京都アニメーション第1スタジオが放火され36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判第11回公判が2日、京都地裁であった。
同社の八田英明社長が証人として出廷し、「事件が起きたのは断腸の思い。ちゃんとした判決が出ると信じている」と述べた。
八田社長は証人尋問で、「他人のアイデアを盗んだりする会社ではない」と強調。「小説を盗用された」とする青葉被告の主張を否定した。
創業からの歴史を振り返りながら、印象に残った社員として、事件で犠牲となった武本康弘さん=当時(47)、寺脇(池田)晶子さん=同(44)=の名前を挙げた。多くの作品を手掛け、後輩に大きな影響を与えた木上益治さん=同(61)=の入社は京アニの転機になったとした。
青葉被告はこれまでの公判で、京アニ大賞に自作の小説が落選したことが、事件の契機になったと明かしている。選考の経緯を問われた八田社長は、青葉被告の作品について「粗筋のみを読んで判断する1次審査で落選した」と述べた。
八田社長は証人尋問後、報道陣の取材に応じ、「4年たっても変わらない。本当に大事な仲間を、会社の宝をなくした」と話した。