遺品整理の現場では、いまの日本人、あるいは日本社会の現実に直面させられる。多くの人が、「最期は一人で死んでいく」という現実だ。いま孤独死・自殺の現場では何が起こっているのか。遺品整理業者が、日本人の知らない遺品整理の実情を克明に記した『遺品は語る』(赤澤健一著)より、抜粋してお届けする。
実際に遺品整理サービスを始めてみると、そうした当社のサービスのクオリティやスタッフのレベルの高さによって、ご依頼主の支持を得ることができたようだ。結果として、関西から日本中にサービス地域を広げ、業界トップクラスになっている。
そもそも日本では、超高齢化が進行中という社会的背景がある。もちろん、高齢者が自分で片づけることができればそれに越したことはないが、高齢になれば、片づけられないようになるのはやむを得ない。
高齢者が家の中で生活していくために片づけを手伝って欲しいというニーズや、万が一そのままお亡くなりになった場合に、あとに遺された方たちが家の中を片づける際のニーズがあって当然なのだ。
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遺品の整理は、とりあえず他人の手を借りずに自分たちでやろうとすることも多い。しかし、始めたものの手に余り、それで私どもプロに頼むというのが、もっともよくある遺品整理サービスの依頼パターンのようだ。
さらに一般的な遺品整理ではなく、暑い季節に孤独死したなどの案件の場合は、その家の中を片づけるのはプロでないと困難だ。ご遺体が発見されるまでに室内の状態が悪くなっていることが多く、単に片づけるだけでなく防臭対策や事後の消臭・消毒などの薬品処理が必要で、専門知識がないと対応できない。そうした一般家庭では難しい片づけも、私どもでは扱わせていただいている。
亡くなられた様子で事件性があれば警察が対応し、ご遺体も回収されるが、後始末はそれだけではない。
「リビング一帯が血の海なんですが、片づけてもらえますか?」
「室内で残された体液が見つかったんだけど、どうしたらいいですか?」
などと、マンションの管理会社から電話で問い合わせられることも、しばしばだ。時には「ペットの死骸もあるんですが、後始末は大丈夫ですか?」などという問い合わせもある。ペットは、そのまま放置されていることが多いのだ。依頼してくる不動産会社や管理会社にも判断できないことがあれば、なにかと当社のスタッフにご相談いただいている。こうした専門知識が必要な特殊案件は全体の約一割強を占めるわけだが、じつはサービスをスタートした当初は、年間数件しか依頼がなかった。それが、数ヵ月で三〇~四〇件を処理するようになった。後編記事【遺品整理の場で遺族が「殴り合いの大ゲンカ」…険悪な兄弟の怒りが「大爆発」した理由】に続きます
などと、マンションの管理会社から電話で問い合わせられることも、しばしばだ。時には
「ペットの死骸もあるんですが、後始末は大丈夫ですか?」
などという問い合わせもある。ペットは、そのまま放置されていることが多いのだ。依頼してくる不動産会社や管理会社にも判断できないことがあれば、なにかと当社のスタッフにご相談いただいている。
こうした専門知識が必要な特殊案件は全体の約一割強を占めるわけだが、じつはサービスをスタートした当初は、年間数件しか依頼がなかった。それが、数ヵ月で三〇~四〇件を処理するようになった。
後編記事【遺品整理の場で遺族が「殴り合いの大ゲンカ」…険悪な兄弟の怒りが「大爆発」した理由】に続きます