誰にでも平等に訪れるもの、それは「死」。人が亡くなった後、日本では通夜、告別式を経て火葬にするのが一般的だ。しかし、中にはデマや都市伝説の類も少なくないという。
そこで親子三代にわたり、葬儀社を営んできた「佐藤葬祭」代表取締役社長の佐藤信顕氏が「ほんとう」の葬儀と火葬について紹介していく。
電車と人が接触して、ダイヤが乱れている、運休や遅延が続いている、というニュースが連日のように報じられている。だが、なにも自ら命を絶つために線路に飛び込むケースばかりではない。泥酔していたり、足を踏み外したり、なんらかの理由から線路に落ちてしまうこともある。
人身事故により運転を見合わせる東海道新幹線の新大阪駅(写真/週刊現代)
内閣府の「令和5年版交通安全白書」によると、令和4年の人身障害事故は320件で、前年比の20.3%増。死者数は175人で前年比の6.1%増えていた。また、107件起きたホーム事故(ホームから転落、もしくはホーム上で列車と接触して死傷する事故)のうち、酔っ払って転落する事故は47件で、全体の約44%だという。
新型コロナ禍が一旦落ち着いたことから外に出る人が増えだす一方で、増税、物価高騰による生活苦、長く続く閉塞感、なんらかの悩みや苦しみを抱えている人も少なくないことが、件数増加の要因となっていることが考えられる。
件数にしてみればほぼ毎日、日本中のどこかで起きている人身事故。遭遇経験のある人は多くても、そのご遺体を直接見たことがある人はあまりいないのではないだろうか。
損傷の激しさがまことしやかに語られることはあるものの、はたして実際はどうなのか。
東京都内で90年、3代にわたり葬儀社を営む佐藤葬祭の代表でYouTuberの佐藤信顕氏の著書『遺体と火葬のほんとうの話』(二見書房刊)から、以下、その一部を紹介しよう。
人身事故の遺体の状態以前、電車にはね飛ばされた男性の遺体がホームにいた女性を直撃し、ケガをさせたという事故が東京都内でありました。電車への飛び込みは、身体がぐちゃぐちゃに四散するイメージがあると思うのですが、それはそうとうレアなケースです。車輪と線路は非常に鋭利な金属でできていますから、「バツンと切断される」、と表現したほうが近いでしょう。さらに具体的に言えば、車体と線路の間に挟まって切れるか、あるいは飛ばされて切れるか、ということになります。その際、普通にポーンと飛ばされるのではなく、必ず回転しながら飛んでいきますので、遠心力で腕が切れたり体がちぎれたりするわけです。ちなみに葬儀屋でも「事故後の遺体を拾ったことがある」という人がいますが、かなり昔から仕事をしている人でなければ、たいていはウソです。人身事故は鉄道警察の管轄ですので「葬儀屋が呼ばれて遺体を拾う」などというのはここ30年聞いたことがありません。ちぎれた腕1本は「非常に重い」ところで、ちぎれてしまった腕や足は非常に重たいものです。先ほどの女性は後頭部に遺体の一部が当たってケガをし、精神的にもショックを受けているとのことです。それも無理はありません。標準的な体型の人でも、腕1本で5~10キロの重さがありますから、それが頭に飛んできたことを考えれば、その衝撃たるやものすごかったことでしょう。こういう事故が起こると、「死体はグチャグチャになるらしい」などと、どこかで聞きかじったような実体験の伴わない話で大騒ぎをする輩が必ず出てきます。ですから、本当のことを発信することでデマの拡散防止の一助になればと思い、こういったお話もさせていただきました。・・・・・佐藤氏によると、損傷の激しい遺体の葬儀を請け負うこともあるという。その実態はどうなのか。つづく記事『「顔の半分が欠損」「死後3週間後に発見」で“別人”に…遺体の損傷が激しいとき、葬儀社三代目が遺族に「伝えること」』では、損傷の激しい遺体とその葬儀について、詳しく紹介します。
以前、電車にはね飛ばされた男性の遺体がホームにいた女性を直撃し、ケガをさせたという事故が東京都内でありました。
電車への飛び込みは、身体がぐちゃぐちゃに四散するイメージがあると思うのですが、それはそうとうレアなケースです。車輪と線路は非常に鋭利な金属でできていますから、「バツンと切断される」、と表現したほうが近いでしょう。
さらに具体的に言えば、車体と線路の間に挟まって切れるか、あるいは飛ばされて切れるか、ということになります。
その際、普通にポーンと飛ばされるのではなく、必ず回転しながら飛んでいきますので、遠心力で腕が切れたり体がちぎれたりするわけです。
ちなみに葬儀屋でも「事故後の遺体を拾ったことがある」という人がいますが、かなり昔から仕事をしている人でなければ、たいていはウソです。人身事故は鉄道警察の管轄ですので「葬儀屋が呼ばれて遺体を拾う」などというのはここ30年聞いたことがありません。
ところで、ちぎれてしまった腕や足は非常に重たいものです。先ほどの女性は後頭部に遺体の一部が当たってケガをし、精神的にもショックを受けているとのことです。それも無理はありません。
標準的な体型の人でも、腕1本で5~10キロの重さがありますから、それが頭に飛んできたことを考えれば、その衝撃たるやものすごかったことでしょう。
こういう事故が起こると、「死体はグチャグチャになるらしい」などと、どこかで聞きかじったような実体験の伴わない話で大騒ぎをする輩が必ず出てきます。ですから、本当のことを発信することでデマの拡散防止の一助になればと思い、こういったお話もさせていただきました。
・・・・・佐藤氏によると、損傷の激しい遺体の葬儀を請け負うこともあるという。その実態はどうなのか。つづく記事『「顔の半分が欠損」「死後3週間後に発見」で“別人”に…遺体の損傷が激しいとき、葬儀社三代目が遺族に「伝えること」』では、損傷の激しい遺体とその葬儀について、詳しく紹介します。
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佐藤氏によると、損傷の激しい遺体の葬儀を請け負うこともあるという。その実態はどうなのか。
つづく記事『「顔の半分が欠損」「死後3週間後に発見」で“別人”に…遺体の損傷が激しいとき、葬儀社三代目が遺族に「伝えること」』では、損傷の激しい遺体とその葬儀について、詳しく紹介します。