昨今は大手回転寿司チェーン店での迷惑行為から始まり、飲食店における“客のとんでもない行動”が話題になることも多々。店内で迷惑客に遭遇し、顔をしかめた経験をもつ人もいるだろう。 今回は、飲食店の元店員たちが体験した迷惑客の“団体”のエピソードを紹介する。迷惑客も団体となれば、威力は倍増する……。 ◆不満を爆発させた“家族”の迷惑客
定食屋でアルバイトをしていた近藤雄二さん(仮名・10代)は、忙しい夕食の時間帯に訪れた迷惑客について話してくれた。 「18時半頃はお客様が多く、お店はたいてい満席です。“お待ちシート”というものが入り口に設置してあり、名前を書いてから順番を待っていただくシステムになっていました」 その迷惑客は“家族”だった。店に訪れたとき、すでに順番待ちをしている客が7組いたという。 「家族6名で代表のお父様がお待ちシートに名前を記入しました。その際に『何分くらい待たされる?』と言われ、私は『30分ほどです』と答えました。不満そうに『わかった』と言い、どこかに去って行ったのですが……」 30分ほど経ち、家族の順番が回ってきた。しかし、その場にいなかったため、次の客を案内することになった。そして、それから数分後、店に戻ってきた。
◆食べカスやおしぼりが散乱
「お待ちシートを見て、自分たちより後のお客様が先に入ったことに腹を立て、文句を言われたんです。ただ、3回ほど名前を呼んで店の周りを確認したが、見当たらなかったことを説明しました。すると、声が小さくて聞こえなかったと不満を言われて……」 戸惑った近藤さんだったが、その場はなんとか収めることができた。
「しかし、これに腹を立てたのか、食べ終わった後のテーブルのまわりには食べカスやおしぼりなどが散乱していました。明らかにわざとです。もはや嫌がらせというか、仕返しというか。片付けをするのに非常に時間がかかってしまい、周りのお客様の目にもその光景は気持ちのいいものではなかったはずなので残念です」
家族はテーブルが汚いままの状態で会計を済ませ、店を出ていったという。
◆寿司居酒屋なのにシャリを残す女性グループの謎
寿司居酒屋で働いていた立花英恵さん(仮名・40代)は、フードロスへの関心が高まる世の中で、シャリだけを残す異様な団体客に遭遇した。 30代と思われる5人の女性グループ。要するに“女子会”である。彼女たちは夜のコースを予約しており、苦手な食べ物やアレルギーなど、料理に関する指定や要望はとくになかった。トークにも花が咲き、料理も楽しんでいる様子だったという。
会計を済ませた彼女たちは「おいししかったです」「ごちそうさまでした」と、笑顔で店を後にした。ところがその後、テーブルの片付けをしていた立花さんは自身の目を疑った。
◆従業員たちは“料理に問題があった?”と不安に 「ほとんどの料理は召し上がられていましたが、何か丸い、白い塊が整然と残されているのです。その正体を確認した私は、一瞬何が起こっているのか分かりませんでした。お客様は、まるでお刺身を食べるように、お寿司のネタだけを召し上がっていかれたんです」 シャリに何か問題があったのではないかと思った立花さんは、残されたシャリを持って寿司職人のもとへ向かった。だが、職人は特に問題がないことを確認し、不思議そうに首を捻っていたという。 従業員が総出で確認していると、シャリのほかにもポテトサラダ、カボチャの煮付けなども残されていたことに気づく。そう、炭水化物ばかりが……。 食材を無駄にするのは、店側としては迷惑と言えなくもないだろう。
この時期は炭水化物を抜くダイエットが話題となっており、女性の団体客もそれを実践していたと推測できる。職人が「それなら最初から言ってもらえれば刺身を出したのに……」と寂しそうにしていたのが印象的だったとか。
<取材・文/chimi86>
―[飲食店員の「心の叫び」]―