にはあまりラブホを使用しなくなったそうです。
「もしも使用する場合は、特殊なルールのラブホもあるので、どんなに急いでいてもしっかりとサイトやアプリでレビューを調べることも忘れません。とはいえ、有名なビジネスホテルなら、間違って部屋に見知らぬ男が入ってくることはないので、どこのエリアでもキチンと予約して旅をするようにしています」
土壇場で迷ったり悩んだりすることも旅の醍醐味のひとつ。事前に調べすぎてしまうと、興が削がれてしまうかもしれません。ただ、最低限の情報は持っておいて損はないはず。少なくとも宿に関しては安全で快適な場所を選びたいものです。
<TEXT/高橋マナブ>